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『投資とは何か?①』三橋貴明 AJER2016.5.24
https://youtu.be/lHfL4Ux_GgY


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 今、日本政府は何に「投資」をするべきなのか? デフレーション、実質賃金の低下、東京一極集中、そして総人口の減少といった問題を同時に解決する「(恐らく)たった一つの、解決策」について解説した「全国民が豊かになる 最強の地方創生 」(日本文芸社)、いよいよ刊行になりました。



 本日から台湾です。珍しく取材ではなく、三橋経済塾の研修旅行でございます。
 
 さて、もはや「日刊」のごとく、消費税増税再延期の報道が流れるようになりました。本日は産経新聞。


『消費税増税2年半延期 安倍首相が麻生、谷垣氏らへ方針伝達 麻生氏は「解散」主張
http://www.sankei.com/politics/news/160528/plt1605280037-n1.html
 安倍晋三首相は28日夜、首相公邸で麻生太郎副総理兼財務相、自民党の谷垣禎一幹事長、菅義偉官房長官と会談し、来年4月に予定している消費税率10%への引き上げを平成31年10月まで再び延期する方針を伝えた。国会会期末の6月1日にも発表したい考えで、政府・与党内の調整を急ぐ。
 会談で首相は、消費税率の引き上げを「2年半延期したい」と伝えた。これに対し、麻生、谷垣両氏は財政規律維持の観点から予定通りの増税を求めて異論を唱え、引き続き協議することになった。
 麻生氏は「再延期するなら衆院を解散して国民の信を問うべきだ」とも主張した。首相は同調せず、菅氏は公明党に配慮して衆参同日選を見送るべきだとの考えを示した。
 連立与党の公明党も社会保障の財源確保のため再延期には否定的な立場をとってきた。首相は近く、同党の山口那津男代表とも会談して理解を求める。』


 いや、別に消費税の再延期に衆院解散は不要でしょう。何しろ、野党第一党(民進党)も二年の延期を主張しているわけですから、国会で法案を通せば済む話です。


 また、社会保障の財源確保は、短期的には「税収弾性値」により増加した税収を、中期的には赤字国債を、長期的には経済成長による税収増を充てるべきです。消費増税再延期に伴い、財政出動も拡大し、日本のデフレ脱却が早期に実現すれば、赤字国債の発行額もそれほど増えません。


 むしろ、増税や財政出動の絞り込みを続け、デフレが長引いた方が、名目GDPが成長せず、税収も減り、社会保障の財源も赤字国債以外には確保できなくなります。


 それにしても、未だに「財政規律維持の観点」などという発想が与党幹部から出てくるわけですから、呆れ返ってしまいます


 政府の目的は「国民を豊かにする」経世済民であり、財政規律の維持ではありません。財政規律が維持されたとしても、国民が貧困化してしまうのでは、政治家失格です。


 そして、まさに14年度、15年度の日本政府は、財政規律(プライマリーバランス)とやらに縛られ、緊縮財政路線を強行し、国民を二年度連続で貧困化させたのです。実質賃金が下がり、民間最終消費支出の実質値が二年度連続で下落。


 国民を二年度連続で貧困化に叩き込んだ政権は、統計的に確認できる55年以降、安倍政権が初めてです。


 それにしても、財務省や政治家たちの「財政規律維持」へのこだわりは、異様です。とはいえ、経済学的には異様ではありません


 経済学という学問的には、借金は「所得」から返済する必要があるという話になっているのです。


 借金をしているのが「個人」であれば、一応、借金は返済する必要があります。理由は、個人という人間には寿命があるためです。


「人間は寿命がある以上、一生涯に稼ぐ所得以上の借金をしてはならない。生涯所得が、個人が借り入れられる負債総額の限界となる。」


 上記の考え方を、経済学において「予算制約式」と呼びます。予算制約式は、「経済人」などと同様に、経済学の前提の一つです。(詳しくは青木先生の経済学者はなぜ嘘をつくのか をお読みください)


 予算制約式とは、「個人は一生に稼ぐ所得以上の支出はできない」という原則になります。予算制約式で個人の負債拡大の「枠」を設定しない場合、経済学は美しい数式モデルを構築できないのです。予算制約式は、経済人と同じように、経済学が「学問」として発展するために必要だった、前提の一つなのでございます。


 困ったことに、経済学者たちは「個人」の場合は、ある程度の合理性がある予算制約式を、政府にまで適用しようとします。予算制約式に基づくと、政府は「税収に見合う支出しかしてはならない」という、いわゆるプライマリーバランス理論が正当化されます。あるいは、国債の返済は「税金で」という理論もまた、正しいという結論になってしまうのです。


 とはいえ、政府と個人は違います。何しろ、個人は有限だが、政府は無限なのです。さらに、政府には「通貨発行権」という強力極まりない権限が存在しています


 現実に、日本銀行が年に80兆円という凄まじいペースで日本円を発行し、国債を買い取り、政府の実質的な借金がピークの2012年9月比で130兆円も減った我が国が、「財政規律」とやらに足を取られ、国民貧困化を続けるなど、狂気の沙汰です。


 日本政府は「財政規律」などという個人の家計簿発想から脱し、正しいデフレ対策を打たなければならないのです。


「政治家はいい加減に家計簿発想をやめろ!」に、ご賛同下さる方は、

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