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『2016年第一四半期を振り返る(後篇)①』三橋貴明 AJER2016.4.26(9)

https://youtu.be/zOAOYTdAZyY
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 夕刊フジGW特別号に「断末魔の中韓経済 中国経済はすでに「詰み」GDPをかさ上げするためだけの過剰投資が失速原因」を寄稿しました。
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20160506/frn1605061130001-n1.htm


 「月刊日本2016年5月号増刊 貧困・格差・TPP 」に「「農業」と「食の安全」が危ない 農協改革は日本を亡国に導きます」を寄稿しました。


 以前、スティグリッツ教授やクルーグマン教授の来日と、財政出動の提言について、


『経済分析会合 いいとこ取りはやめよ
http://www.chunichi.co.jp/article/column/editorial/CK2016031702000122.html
 政府が内外有識者の意見を聴く国際金融経済分析会合は、消費税増税延期や補正予算編成のお墨付きを得るためではないか。そんな臆測が強い。都合のいい部分だけを取り出してもらっては困る。(後略)』


 などと、意味不明なことを書いていた中日新聞(東京新聞)が、今回はまとも社説を書いていました。


『【社説】財政出動要請 増税延期の地ならしか
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016050702000149.html
 G7が財政出動で合意すれば消費税増税先送りの大義となりアベノミクス批判もかわせる-安倍晋三首相の欧州歴訪はそんな思惑を感じさせた。増税延期は歓迎だが公約違反の責任は残るはずだ。
 今月末の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)で議長を務める安倍首相は、世界経済の成長回復のため各国が機動的な財政出動で合意することを主要テーマに掲げている。欧州五カ国を回り、各国首脳との会談でも強く要請した。
 なぜ財政出動の要請なのか。世界経済は年初来、中国など新興国経済の減速や原油安などにより停滞感が強まっている。先の主要二十カ国・地域(G20)の会議でも、金融緩和の限界論など、もはや金融政策だけで問題は解決できず、財政政策の積極活用を共同声明で打ち出した。
 だが、安倍首相にとっては、それ以上に大きな理由がある。消費税増税の判断である。首相は来年四月の消費税率10%への引き上げについて、実施か再び延期かをサミット後にも判断する公算だ。
 日本経済の現状から先送りが濃厚だが、そう単純には決断できない事情がある。首相は一年半前に10%への引き上げ延期と衆院解散を決めた際、「再び延期することはない。アベノミクスによって増税できる環境をつくる」と述べている。「増税延期」と「次回必ず実施」の二つは公約だった。(後略)』


 安倍総理が欧州を行脚し、各国首脳に「財政出動」の協調を訴え、フランス、イタリアからは歓迎され、ドイツ、イギリスからは歓迎されないという、微妙な状況になってきています。

 メルケル首相は、財政出動に対し明確な拒否をしたわけではないのですが、
私は財政出動のフロントランナーではない
 と、何というか物凄く嫌そうな反応を見せ、議論はサミットに持ち越されることになりました。


 興味深いのは、メルケル首相の発言が、
「構造改革、金融政策、財政出動の3つを一緒にやっていかねばならない」
 となっており、更にイギリスのキャメロン首相も、
「世界経済の成長に向けてG7が協力しなければならないが、それぞれの国の事情を反映しながら、金融政策、構造改革、財政政策の『三本の矢』をバランスよく進めていくことが重要だ」
 と発言。


 財政政策(財政出動)が必ず最後に来ているのです


 加えて、金融政策+財政政策+成長戦略だったはずの「三本の矢」が、いつの間にか「金融政策+財政政策+構造改革」にすり替わってしまっています。そもそも、安倍総理自身が成長戦略を「構造改革」に変えてしまっているので、当然といえば当然なのですが。


 結局、安倍政権は、
「金融政策の拡大を望む、いわゆるリフレ派や一部の金融業界」
「機動的ならぬ緊縮的な財政政策を望む、財務省や御用学者」
「構造改革を推進する、竹中平蔵氏に代表されるレント・シーカーたち」
 と、三者の意見を総合する形で経済政策を推進してきたわけです。置き去りにされたのは、唯一、日本国民のみというわけですね


 ところで、ここまで総理が欧州で「財政出動」を繰り返す以上、背後には「日独などの財政拡大を望むアメリカ」がいるのではないかと予想しています。そもそも、スティグリッツ教授&クルーグマン教授を「誰」が呼んだのか。ここがポイントになります。


 スティグリッツ教授にせよ、クルーグマン教授にせよ、来日して会談を持てば、
「金融政策は限界。財政政策拡大が必要」
 と、提言することは誰の目にも明らかだったわけです。


 いずれにせよ、東京新聞の書いている通り、現在の日本は消費税を増税できる状況ではありません。そして、消費税増税を延期、凍結、減税する場合、安倍総理は明確な公約違反になります。


 公約に違反した以上、少なくとも「説明」が必要です。デフレ下の増税が失政であったと説明し、プライマリーバランス黒字化目標も破棄する。


 というところにまで踏み込めれば将来が少しは明るくなるでしょうが、現実には、
サミットで財政拡大が決まったので、やります
 というオチになると思います。(それすら、ない可能性も、もちろんあります)


 5月18日、16年1-3月期のGDP成長率発表。そして26日、伊勢志摩サミット。安倍政権が「財政拡大」という正しい政策へと舵を切り直す、ラスト・チャンスです。


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