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『第4次産業革命①』三橋貴明 AJER2016.5.31(3)
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6月29日(水) 若者からはじめよう ~主権者としてのあるべき姿を目指して!~https://www.nagoyajc.or.jp/66nendo/schedule/schedule09.html
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衝撃の日から一夜明けました。
『英国民投票 離脱派が勝利 キャメロン首相辞意
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160624/k10010570521000.html
イギリスで23日に行われたEU=ヨーロッパ連合からの離脱の賛否を問う国民投票は開票の結果、離脱の票が過半数を占め、離脱派が勝利しました。キャメロン首相はEUからの離脱に向けた手続きを進めるとしたうえで辞意を表明しました。
イギリスのEUからの離脱の賛否を問う国民投票は23日、投票が行われ、イギリスの選挙管理委員会によりますと、離脱が1741万742票で51.9%、残留が1614万1241票で48.1%と、離脱の票が過半数を占めて離脱派が勝利しました。
この結果を受けて、みずから国民投票の実施を決め、EUへの残留を訴えてきたキャメロン首相は、日本時間24日午後4時すぎ、首相官邸前で声明を発表し、「イギリス国民は明確に違う道を選んだ。新しい指導者が必要だ」と述べ、辞意を表明しました。(後略)』
イギリスで行われたEUからの離脱の是非を問う国民投票で、離脱派が勝利。UKIP(イギリス独立党)のファラージュ党首は、
「6月23日をわれわれの独立記念日とし、イギリスの歴史の夜明けにしよう」
と、勝利宣言。
総選挙の際に、UKIPに票を奪われることを恐れ、「国民投票実施」を公約に掲げ、票をつなぎとめた保守党の戦略が裏目に出た形になりました。
キャメロン首相は辞任を表明。
離脱は勝利を受け、予想通りポンド暴落。厳密には日本円>ドル>ユーロ>ポンドという順番で為替レートが高くなり、一時は1ドル98.95円、1ユーロ109.58円、1ポンド133.29円まで円高が進みました。(現在は1ドル102.33円)
また、注目している人は少ないでしょうが、日本の長期金利は一時▲0.19%にまで低下。(今は▲0.17%)ドイツの長期金利まで、一時▲0.15%と過去最低を更新(今は▲0.047%)
円高が進行したことで、日経平均は暴落。前日比▲1286円の14952円と、15000円割れで取引を終えました。
今後、イギリスはEUに離脱を通告。様々な条件を定める交渉が行われ、最終的にEU27カ国中の20カ国が賛成した時点で正式離脱となります。
もちろん、イギリスがEUから離脱したとして、別途、FTAを結ぶことで、関税アップなどは防げるかもしれません。いずれにせよ、今後、恐ろしく猥雑かつ複雑な離脱プロセスを進めることになります。
厄介なことに、イギリスがEUから離脱すると、「EU」として貿易協定を結んでいた国々とも、協定を結びなおさなければなりません。EUのイギリス、ではなく、イギリス単独で再交渉というわけでございますね。
EUから離脱した時点で、イギリスは例えばEU圏(及びそれ以外の地域)からの外国人流入に際し「ビザ」を導入するなどの規制が可能になります。
何か、国民投票が終わった後になって、ようやく今回の問題の焦点が「移民問題」であると報じられ始めた感じです。昨日も書いた通り、今回の騒動で、日本や欧州諸国のような国民国家が「健全な国民国家」を維持するためには、以下の二つの条件を満たさなければならないことが、改めて分かったと思います。
(1) 長期デフレーションを防ぎ、健全な民主主義を維持する(ルサンチマン手法を否定する)
(2) 特に「ヒトの移動」について、グローバリズムをコントロールする
移民問題が厄介なのは、好景気の時は国民の実質賃金上昇に問題が覆い隠されてしまうという点です。ところが、バブル崩壊や緊縮財政で経済がデフレ化、あるいは不況になると、一気に問題が噴出するわけです。
改めて考えても、日本で、
「成長を確保するには、(外国人労働者を受け入れ)労働力を増やしていく以外に方法はない(木村参議院議員)」
などと語っている政治家たちは、政治家たる資格がないことが分かります。何も考えていないか、国民統合を破壊したいかのいずれかです。
そもそも(しつこいですが)経済成長とは、人手不足環境下において「生産性向上」のための投資が拡大することで実現します。
現在、日本は生産年齢人口比率が低下し、人手不足が進んでいますが、これを「外国人労働者で」などとカバーしようとした日には、経済成長が抑制される(生産性向上の必要性がなくなるため)のに加え、将来、AIやドローンが進化し、技術的失業が始まった時点で、現在のイギリスと全く同じ問題が発生することになってしまうのです。
日本のマスコミや政治家は、イギリスのEU離脱問題について、
「外国移民やグローバリズムの問題ではない」
といった情報操作を行いたいでしょうが、騙されてはいけません。今回のブレグジット(イギリスの離脱)は、外国移民を受け入れた後に経済がデフレ化し、国民の実質賃金が長期間下がり、貧困化した国民が外国移民を敵視し始め、国民が分断された結果なのです。
日本で外国移民受入を叫んでいる連中は、日本国民の「分断」を推進しているのも同様だという「事実」を、是非とも知らしめてくださいませ。
ともあれ、イギリス国民が「主権」を取り戻そうとする動きを、国民国家の一国民として歓迎したいと思います。何しろ、「主権がない」とは、どちらかといえば中華人民共和国の人民に「近い」という話なのでございます。
明日は、欧州連合に対する影響を考えます。
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