株式会社経世論研究所  講演・執筆依頼等、お仕事のご依頼はこちらから

三橋貴明のツイッター はこちら
人気ブログランキング に参加しています。

新世紀のビッグブラザーへ blog

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
『2016年第一四半期を振り返る(後篇)①』三橋貴明 AJER2016.4.26(9)

https://youtu.be/zOAOYTdAZyY
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


 もはや、いかなる感想を述べたらいいのか分からないほどに、無茶苦茶になってきました。


アベノミクス成功させる会 消費増税容認に転換
http://news.tv-asahi.co.jp/news_politics/articles/000075284.html
 自民党の「アベノミクスを成功させる会」が消費税の10%への増税を予定通り実行すべきだという提言をまとめました。
 提言では、来年4月から消費税を10%に引き上げたうえで「当面、10%で打ち止め」と宣言するとともに、10兆円規模の補正予算で景気対策をするよう求めています。さらに、3年間で最大37兆円規模の財政出動をすることで増税の影響を緩和するとしています。この会は、2014年には消費税引き上げを延期するよう安倍総理大臣に提言していました。増税容認へ突然、方針転換したことで、総理官邸の意向が働いているのではないかと党内で臆測を呼んでいます。』


 「アベノミクスを失敗させた会」ならぬアベノミクスを成功させる会の提言は以下の通りです。


消費税率引上げ(8%→10%)は、予定通り2017年4月から実施し、当面10%で打ち止めと宣言。


②今年度(2016年度)の補正で、デフレギャップ解消を目指した10兆円の景気対策と5~10兆円(被害状況に応じ)の熊本地震対策基金の創設。


③2017年度には10兆円、2018年度は7兆円を通常予算に追加して計上。その内訳は、消費税率引上げ分は全て還元するという意味での給付金等約4兆円強、残りは日本経済の将来の持続的成長、体質改善につながるような公共投資等。


④給付金等の基本的考え方は、年金生活者・低所得者・子育て世帯を中心に所得再分配政策としての給付。住宅と自動車の購入者に対しては2%分の還付。


⑤財源は、マイナス金利を活用する意味で原則国債発行による。


 提言書では、消費税増税について、現在の消費低迷の原因であることを認め、さらにデフレギャップが10兆円近くあることも認識しています。


 そして、ここがポイントなのですが、現在の景気低迷について、
当初(2014年)の引上げ(5%→8%)時の財政出動が十分でなかったこと、年金生活者や低所得者の実質所得が低下したこと、そして「いずれ消費税率は上がるのだから」という予想から消費が抑制された面があること等にあった」
 と、分析しているのです。


 根本的におかしいのですが、消費税増税の影響は無制限に続きます。それに対し、補正予算による財政出動は一時的措置に過ぎません。


 永続する悪影響を、一時的な給付金でカバーできるはずがありません


 今回の提言では、消費増税の悪影響を軽減するために、財政出動を「三年」継続するように求めています。とはいえ、断言しますが、上記の提言に従い、16年度にある程度の財政出動をして、17年4月に増税をすると、途端に財務省配下のマスコミから、
「財政破綻! 国の借金で破綻する!」
 の大合唱が起き、17年度、18年度の財政出動は削減され、消費税増税「凍結」の約束も破棄されるでしょう


 財務省の官僚が数百人体制で政治家、マスコミ、学者たちに「ご説明」に回り、再び「増税やむなし」「緊縮やむなし」の空気が作られ、再び消費税増税、財政支出削減の緊縮財政が始まります。


 財務省にしてみれば、とりあえず17年4月の増税を実現できれば、
「悪影響を防止するための財政出動」
 や、

「消費増税の凍結」

 については、後から何とでもできると考えているでしょう


 財政出動は16年度のみで、17年4月の増税が実現され、その後、緊縮に転じるという未来が待ち受けています。


 逆に言えば、上記の提言から「増税を実施する」の部分のみ回避できれば、全体的にはデフレ脱却のために適した政策ということになります。財務省は消費税増税と引き換えに、その他のデフレ対策については認めた、という話でございます。


 そもそも、消費税とは「高所得者層」にとってはどうでもよく、「低所得者層」にとっては厳しい税金です。消費税は所得税や法人税とは異なり、所得格差を拡大する効果があるのです。


 現在がデフレ期ではなかったとしても、消費税増税はその逆累進性と、スタビライザー(安定化装置)としての効果がないという点から、日本にとって不適切であると断ぜざるを得ません。消費税を推進する政治家は、国内の所得格差を拡大することを目指しているとしか思えないわけです。

 結局、「アベノミクス成功させる会」もまた、財務省の傘下に落ち、「アベノミクスを失敗させた会」と化したわけでございます。


「2017年4月の消費税再増税に反対する!」にご賛同下さる方は、

このリンクをクリックを!
新世紀のビッグブラザーへ blog
人気ブログランキング
◆本ブログへのリンクは以下のバナーをお使いください。 新世紀のビッグブラザーへ blog
◆関連ブログ
三橋貴明オフィシャルブログ「新世紀のビッグブラザーへ blog」Powered by Ameba


◆三橋貴明関連情報
Klugにて
「三橋貴明の『経済記事にはもうだまされない』」 連載中
新世紀のビッグブラザーへ ホームページ はこちらです。
メルマガ「週刊三橋貴明~新世紀のビッグブラザーへ~」
は↓こちらです。