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『ブレグジット①』三橋貴明 AJER2016.7.5
https://youtu.be/7L948lnMpRc
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明日は文化放送「おはよう寺ちゃん活動中!」に出演します。
「経済界 2016年 7/19号 [雑誌] 」に連載「深読み経済ニュース解説 消費税増税再延期でデフレ脱却に向かうか?」が掲載されました。
我が国のマネタリーベースが、ついに400兆円の大台を突破してしまいました。
『6月末マネタリーベース、初の400兆円超え 過去最高を更新
http://jp.reuters.com/article/monetary-base-idJPKCN0ZK00I
日銀が4日発表した市中の現金と金融機関の手元資金を示す日銀当座預金残高の合計であるマネタリーベース(資金供給量)の6月末の残高は403兆9372億円となった。
初めて400兆円を超え、7カ月連続で過去最高を更新した。
6月中のマネタリーベースの平均残高は前年比25.4%増の392兆7119億円。マネタリーベースの構成要因ごとの月中平均残高は、金融機関の手元資金を示す当座預金が前年比33.9%増の292兆8396億円、紙幣は同6.2%増の95兆1991億円、貨幣は同1.0%増の4兆6732億円だった。
日銀は、マネタリーベースを年間約80兆円増やすペースで、国債を中心とした金融資産の買い入れを続けている。』
現在の日本経済の混迷の根本には、上記の問題、すなわち「デフレは貨幣現象」という虚偽認識があります。
何度も書いていますが、わたくしは民主党政権期に現日本銀行副総裁の岩田規久男教授とお話しする機会があり、教授が、
「デフレはマネタリーベースを増やすことで脱却できる」
と、説明したのをはっきりと記憶しているのです。驚いたわたくしは、
「マネタリーベースですか? マネーストックではなく?」
と、確認したわけですが、岩田教授は、
「マネタリーベースです」
と、断言しました。
岩田教授の「期待インフレ率理論」は、
「日本銀行がインフレ目標をコミットメントし、量的緩和を継続することで、期待インフレ率が上昇し、実質金利が下がり、投資(主に)が増え、デフレ脱却できる」
というものでした。岩田教授のロジックが正しいならば、確かに量的緩和でマネタリーベースを拡大すれば、デフレ脱却できる「はず」です。
ところが、現実は・・・。
【日本のマネタリーベース(左軸)とインフレ率(右軸)】
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_53.html#MBCPI
マネタリーベースは岩田教授が日銀副総裁に就任して以降、250兆円近くも増えているのですが、直近のインフレ率(コアCPI)は▲0.4%。コアコアCPIにしても、0.4%と上昇ペースが鈍ってきています。
何度も繰り返しますが、マネタリーベースを拡大するだけでデフレ脱却できるはずがないのです。理由は、インフレ率とはモノやサービスの購入で決まるためです。すなわち、総需要です。
もちろん、岩田教授は「マネタリーベース拡大=インフレ率上昇」と説明したわけではありません。マネタリーベース拡大の後には、期待インフレ率の上昇、実質金利の低下、投資の拡大(=需要の拡大)と、総需要不足を補うまでのプロセスが解説されていました。
とはいえ、現実にはインフレ率を押し上げるほどの総需要の拡大は起きませんでした。安倍政権が消費税増税やら、支出削減やら、総需要を減らす緊縮財政を推進していた以上、当然です。
すなわち、日本銀行が責めるべきは「安倍政権」なのです。ところが、日本銀行は責任を市中銀行に押し付ける「マイナス金利政策」を採用しました。
【日本国債所有者別内訳(総額は955兆円)】
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_53.html#hoyu
ちなみに、わたくしは「日銀は金融政策をやめろ!」などと言いたいわけではありません。と言いますか、現時点で日本銀行が量的緩和の縮小を始めると、ブレグジットを上回る金融ショックが世界を駆け巡ることになります。
とはいえ、このまま年80兆円規模の国債買取を続けると、今後二年ほどで日本の預金取扱機関(銀行など)の国債が尽き、量的緩和は強制的に終了に向かわされることになってしまいます。来年の今頃には、
「日本銀行が金融引き締め(量的緩和の縮小)に転じるXデイ」
が話題になり始めるでしょう。
日本銀行のXデイを避けるためには、政府が国債を発行し、預金取扱機関の国債保有残高を増やすことで、量的緩和の継続を担保するしかありません。ところが、政府は「プライマリーバランス黒字化」にこだわり、国債増発ができないでいます。
落ち着いて考えてみれば誰でも分かりますが、
「日本銀行が国債を買い取る量的緩和政策」
と、
「日本政府が国債発行を抑制するプライマリーバランス黒字化」
は、明らかに不整合なのです。それにも関わらず、我が国は二つの政策を同時に進めている。
もちろん、日本銀行にしてみれば、これほどマネタリーベースを拡大したにも関わらず、インフレ率がマイナスに戻ってしまうなどということは想定外だったのでしょう。とはいえ、「デフレは総需要の不足である」と正しく認識していた我々からしてみれば、当然の結末なのです。
日本銀行のXデイを回避するためにも、量的緩和政策とプライマリーバランス黒字化は不整合であるという、当たり前の事実を国民や政治家が認識する必要があるのです。
量的緩和とPB黒字化は不整合に、「なるほど」と思われた方は、 ↓このリンクをクリックを!
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