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『新幹線を学ぼう①』三橋貴明 AJER2016.7.12
https://youtu.be/tGkKNbUZ0HE

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 藤井聡先生の「国民所得を80万円増やす経済政策──アベノミクスに対する5つの提案 (犀の教室) 」を読みました。


 藤井先生は本書で「600兆円経済実現のための5つの提案」として、

1.2017年の消費税増税は延期
2.財政政策を基本とした「所得ターゲット政策」を改めて宣言
3.デフレ完全脱却こそ、最大の「財政健全化策」と宣言
4.3年以内の「デフレ完全脱却」を目指し、「規律ある財政拡大」を図る
5.デフレ脱却後は、「中立的な財政運営」を図る

 を提案されています。

 6月1日、更には参議院選挙を経て、安倍政権は藤井路線(と言いますか、当初のデフレ脱却路線)に戻りつつあるように見えます。13年10月1日以来、3年近くも間違え続け、ようやく真っ当なデフレ脱却路線の方に舵を切り直すのでしょうか。


経済対策、10兆円規模 首相、財政出動拡大へ指示
http://www.asahi.com/articles/ASJ7D3CDNJ7DULFA007.html
 安倍晋三首相は12日午後、石原伸晃経済再生相に対し、経済対策をまとめるよう指示する。アベノミクスの加速を掲げた参院選での勝利を受け、財政出動を拡大して景気を下支えする考えだ。政府関係者によると、財政投融資などを含めた対策の事業規模は10兆円を超える見通しだ。
 首相は11日の記者会見で「アベノミクスをいっそう加速せよ、こう国民から力強い信任を頂いた」と述べ、直ちに経済対策の編成作業に入る考えを表明した。石原氏のもとで早急に対策をまとめ、秋の臨時国会に今年度第2次補正予算案を提出する考えだ。(後略)』


 朝日新聞の記事には載っていませんが、日経の方には、(2016年7月12日「リニア全線開業を前倒し 安倍首相、経済対策指示へ  」)

『経済対策の柱の一つが「未来への投資」(首相)と銘打った新たな公共事業だ。北海道新幹線や北陸新幹線などの整備を前倒しする。訪日客向けクルーズ船を受け入れられる港湾施設の整備にも力を入れる。農林水産物や日本の食材を海外に売り込む輸出対応型施設を全国につくる。
 課題となる財源について首相は11日の記者会見で「ゼロ金利環境を最大限に生かし、財政投融資を積極的に活用する」と説明した。公共事業などに使い道を限る建設国債を2012年以来4年ぶりに追加発行して、財源を調達する方針だ。さらに赤字国債を追加発行するかどうかは、必要経費を見極めて判断する。』

 と、「建設国債」「整備新幹線」に関する記述がありました。

 建設国債を「四年ぶり」に発行し、北海道新幹線(札幌延伸)や北陸新幹線(大阪延伸)をするとなると、これは「プライマリーバランス目標」について、少なくとも短期で無視しないわけにはいかいでしょう(もちろん「破棄」がベストですが)。

 興味深いことに、6月2日に閣議決定された「骨太の方針2016(経済財政運営と改革の基本方針2016)」には、


『2020年度(平成32年度)の基礎的財政収支黒字化という財政健全化目標を堅持する』

 という文言はあるのですが、「骨太の方針2015」までは存在した短期のメルクマール(指標、判断基準)は消え失せています

 安倍政権はPB目標について「長期(2020年度)は維持、短期は無視」という形で、「逃げを打つ」つもりなのでしょう。しつこいですが、ナンセンスなPB目標は「破棄」が間違いなく正しいです。とはいえ、「長期は維持。短期は無視」の方が、「長期は維持。短期も維持」よりははるかにマシです。


 また、リニア新幹線全線開業前倒しや、整備新幹線の早期整備に、手つかずの新幹線基本計画(奥羽新幹線、羽越新幹線、山陰新幹線、四国新幹線など)の整備計画化が実現できれば、土木・建設業界にとっては待ちに待った「長期の需要見込み」となります。


 政府が公共投資を拡大しようとすると、頑ななアンチ公共投資派が、
「人手不足で、キョウキューセーヤクがあるから、公共投資の拡大はできない」
 などと主張してくるわけですが、我が国は世界屈指の自然災害大国です。日本の土木・建設業界の供給能力が、長引く公共投資削減路線の影響で毀損してしまったことが、どれほど国民の防災安全保障を脅かすか、想像してみろ、という話なのです。


 日本が自然災害大国である以上、土木・建設産業の供給能力の復活と生産性向上は、「国家存亡」に係る重要課題です。

 そして、現実に土木・建設産業の供給能力を復興するためには、「長期の需要見込み」が必要なのです。長期的に需要が期待できて初めて、土木・建設産業は本格的に人手を確保し始め、生産性向上のための投資も拡大していくことになるでしょう。


 「おはよう寺ちゃん活動中」で話しましたが、わたくしは「補正予算」が成立しない限り、とてもではないですが安倍政権の「方針転換」を信用できません。これまで、散々に期待を裏切られてきましたので。

 さらに、16年度にまともな予算を組んだとしても、17年度以降に緊縮路線に逆戻りしてしまえば、またもや元の木阿弥です。日本は今度こそ確実に、再デフレ化してしまうことでしょう。


 というわけで、安倍政権の「舵の切り直し」を評価すると同時に、マスコミの、
「国の借金で破綻する~。財政出動は財源の問題がありできない~」
「公共投資は無駄~」
 といった虚偽のプロパガンダと対抗しつつ、様々なチャネルを通じ政治家や政権に「正しデフレ対策をやれ!」と声を届けることを続けていきたいと思います。皆様も、ご協力くださいませ。


「政府は長期プロジェクトに対する予算を拡大せよ!」に、ご賛同下さる方は、 

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