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『第4次産業革命①』三橋貴明 AJER2016.5.31(3)
https://youtu.be/Jf684kxRGek

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6月29日(水) 若者からはじめよう ~主権者としてのあるべき姿を目指して!~https://www.nagoyajc.or.jp/66nendo/schedule/schedule09.html

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 イギリスのEU離脱の是非を問う国民投票で、ジョー・コックス下院議員殺害事件後の世論調査(サーベイション社)で、残留が45%、離脱が42%と、残留が3ポイント上回ったとの情報が流れています。事件前の同社の世論調査では、残留が42%、離脱が45%と、離脱派がリードしていました。
 「銃弾」が歴史を変えてしまうのでしょうか。


 さて、ニューズウィークが興味深い記事を掲載していました。


あのトランプとクリントンも一致、米国でインフラ投資に追い風
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/05/post-5129_1.php
 トランプとクリントンの対決が確定的となったアメリカの大統領選挙。厳しい意見の対立が予想される二人だが、インフラ投資の重要性では見解が一致する。その背景には、一層のインフラ投資が求められるアメリカの事情がある。
◆劣化する公共インフラ
 予備選挙が終盤を迎えた米国で、インフラ投資の重要性を示す象徴的な出来事があった。5月4日に行われた、オバマ大統領のオハイオ州訪問である。それは、共和党の予備選挙からクルーズが撤退を表明、トランプの候補指名獲得が決定的となった翌日のことだった。オハイオは大統領選挙でカギを握る大事な州だが、オバマ大統領の狙いは遊説ではない。水道水の鉛汚染で非常事態宣言
が出されているフリント市の視察である。オバマ大統領は連邦政府が全力で事態に対処すると約束し、報道陣の前で濾過された水道水が入ったコップに口をつけるパフォーマンスまで行ってみせた。(後略)』


 実質値で見ると、アメリカの公共投資は2002年以降、2割程度減少しています。96年以降、半分未満に公共投資を減らした日本ほど愚かではありませんが、やはりアメリカもインフラに投資をしていないのです。 


 というわけで、トランプもクリントンも「インフラ投資の拡大」では一致しているとのことでございます。

 アメリカが公共投資を削っていたのは、もちろん日本と同じく「ザイセイガー」が理由ですが、すでにミシガン州フリント市では、水道水が高濃度の鉛で汚染され、健康被害が出るようなレベルになっています。


 ミシガン州フリントは、元々はGMの本拠として栄えたのですが、今は見る影もありません。市政府は財政破綻し、管財人の下で様々なインフラや公共サービスを売り払われ、衰退の一途を辿っています。(ちなみに、映画監督のマイケル・ムーアは、フリントの出身)


 結局のところ、何が問題なのか。


 わたくしたち国民は水道、下水道、電力、ガス、郵便、道路、橋梁、トンネル、空港、港湾といったインフラストラクチャーなしでは、健全な生活を送れないようになっています。そして、WW2以降の先進国(厳密には大恐慌以降)では、この手のインフラを「政府」が建設、維持することが当たり前になりました(それ以前は、当たり前ではありませんでした)。

 この手のインフラを維持するために、我々は税金を支払うわけです。


 ここで、三つの「勢力」が生まれます。

(1) 公共インフラや公共サービスの分野に新規参入し、利益を出したい企業家、投資家
(2) ブキャナンの財政責任原則が典型ですが、「政府は小さくあるべき。財政は均衡すべき」と教条的に思い込む経済学者えを中心とする勢力
(3) とにかく、政府がやることは気に入らない、いっしゅの国家否定主義者(日本で言えば、進歩的左翼主義)


 戦後の日本では、上記三つの勢力が「手を組む」ことで、財政を緊縮に導き、公共投資を削減。インフラ老朽化の放置が「促進」されてきました


 日本における(1)の代表が、オリックスの宮内氏や、パソナの竹中氏など。(2)が、アメリカでシカゴ学派的経済学を叩きこまれた財務省などの官僚。(3)が武村正義氏など、左翼から政界の中心に移行した勢力。分かりやすく書くと「コンクリートから人へ」派。


 ちなみに、滋賀県八日市市は武村氏の地元ですが、氏が市長、県知事だった時代に公共事業を削りまくったため、護岸整備等が吃驚するほど進んでいません。

 アメリカは知りませんが、日本では上記、の勢力が連携し、公共投資(公的固定資本形成)を96年の45兆円弱から、民主党政権期には20兆円にまで減らしてしまったわけです。


 特に、デフレが長引いたため、日本国民は貧困化し、他者にルサンチマンを抱き、
「公共投資は土建屋を儲けさせるだけ!」
「公共投資は無駄!」
「人口が減る日本で交通インフラの整備は不要!」
 といった、根本から間違った理論が横行。一部の政治家や行政が官製談合に手を染め、日本の防災安全保障を維持する上で不可欠だった「指名競争入札+談合」の仕組みも破壊されました。


 結果的に、国民の安全や生命が脅かされているというのが、現代の日本なのです。国民自ら、自分たちの安全を破壊する公共投資削減に喝采を挙げる「病」に冒されていたわけです。


 とはいえ、21世紀に入って以降のアメリカの実質公共投資の停滞を見ると、「病」に冒されていたのは日本国民には限らなかったようです。


 今後の世界では、政府がインフラを維持するための投資を「当たり前のごとくできるか、否か」で国家の行く末が変わってきます。アメリカに続き、我が国においても「必要な公共投資」に関し、適切な議論を始めなければなりません。


「公共投資はいらない!」

 と、公共投資の意味と意義すら理解せず、「言葉」のみで全否定するような風潮が続く限り、我が国の発展途上国化は避けられないでしょう。


「インフラ整備に関する健全な議論を始めよう!」に、ご賛同下さる方は、 

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