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『投資とは何か?①』三橋貴明 AJER2016.5.24
https://youtu.be/lHfL4Ux_GgY


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 今、日本政府は何に「投資」をするべきなのか? デフレーション、実質賃金の低下、東京一極集中、そして総人口の減少といった問題を同時に解決する「(恐らく)たった一つの、解決策」について解説した「全国民が豊かになる 最強の地方創生 」(日本文芸社)、いよいよ刊行になりました。



 元々、スティグリッツ教授が来日し、日本政府に、
インフラや技術に投資するべき
 と提言する前の段階から、全国の取材を進め、日本のインフラの立ち遅れと、投資拡大の必要性を訴える本を書いていたのでございます。


 スティグリッツ教授のみならず、世界の(まともな)経済学者が「生産性向上のための投資」を訴え始め、更に安倍政権が6月1日に方針転換をする可能性が高い状況ですので、なかなか良いタイミングだったのではないかと思います。


 さて、伊勢志摩サミットが首脳宣言を発表し、閉幕しました。首脳宣言では、
「世界経済の回復は続いているが成長は引き続き緩やかで、ばらつきがあり世界経済の見通しに対する下方リスクが高まってきている
新たな危機に陥ることを回避するため、適時にすべての政策対応を行うことにより現在の経済状況に対応するための努力を強化する」
 と、一応、消費税再増税の延期の理由(というか、言い訳)に使えないこともない、程度の文章にはなったようです。


 日本側は、世界経済について「クライシス」という言葉を使いたかったようですが、危機の度合いの表現をめぐって疑問も出たとのことです。特に、ドイツにとって、共通通貨ユーロがある以上、現在のデフレーションは「居心地がいい環境」でございます。


 日本の経験からも分かりますが、デフレとは真綿で首を絞めるがごとく、国民経済を痛めつけていきます。特に、未だに失業率が24.4%と高止まりしているギリシャなどにとって、緊縮財政は国民経済を発展途上国化してしまいます。


 とはいえ、失業率4.2%のドイツにとっては、世界経済について「クライシス」と表現され、財政出動を実施するなど「とんでもない!」という話なのです。ドイツのショイブレ財務大臣は、財政出動について、
「ドイツ経済はここ数十年で最もよい状態にある」
 と、「不要」の意思を明確化しました


 ともあれ、サミットでドイツが各国の事情に合わせた財政出動について「反対」はしなかったわけで、一応、安倍政権としては「消費税増税延期+財政出動」のおぜん立てができたと考えているのではないでしょうか。

 ところで、サミットの先駆けて仙台で開催されたG7では、
債務残高対GDP比を持続可能な道筋に乗せることを確保しつつ、経済成長、雇用創出および信認を強化するため機動的に財政政策を実施することの重要性に合意した」
 との議長サマリーが発表されました。これは、かなり大きな話です。


 G7で「債務残高対GDP比(=政府の負債対GDP比)を持続可能な道筋に乗せる」ことを目指すことになった。という理由で、プライマリーバランス黒字化目標を「有耶無耶」にできる可能性が生じたためです。(もちろん「破棄」がベストですが)


消費増税先送り、2年軸=安倍首相「参院選前に結論」
http://www.jiji.com/jc/article?k=2016052700168&g=eco

 安倍晋三首相は、来年4月に予定する消費税率10%への引き上げを再延期する方針を固めた。世界経済の下振れリスクに熊本地震も加わり、予定通り増税すれば、政権の最重要課題であるデフレ脱却の妨げになると判断した。首相は27日の記者会見で「税率引き上げの是非も含めて検討する」と増税見直しに初めて言及し、結論について「夏の参院選前に明らかにしたい」と明言した。
 延期期間は2019年4月までの2年を軸に検討する。今国会会期末の6月1日にも正式に表明する見通しだ
 首相は会見で「世界経済の成長率は昨年、リーマン・ショック以来の最低を記録した」と指摘し、「ここで対応を誤れば世界経済が危機に陥る大きなリスクに直面している」と表明。こうしたリスクに対応するため、日本政府として「あらゆる政策を総動員し、アベノミクスのエンジンをもう一度、最大限ふかしていく決意だ」と強調した上で、消費税増税の見直しに言及した。
 首相は先進7カ国(G7)として政策協調し、リーマン級の危機を未然に防ぐには、増税先送りはやむを得ないと判断。熊本地震の復旧・復興の本格化を前に、増税は被災地の経済を直撃しかねないとの懸念も、こうした判断を後押しした。首相は近く、延期に慎重な麻生太郎副総理兼財務相や公明党の山口那津男代表らとの調整に入る。山口氏は27日、記者団に「政府・与党としても検討のプロセスを踏んでいく。首相の考えを承りたい」と述べ、協議に応じる考えを示した。』


 さすがに、ここまで連日、各紙「順番」にリーク情報が流れている以上、消費税増税は延期されると考えて間違いないでしょう。


 とはいえ、6月1日に安倍総理が「消費増税の二年延期」「財政出動の拡大」を表明した場合(それ以前から)、
「増税延期で国債の格付けが下がって破綻する~っ!」
「財政出動は一時的な措置に過ぎない」
 といった、カビの生えた緊縮財政論が日本国内のメディアを賑わすことになると思います。この手のプロパガンダに対抗し、日本国のデフレ脱却を果たせるのか。

 「正しい言論」が、これほどまでに重要性を帯びる時代は、そうはないのではないかと考えています。


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