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『2016年第一四半期を振り返る(後篇)①』三橋貴明 AJER2016.4.26(9)

https://youtu.be/zOAOYTdAZyY
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 本日は15時からテレビ愛知「サンデージャーナル」に出演します。
http://www.tv-aichi.co.jp/sunday-journal/


 今回の熊本・大分地震では、市庁舎や町役場がいくつか倒壊寸前に至り、使用不可能になりました。(宇土市役所だけではないのです)


 大規模自然災害では、庁舎に全ての情報が集まり、被害状況や必要物資が中央政府に伝えられ、救援の人材や物資が送られることになります。非常事態時の「司令塔」としての役割を果たすべき庁舎が、今回の地震では五か所で被災し、使用不能になってしまったのです。


庁舎被災、行政に支障 熊本地震、5市町で使用不能
http://www.asahi.com/articles/DA3S12324132.html
 熊本県などでの一連の地震で、本庁舎が倒壊の危険から使用できない自治体が同県内で5自治体にのぼることがわかった。人吉市が22日、余震で倒壊するおそれがあるとして本庁舎を閉鎖すると新たに発表した。「本震」から23日で1週間。被害の大きい自治体では、被災者支援や行政サービスが滞るケースも出ている。(後略)』


 被災した庁舎は、宇土市役所本庁舎、益城町役場庁舎、大津町本庁舎、人吉市本庁舎、八代市役所本庁舎の五つになります。当たり前ですが、司令塔の建物が利用不可能になりますと、行政機能の回復に遅れが出るため、復旧もままならなくなります

 何しろ、被災者向けの罹災証明書の発行すらできなくなってしまうわけです。


 人吉市は、5月9日から別館などの3施設に役所の機能を分散することを明らかにしました。大津町役場も、窓口機能を町民交流施設に移行。

 八代市も、人吉市と同様に、市内の公共施設に行政機能を分散。

 被災地では、行政機能を分散化させたことを、住民や被災者に周知することすらままなりません。住民側が知っていたとしても、分散された窓口をあちこち移動しなければならず、大変な不便を強いられます。

 先日も書きましたが、宇土市の庁舎は築51年でした。2003年に宇土市が耐震診断をしたところ、震度6強以上の揺れで倒壊の恐れがあると判定されました。今回の庁舎被災は、起こるべくして起きたのです。


 宇土市は建て替えの事業費を最低40億円と試算していました。財源不足に悩む宇土市は、市庁舎建て替えのための予算を「積み立て」で確保しようとし、6年で10億円積み立てました。


 ようやく、事業化の目途が立ち、建て替えの話が進み始めたタイミングで被災することになってしまったのです。


 こう言っては何ですが、高々「40億円」です。日本銀行が13年4月以降に、200兆円のマネタリーベースを拡大し、政府の負債が130兆円(15年末まで)も事実上、消滅してしまった国に置いて、わずか40億円の予算を確保できず、震災発生時に市庁舎が役目を果たせなくなってしまうわけです。

 これが、現在の日本国です

 ちなみに、全国の市庁舎の耐震化は遅れ気味で、2014年度末時点で71.2%です。学校や体育館が94.5%、診療施設が84.4%なので、市庁舎の遅れが目立ちます。


 しかも、怖いことに、1981年の耐震基準強化前に建てられた市町村の庁舎の内、「耐震性無し」と診断されたにも関わらず、改修されていないものが1059棟あります。


 「耐震性無し」判断が出ている市庁舎ですら、「予算がない」「財源がない」という理由で耐震化が行われない。本当に我が国は、先進国なのでしょうか。 

 いや、先進国ではあります。少なくとも、日本国には「まだ」市庁舎を建設する、あるいは耐震化工事を実施する供給能力は存在しています。しかも、長期金利は▲0.075%と異様な低水準になっており、銀行には借り手を求めるおカネが溢れ返っています


 それにも関わらず、政府は(地方自治体含め)予算を絞り、国民の生命を危険にさらしている。先進国としての供給能力を保有し、政府は国債発行と公共投資を求められている。それにも関わらず、存在しない財政問題を理由に必要な支出をしない。


 我が国は「狂った先進国」なのです。早く正気を取り戻しましょう。


「早く正気を取り戻そう!」に、ご賛同下さる方は、

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