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『高度成長期を知ろう①』三橋貴明 AJER2016.3.15

https://youtu.be/DoOeeMOAMNQ
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 東日本大震災のときも書きましたが、大地震が発生し、被災地で被災者の皆さんが苦しんでいるからといって、
被災地の方々のために、おカネを使うのは控えよう
 といった行動は絶対にやめてください。特に、イベントの自粛などは最悪です。


 わたくしたちは生産者として働き、モノやサービスを生産し、お客様に消費、投資として支出(購入)してもらい、所得を得ます。つまりは、所得とは「誰かがおカネを使わない限り」創出されないのです


 そして、この所得から税金が徴収され、被災地の救援のために使われることになります。


 皆さんが被災地のことを考え、おカネを使うのをやめてしまうと、その分、誰かの所得が生まれません。つまりは、税金が減ります。

 被災地のことを考えるならば、むしろこれまで以上におカネを使ってください。寄付やふるさと納税もいいですが、熊本県や大分県のモノやサービスを買うことこそが、真の意味で被災地支援になるのです。

 経済(経世済民という意味の経済)とは、そういう「仕組み」になっているのです。


 もっとも、熊本地震のような非常事態が発生すると、経世済民という意味の経済において、最も重要なのが何かわかってきます。あるいは、経済力の本質が分かるのです。


 経済力の本質とは、おカネではありません。モノやサービスを生産する力、すなわち供給能力です


 現在、熊本県の被災地では全国各地のモノ(食料や水など)を運び込む「運送サービス」の力が低下しており、被災者が苦しんでいます。何しろ、高速道路があちこちで寸断され、しかも阿蘇大橋のようにメインの橋梁が崩落していたりするのです。

 物資を必要な人、つまりは「需要」の下に届けるのが、運送サービスの仕事ですが、熊本県では実現が困難になっています。運送サービスにしても、「安全保障」の一環を担っているのです。そもそも、ロジスティックスとは兵站用語なのでございます。


『熊本地震 死者42人、避難所では物資不足
http://www.news24.jp/articles/2016/04/18/07327918.html
【熊本地震】一連の地震で亡くなった人は42人となり、けが人も1000人以上に上っている。また10人と連絡が取れておらず、自衛隊などは18日も朝から捜索を再開する予定。
 警察などによると、今月14日からの一連の地震で、熊本県内ではこれまでに42人が死亡したほか、けが人も1000人以上に上っている。(中略)
 一方、熊本県内では道路の寸断などの影響もあって、支援物資を思うように運べず、避難所では物資が不足している状況が続いている。また、今のところ、どこの避難所でどれくらいの支援物資が不足しているか、把握できていないという。
 このため熊本県は、運送会社の「ヤマト運輸」と「日本通運」の2社に協力を求め、支援物資を配送する態勢を強化する。
 熊本県は、避難所ごとに支援物資の配送状況を把握したうえで、必要な物資を避難所に届けられるようにしたいとしている。』


 東日本大震災の際にも、物資を満載にしたトラックを日本全国の運送サービスを担う「国民」が走らせ、新潟、山形という大回りで被災地に向かいました。あの方々の日当は、はっきり書いておきますがガソリン代にすらならないほど些少な金額でした。


 それでも、全国のトラック野郎たちは被災地にトラックを走らせたのです。

 なぜでしょうか。

 それは、東北の地で「同じ国民」が苦難に直面しているためです。
「困っているときは、お互いさま」
 の精神で、夜を徹してハンドルを握り続けた。当時のあの方々の思いこそが、健全な「ナショナリズム(国民意識)」であると確信しています。


 無論、運送サービスのみならず、土木・建築、電力会社などインフラ産業、警察、消防、自衛隊、そして地方自治体の職員の皆さんが、今も被災地で救援活動を続け、被災者に物資を届けるように奮闘しています。特に、地方自治体の職員は「地元」の出身であり、自らも被災者なのです。それでも、自分のことは後回しに、住民の方々のために尽力している方々がほとんどだという事実を知って下さい。


 経済とは、難しいです。


 例えば、自治体が地震に備え、膨大な物資や水を貯蔵していると、「無駄遣いしやがって!」と叩かれます。そして、いざ大地震が発生した際には、貯蔵した物資が「無駄遣いしやがって!」と批判した人をも救います


 とはいえ、物資が十分にあったとしても、それを被災地に届けることができなければ、結局は被災者が苦しみます。トラックなど運搬車両の準備は万全でも、「道路」に代表される交通インフラが利用不可能では、結局は被災地に物資は届きません。


 それでも、誰もが懸命に被災者に物資を届けようと頑張っているわけです。


 少なくとも我が国では、経世済民とは「防災安全保障」と切り離すことができません。そして、防災安全保障のためには健全なナショナリズムが必須なのです。


 いかなる「契約」をしていようとも、「外国企業」は、日本国民のために自らも大きな犠牲を払ってまで助けてはくれません。理由は、彼らが日本国でビジネスをしているのは「利益」のためだからです。ガソリン代にもならない金額で、同じ日本国民を救うために、夜を徹してトラックを被災地まで走らせるなどという「魂」は、持ち合わせていません。「外国」である以上、当たり前なのです。


 「震災列島」で生きていく全ての日本国民は、経世済民、安全保障、ナショナリズムの本当の意味を理解する必要があります。ナショナリズムとは朝日新聞の言う「軍靴の音が聞こえる」という話ではなく、「国民同士の助け合いの気持ち」であるという真実を、どうか知って下さい。


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