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『ブレグジット①』三橋貴明 AJER2016.7.5
https://youtu.be/7L948lnMpRc

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 本日はチャンネル桜「Front Japan桜」に出演します。
http://www.ch-sakura.jp/programs/program-info.html?id=1651


 明日は7時からTOKYO MX「モーニングCROSS」に出演します。
http://s.mxtv.jp/morning_cross/


 ブレジグジットを受け、EUについて、フランス、オランダ、オーストリア、イタリアなど、反移民政党(あるいは「移民制限」政党)が勢いを増している西欧諸国に加え、ポーランドやハンガリーでも離脱の動きが起きるのではないか。と、何度か書いてきました


 何しろ、04年にEUに加盟して以降も、移民受け入れではなく「移民送り出し」国であったポーランドやハンガリーは、まだ間に合います

 しかも、両国ともに法と正義(ポーランド)、ヨッビク(ハンガリー)といった、反グローバリズム政党が力を持っています。法と正義はポーランドの与党であり、ハンガリーのオルバン政権は、ヨッビクの政策を採り込むことで、政権基盤を維持しようとしているのです。


 というわけで、とりあえずハンガリーで「EUの政策の是非を問う国民投票」が実施されることになりました。


ハンガリー、難民受け入れ巡り国民投票 EU揺さぶり
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM05H6H_V00C16A7FF2000/
 ハンガリー大統領府は5日、中東や北アフリカからの難民を受け入れるかどうか10月2日の国民投票に諮ると発表した。欧州連合(EU)は加盟国が難民を分担して引き受ける計画を打ち出したが、反難民の急先鋒(せんぽう)だったハンガリー政府は抵抗してきた。民意に問うことでEUを揺さぶり、自らの発言力を高める狙いがある。

 民族主義的な保守強硬派が政権を握るハンガリーは、昨秋に大勢の難民が欧州に流入するといち早く「難民拒否」を掲げた。オルバン首相は2月に国民投票の実施を表明。国会承認などの手続きを終えたことから具体的な日程を公表した。
 ハンガリーはもともと反難民機運が強い。英国がEU離脱を決めた直後のこの時期に、国民投票の実施のスケジュールが固まったことで、欧州の結束が揺らいでいるという印象が強まる可能性がある。』


 ハンガリーが「難民拒否」を国民投票で決めてしまうと、「結束して動く」という欧州連合の基本的手法が崩壊します。恐らくは、ハンガリーの「EUからの離脱の是非を問う」国民投票に進むでしょう。

 とはいえ、イギリスと異なるのは、繰り返しますがハンガリーは本来「移民送り出し国」であるという点です。ハンガリーで問題になっている「移民」は、シリア難民を中心とする中東移民であり、東欧移民が問題だったイギリスとは違います。

 グローバリズム、すなわち「モノ」「ヒト」「カネ」という経営の三要素について、国境を越えた移動を自由化すると、最終的に世界は「フラット」に向かっていきます


 そもそも、イギリスの労働者の実質賃金が下落していったのは、バブル崩壊(+緊縮財政によるデフレ化)にも関わらず、東欧移民を入れ続けたためです。といいますか、イギリスは欧州連合に加盟している以上、最低賃金「以下」で働く東欧労働者の流入を拒否することはできませんでした(経営者が最低賃金で支払っても、「中抜き」する人材紹介会社があるため、実際には東欧移民が最低賃金以下で働くというケースは頻繁にあるようです)。


 ハンガリー側からしてみれば、EUというグローバリズムにより、国民の所得を「引き上げる」ことができたのは間違いないのです。(その分、イギリス側が下がった)

 日本で言えば、資本(カネ)の移動の自由化により、工場が中国に流出。日本国民は中国人民と「賃金切り下げ競争」をさせられることになり、デフレも相まって、実質賃金は98年以降、中期的に下がり続けています。


 ところで、なぜハンガリーに注目しているかといえば、「経済(所得獲得)」という面に絞れば、EU加盟という「グローバリズム」は利益をもたらすためです。何しろ、所得水準が西欧諸国と比べて低いため、グローバルな競争(=価格競争)に「勝ちやすい」のです。


 とはいえ、ハンガリー国民も気が付いたようですが、EUとは「国際協定によるグローバリズム」すなわち、主権制限です。しかも、民主主義的な正当性も不十分です。(この辺りの話は、施先生のメルマガをご一読ください)


【三橋貴明の「新」日本経済新聞 【施 光恒】「EUが引き起こす分断」】
http://www.mitsuhashitakaaki.net/2016/06/25/se-78/


 かつてのソ連は、強大な軍事力を背景に、東欧諸国の国民から「主権」を奪う、「ロシアによるグローバリズム」でした。ハンガリーは、1956年のハンガリー動乱以降、幾度となくソ連から主権を取り戻そうとしましたが、そのたびに叩き潰されてきました。

 1980年代後半に始まったハンガリー民主化運動を経て、1989年にハンガリー第三共和国が成立。ようやく、ソ連の頸木から脱することができました


 十五年後の2004年、ハンガリーは欧州連合に加盟します。「イメージ」としては、欧州連合は民主的で、人権に配慮し、寛容で、5億人をこえるEU加盟国の国民に、繁栄と平和、更には自由を保障する夢のような組織に見えます。


 とはいえ、現実にはEUが各国の国民の「主権」を制限しているのは間違いないのです。ハンガリーはソ連という主権制限の時代を経て、今度はEUという主権制限の連合に加盟してしまったわけでございます。

 先にも書いた通り、ハンガリーのEU加盟には「経済的」にはメリットが確かにあります。とはいえ、「国民国家」としてはどうなのか


 1992年のソ連崩壊による「現在のグローバリズム」開始から四半世紀が過ぎ去ろうとしています。我々「人類」は、改めて「主権」「国民国家」の意味を考えざるを得ない時代を迎えようとしているのです。


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