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『2016年第一四半期を振り返る(後篇)①』三橋貴明 AJER2016.4.26(9)

https://youtu.be/zOAOYTdAZyY
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 明日はTOKYO MX「モーニングCROSS」に出演します。
http://s.mxtv.jp/morning_cross/


 夕刊フジで「断末魔の中韓経済」連載中です。


【断末魔の中韓経済】習主席VS李首相、経済政策めぐり“内紛”勃発 中国経済“大失速”

http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20160517/frn1605171140001-n1.htm


 内閣府から2016年1-3月期の国民経済計算速報値が発表になりました。

 実質GDPの成長率は、対前期比0.4%。年率換算1.7%。うるう年(2月が1日多い)分が対前期比0.3%、年率で1.2%分あるため、実質的には対前期比0.1%、年率換算で0.5%成長といったところでしょうか。

 まあ、ほとんどゼロ成長でございますね。


 2015年度の成長率は、0.8%。二年度連続のマイナス成長は、何とか回避できたようです。

 とはいえ、民間最終消費支出は、14年度の▲2.9%に続き、15年度は▲0.3%。消費税増税で大きな落ち込みになった14年度「以上に」小さくなってしまいました。


 さらに、公的固定資本形成は、14年度の▲2.6%、15年度が▲2.2%。二年度連続で実質値で絞り込んでいます。まあ、緊縮財政をやっているので、当然なのですが。


 名目の金額について14年度と15年度を比較すると、民間最終消費支出が約1.7兆円、公的固定資本形成が約5000億円の減少。

 13年度と15年度を比較すると、民間最終消費支出が約3.8兆円、公的固定資本形成が約4120億円の減少。政府の緊縮財政により、GDPはおよそ1%程度の「下向き」の圧力を受けていることが分かります。


 また、個人的に気になるのがデフレータの動きです。15年4-6月期からは14年4月の消費税増税分の影響がなくなっているわけですが、


 15年4-6月期 0.3%⇒15年7-9月期 0.3%⇒15年10-12月期 0.3%⇒16年1-3月期 0.1%


 と、ゼロに接近しています。しかも、国内需要デフレータに絞れば、▲0.5%です。すでに、マイナスに落ち込んでいるのです。
 直近のコアCPI(▲0.3%)やデフレータを見る限り、我が国がデフレ脱却するどころか、デフレ化の方向に向かっているのは間違いないと思います。


 実質的には「ほぼゼロ成長」ということで、安倍政権は少なくとも消費税増税の「延期」には乗り出すようです。


安倍首相、きょう公明・山口那津男代表と党首会談 自民・谷垣禎一幹事長とも会談 消費税再増税延期へ最終調整
http://www.sankei.com/politics/news/160518/plt1605180004-n1.html
 来年4月に予定している消費税再増税の延期をめぐり、安倍晋三首相が18日に公明党の山口那津男代表、自民党の谷垣禎一幹事長と個別に会談することが分かった。首相はすでに再増税を延期する方針を固めているが、山口氏は政府・与党による事前協議を求めている。首相は夏の参院選前に延期を最終判断することも視野に、本格的な調整に乗り出す考えだ。(後略)』


 それにしても、15年度の民間最終消費支出が、14年度と比較してすら小さくなってしまったことは、改めて衝撃的です。14年度に消費税増税で大きく落ち込んだ以上、15年度に多少の「反動」はあってもよさそうなものですが、実際には「さらに落ち込む」という結果になりました。

 消費税増税の悪影響は、長期化するのです。


 消費税増税推進派は、

「消費税を増税して社会保障を安定化させれば、国民が安心しておカネを使えるようになり、消費が増える」

 などと、出鱈目レトリックを拡散していましたが、現実には消費税増税が消費を「減らしている」のです。実質賃金が小さくなってしまった以上、当たり前です。

 産経新聞は、後略部で、
「首相は26、27両日の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)直後に増税先送りを正式表明することも視野に、山口氏らに経済情勢を説明するとみられる。」
 と書いています。


 産経がここまで断言している以上、官邸からのリークでしょうから、消費税増税の再延期は確定と見るべきでしょう


 残る問題は、
「消費税増税の延期期間(あるいは「凍結」に持ち込めるか)」
「財政出動の規模と質と期間」
「プライマリーバランス目標の修正」
 の三つになります。

 特に、プライマリーバランス黒字化目標を破棄もしくは「事実上の破棄」にしなければ、たとえ今回、増税延期や財政出動が決まったとしても、17年度には元に戻ってしまいます。短期のPB目標を掲げている以上、長期的な「非・緊縮財政」は不可能なのです。

 デフレ脱却を標榜して誕生した安倍政権が、我が国をデフレ化しつつあるというのが現実なのです。安倍総理には、サミット後に消費税再増税の見送りを宣言する際に、
プライマリーバランス目標を破棄する
 と宣言して欲しいと、一日本国民として強く望みます。


「プライマリーバランス目標を破棄せよ!」にご賛同下さる方は、このリンクをクリックを!
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