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『第4次産業革命①』三橋貴明 AJER2016.5.31(3)
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6月29日(水) 若者からはじめよう ~主権者としてのあるべき姿を目指して!~https://www.nagoyajc.or.jp/66nendo/schedule/schedule09.html
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技術評論社から、少し毛色が変わった一冊「プロのグラフ仕事 ~伝えるためのExcelエッセンス~ 」が刊行になりました。
本日は神戸から、本エントリーを書いています。
最近、「小説家になろう」の某ファンタジー大作にはまっておりす。久々にドハマりした完結作品について、単行本(既存11巻)大人買いをして「支援」したりしているわけですが、その長編大作に出てくるパーティ名に「デッドエンド」があります。デッドエンドとは、作中では「出会うと、即死」というニュアンスになっていますが、本来的には「行き止まり」「難局」という意味になります。
昨日、日本銀行が金融政策決定会合において、「追加金融緩和見送り、金融政策現状維持」の決定を下しました。
『日銀、追加の金融緩和見送り…金融政策現状維持
http://www.yomiuri.co.jp/economy/20160616-OYT1T50081.html
日本銀行は16日の金融政策決定会合で、マイナス金利政策と量的・質的金融緩和を柱とする現在の金融政策を維持し、追加の金融緩和を見送ることを決めた。
市場の一部には、追加緩和を期待する声もあったが、英国が欧州連合(EU)から離脱するとの懸念が強まる中、金融市場の混乱に備えて緩和カードを温存した。』
「緩和カードを温存した」と、読売新聞は書いていますが、緩和するとして、具体的に何をやるのでしょうか?
現状の量的緩和を継続したとして、「今後、三年間は無理」なのです。理由は、銀行の国債保有残高が尽き始めているためです。
【日本銀行・預金取扱機関の保有国債(単位:億円)】
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_53.html#Nichigin
すでにして、日本銀行の国債保有残高は(15年末時点で)290兆円近くに達しており、預金取扱機関(銀行など)の229兆円を上回っています。
さらに、日本銀行は年に80兆円ペースで国債購入を継続しているため、このままでは三年経たずに預金取扱機関の国債が尽きます。無論、三年後を待たずに、来年の今頃には、
「来年、日本銀行の量的緩和政策は終了せざるを得ないのではないか」
という認識が金融市場に広まり、「超円高」になる可能性が高いと思います。
「ならば、日銀当座預金のマイナス金利を拡大すればいいのではないか!」
と、現実を知らない学者たちは叫ぶのでしょうが、日銀がどれだけ当座預金のマイナス幅を拡大したところで、我々は銀行からおカネを借りません。なぜなら、デフレで儲からないためです。
日銀の「マイナス金利政策」は、単に責任を市中銀行に押し付けているだけの話です。日銀のマイナス金利政策を礼賛していた連中は、現実のビジネスをやっていないか、あるいは「銀行からおカネを借りる責任を負っていない」人間であると断言します。
わたくしは、「利益」になるならば、喜んでおカネを借りる経営者です。とはいえ、こんなデフレで儲からない状況では、金利がどれだけ下がろうとも銀行からおカネを借りません。なぜなら、損をするためです。
日銀のマイナス金利政策を礼賛している勢力に対しては、
「本当に現実のビジネスをしたことがないんだなあ・・・」
との感想を覚えます。経営者としてカネを借り、従業員を雇用し続ける責任を持つプレッシャーすら知らない学者が、
「マイナス金利であるにも関わらず、銀行がカネを貸さない。銀行が悪い!」
などとやっているわけで、無責任極まりないです。現実問題として、こんなデフレの国で「カネを借りる」決断をする経営者は、多くのケースで間違っています。
というわけで、日本銀行が金融政策について「何もしない」という判断をしたことは、正しいのです。何しろ、現実にできることはありません。
とはいえ、タイミングが少々よろしくなく、イギリスのEU離脱の国民投票、いわゆる「ブレグジット」の可能性が高まり、ポンド安、ユーロ安。つまりは「円高」が進行し、例により日経平均が暴落と表現しても構わない状況になっています。
円が103円台に突入したことで、
「日本銀行が金融政策を拡大しないのが悪い!」
などと、金融政策万能論に基づき、日銀を批判する声が出てくるでしょうが、具体的に何をしろというのでしょうか? 現実問題として、日銀にできることは量的緩和政策の継続以外にはありません(拡大は無理です)。
結局、諸悪の根源は、政府が「国債発行+財政出動」に逡巡していることなのです。長期金利でマイナスに陥っているにも関わらず、未だに「建設国債発行+財政出動」という声が大きくなっていません。
これは、異常な事態です。
もっとも、日本銀行の金融緩和は「打ち止め」状態に至り、物価上昇率は▲0.3%。安倍政権は、まさに「デッドエンド」つまりは難局、手詰まりの状況に至っています。
とはいえ、真の意味で「デッドエンド」に陥っているのは、安倍政権というよりは、日本国民です。日本国民は、今こそ、
「日本銀行がおカネを発行し、円安になればデフレ脱却できる!」
「デフレが継続しているのは、全て日本銀行の責任である」
といった間違ったロジックから脱却しなければなりません。
インフレ率を上昇させるためには、消費や投資という「総需要」を拡大しなければならない。おカネをどれだけ発行したところで、消費や投資が増えなければ、デフレ脱却は果たせない。
この、「定義的」に正しい事実を国民が認識しない限り、デフレというデッドエンドを突破する日は訪れないでしょう。
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