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『2016年第一四半期を振り返る(後篇)①』三橋貴明 AJER2016.4.26(9)

https://youtu.be/zOAOYTdAZyY
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 明日は文化放送「おはよう寺ちゃん活動中」に出演します。
http://www.joqr.co.jp/tera/


 デマゴギーな社説とは、「虚偽情報」「悪宣伝」に基づく新聞社としての意見という意味でございますね。要するに、印象操作目的のプロパガンダです。


財政出動要請 改革進める覚悟どこに
http://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20160509/KT160507ETI090003000.php
 安倍晋三首相が欧州歴訪を終えた。世界経済が不透明感を増す中で、持続的成長を続けるには需要を生み出す財政出動が欠かせないと各国首脳に訴えた。(中略)
 2月と4月の20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は「金融、財政出動、構造改革全ての政策手段を動員する」と合意している。だからといって各国が簡単に財政出動できる状況ではない。景気刺激策などで財政赤字が増加している国は多い。
 1千兆円を超す借金を抱える日本はその筆頭だ。マイナス金利の導入で、国債を発行しやすい環境にある。それに甘えて国債を乱発すれば、将来へのつけはさらに膨らむことになる。
 経済対策を目的とした財政出動は本来、規模や内容を慎重に検討しなければならない。従来型のばらまき政策では効果は一時的だ。日本の財政に対する国際的な信認も低下しかねない。経済成長と財政再建の両立策を示せないまま、日本が各国に財政出動の必要性を訴えても説得力に乏しい。
 それなのに、なぜ財政出動要請なのか。サミットで議長国として財政出動の国際協調をとりまとめ、国内では5兆~10兆円規模とされる経済対策を実施し、消費税増税も先送りする。参院選を前にした思惑が垣間見える。
 必要なのは、痛みを伴っても成長力を高める改革の道を世界が着実に進
めることだ。議長国として日本が果たさねばならない役割は、その方向性の取りまとめだ。選挙を意識したうわべだけの要請は簡単に見透かされる。日本の覚悟が問われている。 』


 まず、事実として、日本銀行の量的緩和政策で、政府の負債(国の借金ではありません)は実質的に130兆円超も減ってしまっています


【日銀保有国債等と日銀以外が保有する国債等(単位:億円)】

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_52.html#Nichigin


 中央政府の国債・財投債・国庫短期証券に限れば、政府が実質的に返済しなければならない負債は600兆円です。331兆円については、日銀が保有しているため、政府は返済の必要はありません(返済しても構いませんが)。

 信濃毎日新聞が「典型的」なのは、
「1千兆円を超す借金を抱える日本」
「将来へのつけはさらに膨らむ」
「従来型のばらまき政策」
「日本の財政に対する国際的な信認も低下」
 と、定義不明(あるいは、定義を明確にしない)抽象的なプロパガンダ用語をテンプレ通りに使用している点です。思考停止に陥り、言葉の定義を真剣に考えない人は、この手のレベルが低いプロパガンダにコロリと騙されます。


 1千兆円を超す借金を抱える日本、ではなく、1千兆円を超す借金を抱える日本政府、が正しいです。とはいえ、上記の通り、日銀が国債を買い取り、借金を帳消しにしていっているため、実質的には600兆円といったところです。


 しかも、長期金利までもがマイナスに陥っている以上、日本が財政破綻とやらに陥る可能性はゼロです。


 青木泰樹先生の「経済学者はなぜ嘘をつくのか 」に詳しいのですが、個人とは異なり、永続性があり、通貨発行権を保有する日本政府は、そもそも借金を返済する必要はありません。もちろん、税金で返済する必要もありません(してもいいですが)。


 政府の負債の返済方法は、主に三つ。

(1) 税金で返済
(2) 地球滅亡の日まで借り換えを続ける
(3) 日本銀行に通貨を発行させ、買い取らせる


 上記をインフレ率や金利、景気の状況を見ながら、使い分ければ済む話なのです。政府の負債について「税金で返さなければならない」などと言ってのける人は、個人向け予算制約式を、通貨発行権を持つ政府に適用している「バカ」でございます。(つまりは、経済学者のほとんどは「バカ」という話です)


 そもそも、将来へのつけ、というならば、デフレが継続し、供給能力が削り取られ、モノやサービスを生産できない発展途上国と化した日本を受け渡す方が、よほど「将来へのツケが膨らむ」でございます。


 また、従来型のばらまき政策とは、どうせ公共投資を意味しているのでしょうが、そもそも我が国は96年に45兆円だった公共投資を、20兆円にまで減らしてしまった愚かな国なのです。結果的に、国民の生命が危険にさらされています。

 さらに、財政に対する国際的な信認とやらが何を意味するのか分かりませんが、国債の信用度(デフォルトの確率が低い)というのであれば、金利以外に見るものはありません。世界で二番目(一番目はスイス)に低い超超々低金利で国債を発行している我が国は、むしろ財政の信任がありすぎて困っているわけでございます。


 加えて、日本政府が「消費税再増税の見送り」と「大々的な財政政策」という正しいデフレ対策を打てば、経済が成長し、税収が増えるために、財政は勝手に改善します(政府の負債対GDP比率が下がる)。


 信濃毎日新聞の主張には、正当性も合理性も真実性もないのです。つまりは、ウソ、です。


 挙句の果てに、正しい政策(財政出動)ではなく、「改革」(構造改革だと思います)をやれとは。「改革」あるいは「構造改革」こそが、日本経済を弱体化させた「従来型の政策」なのです。(すでに二十年もやっています)


 いずれにせよ、この手のウソだらけの社説が平気で紙面に載るのが我が国なのです。この手のウソつきたちには、「ウソをやめろ、嘘つき共め」と容赦なく指摘していかなければなりません。無論、嘘つきは信濃毎日新聞だけではありません。

 皆様も、嘘つきを見つけたら、容赦なく指摘、批判して下されば嬉しく存じます。


「信濃毎日新聞はウソを紙面に載せるな!」と、思われた方は、このリンクをクリックを!
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