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『2016年第一四半期を振り返る(後篇)①』三橋貴明 AJER2016.4.26(9)

https://youtu.be/zOAOYTdAZyY
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 読売新聞の一面に「同日選見送りの公算…首相、消費増税延期へ」という記事が載りました。これまでの安倍政権のパターンからすると、増税延期はほぼ確定的と考えて構わないでしょう


 これで、産経、日経に続き、三紙目の「リーク」になります。新聞報道で「決定事項」を報じつつ、要人発言で否定する、あるいは有耶無耶にする。13年3月のTPP交渉参加決定、あるいは13年10月の増税決定(14年4月)の際にも、全く同じ手法が使われました。


 TPP交渉参加も、14年4月増税決定も、結局は新聞報道が「決定事項」だったのです。


同日選見送りの公算…首相、消費増税延期へ
http://www.yomiuri.co.jp/election/sangiin/2016/news1/20160525-OYT1T50010.html
 現時点では衆院解散を考えていない意向を与党幹部に伝えた。参院選情勢や熊本地震の復興状況などを踏まえたとみられる。また、来年4月の消費税率10%への引き上げについては先送りする方向で、6月1日の今国会閉会後にも表明する。
 首相は24日昼、公明党の山口代表と首相官邸で約50分間会談し、こうした意向を伝えた。近く自民党の谷垣幹事長とも会談する。山口氏によると、首相は同日選について「今は解散の『か』の字も考えていない」と述べたという。別の自民党幹部は24日、「衆院解散はない」と明言した。(後略)』


 後略部において、読売新聞は、


『一方、消費増税の先送りを決めたのは、国内外の経済が不透明感を増す中、増税に踏み切ればデフレ脱却が困難になると判断したためだ。26、27日の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)で世界経済を下支えするための財政出動への協力を取り付けた上で、今国会閉会後の表明を検討している。
 先送りする場合、参院選後の臨時国会に関連法案を提出する。自民党の二階総務会長は2019年4月まで2年間先送りする案を首相に提言している。』

 
 と書いています。「消費増税の先送りを決めたのは」と、断定的に読売が書いている以上、官邸の意向は決定しているのだと思います。


 何しろ、読売新聞は財務省の手先新聞として、日本の消費税増税を煽った主犯の一人なのです。ちなみに、読売新聞は最近だけでも丹呉泰健、勝栄二郎という二人の元財務事務次官を「天下り」として受け入れています。 


 とういわけで、増税先送りの可能性が濃厚な中、焦点はむしろ「何年、延期」に絞られてきているように思えます。個人的には、二階提言、更には民進党岡田代表が発言した「二年」が濃厚かと。

 もちろん、増税を先送りしたところで、一年もすれば「将来的な増税予測」に基づき、消費性向は下がってくるでしょう。というわけで、二年の猶予期間を得た上で、増税凍結もしくは消費減税に持ち込めるかが今後の日本経済を左右します


【日本の消費(民間最終消費支出+政府最終消費支出)の推移(十億円)】

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_53.html#syohi


 図の通り、97年の消費税増税の影響で、我が国の民間最終消費支出は伸び悩む状況が続いています。消費税増税とは恒久的な話なので、当然ながら(消費減税をしない限り)影響は継続するのです。

 ちなみに、図のY軸の一番下はゼロではなく250兆円になっていますので、ご注意ください。

 政府最終消費支出を合わせて載せたのは、我が国には、
「人口が減っているから、消費は伸びずに衰退する~っ!!!」

 といった出鱈目を口にする頭の悪い連中が多いためです。高齢化の影響で、政府最終消費支出分を含めた我が国の「消費総額」は、むしろ増えています。(政府最終消費支出とはいえ、国民が消費していることに変わりはありません)

 日本の消費で問題になっているのは「民間最終消費支出」であり、消費総額ではないのです。

 というわけで、日本の民間最終消費支出という「GDP最大の需要項目」を復活させるためには、最低でも消費増税の凍結、可能であれば「消費減税」が必要なのです。

 ところで、読売新聞の記事の最後には、


『首相は14年11月、衆院を解散するとともに10%への引き上げを1年半先送りする方針を表明していた。首相はこの際、消費増税について「再び延期することはない」と語っていただけに、野党が厳しく追及するのは必至だ。』


 と、あります。上記に対抗するレトリックは、

「民進党の前身である民主党政権が主導した消費増税により、経済が想定以上に落ち込んだ
 と、消費税増税(14年4月)と民主党に責任を押し付けてしまえばいいのです。そうすることで、国民の間に「消費増税が問題である」という正しい認識が広まるとともに、安倍政権も責任追及を(多少は)躱すことができます。


 消費税増税が問題であるという認識が広まって初めて、消費増税凍結や消費減税が議論の俎上に上るのです。


 昨日も書きましたが、安倍総理の適切な判断に期待します。



「消費税増税は最低でも『凍結』せよ!」にご賛同下さる方は、 このリンクをクリックを!
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