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『2016年第一四半期を振り返る(後篇)①』三橋貴明 AJER2016.4.26(9)
https://youtu.be/zOAOYTdAZyY
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さて、メルマガの方でも書きましたが、日本経済新聞に、「消費増税再び延期 首相、サミット後に表明 地震・景気に配慮」という記事が掲載されました。
『消費増税再び延期 首相、サミット後に表明 地震・景気に配慮
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS13H56_T10C16A5MM8000/
安倍晋三首相は13日、2017年4月に予定する消費税率10%への引き上げを再び延期する方針を固めた。国内外の経済に先行き不透明感が広がるなか、4月の熊本地震による景気への影響も出ている。増税すれば政権の最重要課題であるデフレ脱却がさらに遠のくと判断した。今月26~27日に開く主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)の議論などを踏まえて表明する見通しだ。(後略)』
後略部に書かれていますが、総理が与党幹部に増税見送り方針を伝え、政府内で増税の1~3年の延期の検討に着手したということです。
上記が報道された後、例により安倍総理や菅官房長官が記事を否定する発言をしたことも報じられましたが、
「新聞記事で事前に情報を大々的に流し、要人が発言で否定しつつ、何となく織り込んでいく」
という、安倍政権の例のパターンでしょう。TPP交渉参加でも、13年10月の14年増税決定の際にも、全く同じ手法が使われました。
日経の記事では、総理が増税再延期を決めた最大の理由が「経済」となっています。先日(5月2日)、総理は、イタリアで、
「おととしの消費税の8%への引き上げが予想以上に消費に影響を与えたのも事実だ」
と、発言しました。
国内ではなく、国外において発言することで情報を織り込むという手法も、以前、何の件かは忘れましたが、総理は使っていました。国内では、官僚やブレーンや取り巻きがいるため、発言を歪めざるを得ない、という話なのかも知れません。
いずれにせよ、18日に発表になる16年1-3月期のGDP成長率が相当によろしくないのは間違いなさそうです。当然、総理にはとっくに情報が入っているでしょう。
さて、増税延期のポイントを幾つか取り上げると、まずは「消費増税再び延期」 の具体的な中身です。一年延期か、数年延期か、あるいは「凍結」「減税」にまで踏み込めるか。日経の記事では、「最大3年の延期」ということになっています。
もっとも、ただの「延期」では、現在の停滞状況が続くことになってしまい、消費が回復することはないでしょう。結局、我々日本国民は、
「将来的に消費税が増税される」
という予想の下では、消費を拡大することはなく、むしろ「増税に備えて」預金を増やすのです。(無論、増税直前の駆け込み消費「のみ」はあるのですが)
実際、2014年の消費税増税後、日本国民の消費性向(所得から消費に回す割合)は、75%から72%に下がりました。増税で実質賃金を引き下げられ、かつ「将来、またもや増税」という話では、国民が預金の割合を増やすのも無理もありません。
現在の日本経済は、消費税の増税延期ではなく「減税」最低でも「凍結」が必要な状況です。何しろ、消費税率を5%に戻したとして、それでようやく2013年度と同じ環境になったという話に過ぎません。
また、安倍総理が消費税増税を再び見送った場合、完璧な公約違反になります。当然ながら、総理は説明責任を果たさなければなりませんが、
「2014年度の消費増税が失敗であった」
ことを、明確に認めることができるかどうかがポイントになります。
「おととしの消費税の8%への引き上げが予想以上に消費に影響を与えたのも事実だ」
といった曖昧な言い方ではダメです。デフレ期に消費税を増税したことが「失政だった」と認めなければなりません。そもそも、総理は2012年6月のご自身のメールマガジンで、
『昨日、社会保障・税一体改革関連法案が衆院を通過しました。
3党合意についての私の考え方は、すでにメールマガジンでご説明した通りです。
報道等ではあまり触れていませんが、現在のデフレ下では消費税を引き上げず、法案には引き上げの条件として名目経済成長率3%、実質成長率2%を目指すという経済弾力条項が盛り込まれています。
つまり現在のデフレ状況が続けば、消費税は上げないということです。
しかし、野田総理のこれまでの委員会答弁は、この点があいまいであると言わざるを得ません。
要は民主党政権を倒し、デフレからの脱却を果たし、経済成長戦略を実施して条件を整えることが大切です。
そして、「その条件が満たされなければ消費税の引き上げは行わないこと」が重要です。
(安倍晋三元総理のメールマガジン(http://www.s-abe.or.jp/mailmagazine
2012年6月27日号より)』
と、書いているのです。すなわち、2014年度の消費税増税は、自身の持論(しかも、正しい持論)までをも裏切ったという話なのでございます。
「デフレ下の消費税増税は間違い」を政府が認め、国民に共有されない限り、将来的に「また増税」という話になってしまい、我が国の経済低迷は継続することになります。
政策的な失敗は、もちろん責められるべきですが、それ以上に最悪なのは「間違いを間違いとして認めない」ことだと思うのです。安倍総理。
「安倍総理は消費税増税を失政として認めよ」に、ご賛同下さる方は、
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