株式会社経世論研究所 講演・執筆依頼等、お仕事のご依頼はこちらから
三橋貴明のツイッター
はこちら
人気ブログランキング
に参加しています。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
『高度成長期を知ろう①』三橋貴明 AJER2016.3.15
https://youtu.be/DoOeeMOAMNQ
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
【緊急追加】平成28年4月6日付倉山満HP掲載記事について
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/20160407.pdf
↑しばらく、トップに掲載しておくことに致します。
来月(恐らく)、月刊三橋 のコンテンツとして、大好評だった「【経済講座シリーズ第1弾】脱・知ったかぶり!! 日本一わかりやすい経済指標の読み方」の続編ということで、「【経済講座シリーズ第2弾】三橋貴明の日本一わかりやすい経済指標の読み方~これであなたも経済マニア(仮)」をリリースする予定なのですが、経済指標というのは本当に「危ない」のです。
『ギリシャから難民など送還再開も流入止まらず
ギリシャからトルコに難民や移民を送り返す措置が4日ぶりに再開されましたが、これを上回る数の難民がギリシャに到着し、流入に歯止めがかからない状態が続いています。
ヨーロッパに向かうシリアなどからの難民や移民の流入を抑えようと、ギリシャから経由地のトルコに難民などを送り返す措置は今月4日に始まりましたが、これに反発する難民たちがギリシャ側で一部の港を占拠するなど混乱が広がり、送還できない状態が続いていました。
ギリシャ東部のレスボス島では8日、ようやく準備が整ったとして4日ぶりに送り返す措置が再開され、ギリシャ政府などによりますと、パキスタンからの移民など合わせて120人余りが2隻の船でトルコへ送還されました。
ギリシャの沿岸警備隊によりますと、港では送還に反対する活動家4人が出航を阻止しようと海に飛び込み船にしがみつくなどしたため、拘束されたということです。
船はトルコ西部のディキリに到着し、移民たちは収容施設へ移されたということで、トルコ政府はシリア人以外は本国に送還する方針です。
一方、トルコから海を渡ってくる難民や移民は後を絶たず、今月4日から8日朝までにギリシャの島々に到着した難民たちは合わせて850人余りに上り、流入に歯止めがかからない状態が続いています。』
3月にEU(欧州連合)とトルコが合意した枠組みに基づき、ギリシャからトルコへの難民送還が続いています。と言いますか、一次は中断していたのですが、再開いたしました。
難民問題と経済悪化という二重の重しに押しつぶされそうになっているギリシャですが、直近の失業率は24.4(16年1月)と相変わらず高止まりを続けています。特にひどいのが若年層失業率で、直近が48.9%。
ギリシャの15-24歳の労働人口(人口ではありません)の、およそ半分が失業状態に置かれています。「労働人口」なので、当たり前ですが学生等、労働市場に参加していない人は含まれていません。
正直、若年層失業率40%超のギリシャやスペインの実情を知ると、
「日本の人口問題とやらは、何て素晴らしんだ・・・」
と、思ってしまうわけです。何しろ、我が国は生産年齢人口比率が低下していっているため、若者は「宝物」になります。すでに、各地域で若い労働力の奪い合いが起きており(特にすごいのが、愛知、三重、岐阜の辺りです)、我が国の若年層失業率が「完全雇用」に達するのは間違いないと思います。
逆に、将来的には超人手不足によるインフレギャップ(供給能力不足)が問題になること確実な情勢ですが、だからこそ日本政府は今、インフラや技術に投資し、
「将来のインフレギャップを埋める投資(公共投資、技術開発投資)により、今のデフレギャップ(需要不足)を埋める」
という政策を推進しなければならないのですが、いい加減に財政の話は飽きたでしょうから、今日はこの辺にしておきます。
ギリシャに話を戻しますが、このギリシャ、実はOECDの統計によると、日本よりも労働生産性が高いという異様な状況になっています。労働生産性とは、ざっくりと書くと労働者一人当たりのGDP(国内総生産)になります。
「そんな、バカな!」
と思われたでしょうが、OECDの統計ではギリシャの生産性は日本よりも高いのです。なぜか。回答を、青木泰樹先生が寄稿して下さっています。
『【青木泰樹】若年層失業率60%のギリシャの労働生産性が日本より高い訳
http://www.mitsuhashitakaaki.net/2016/04/09/aoki-25/
(前略)さて、本日は「労働生産性の向上」という政府目標についてお話しします。
「労働生産性を向上させることは良いことだ。異論の生じる余地はない」と誰もが思うでしょう。
しかし、労働生産性を向上させる「手段(方法)」が経済学説によって異なるとしたらどうでしょう(実際そうなのです)。
学説の選択によっては、生産性の向上を目指すことが国民経済にマイナスになることもあるのです。
特に「供給側の経済学」に「構造改革論」を加味した経済観、いわゆる主流派論理に基づいて労働生産性を向上させようとすると国民経済は不安定化し、国家の安全保障さえ脅かすことを今回は指摘したいと思います。(中略)
一般に労働生産性は「GDP÷労働投入量(労働者数×労働時間)」と定義されます。
物価変動の影響を考慮するかしないかで実質労働生産性と名目労働生産性に区分され、また上の式のGDPを付加価値総額としたものが付加価値労働生産性です(ただし、ここでは細かいことにこだわる必要はありません)。
労働生産性という指標のもつ意義は、「効率(性)の比較」にあります。
効率の程度を、国家間、産業間、企業間もしくは期間毎に量的に比較するための指標です。
問題は、ミクロ(個別的企業)の効率性も、マクロ(経済全体)のそれも同一の労働生産性という指標で測られることです。
そこからミクロの労働生産性を向上させていけば、マクロの生産性も向上するという誤解が生じているのですが、その誤りについては後述します。
さて、どうすれば労働生産性を向上させられるでしょうか。
形式的に考えれば、定義(GDP/労働投入量)から明らかなように、分母(労働投入量)を減らすか、分子(GDP)を増やせばよいのです(もちろん、同時でも可)。
すなわち労働時間(もしくは雇用量)を減らすか、経済成長(GDPの増加)を促すかです。(中略)
日本より労働生産性の上回るギリシャを例に考えてみましょう。
実は、ギリシャは分母を減らす政策、すなわちプライマリー赤字解消のための歳出削減策を欧州委員会(EU)や欧州中央銀行(ECB)等から強制され、実施しました。
この財政緊縮策によって大量の失業者が生まれました。
結果的にプライマリー黒字は達成しましたが、平均失業率は26%(若年層失業率に至っては60%)に上り、財政破綻寸前までいったことは記憶に新しいと思います。
http://www.mitsuhashitakaaki.net/category/aoki/page/9/
なんのことはない、GDPの減少率以上に労働投入量が減ったために労働生産性が上がっただけのことなのです。
マクロレベルで分母を減らして生産性向上を図ることは国民にとって厳しいですね。
ミクロの延長線上にマクロの真理は無いのです。(後略)』
要するに、ギリシャはバブル崩壊後の緊縮財政で経済がデフレ化し、日本以上のペースでGDPが減っているのですが、それ以上に「労働投入量」が減った結果、労働生産性が日本を上回ってしまったわけです。失業率が20%を上回っていたとしても、いやだからこそ、逆にに「働いている人」一人当たりの生産は増えざるを得ないという話です。
ある意味で、ギリシャの労働は「効率的」なのかも知れませんが、国民経済として本当にこれでいいのでしょうか。いいわけないですね。
ちなみに、三橋は「マクロ的」な意味で生産性の向上(将来の超人手不足を埋めるため)を主張し続けていますし、今もその種の本を書いていますが、例えば企業に対し、
「労働者の解雇を繰り返すことにより、生産性を向上させる」
などということを求めているわけではありません。と言いますか、上記がマクロになると、まさにギリシャ・パターンですね。
そうではなく、需要・仕事が十分に存在するという前提で、
「人手不足の環境下で、労働者一人一人がこれまで以上に生産を拡大し、実質賃金を増やす(実質賃金は生産性向上以外では増えません)」
ことを国民経済として目指すべきで、少なくとも「政治」はそうあるべきだ、と主張しているわけでございます。
例えば、三橋が、
「デフレ期に企業が無理矢理に労働者を解雇し、生産性向上を目指すと、失業者が増えることでデフレが悪化する」
と主張すると、
「何だ、三橋はいつもは生産性向上、生産性向上などと言っておきながら、生産性向上を否定してやがる。ダブルスタンダードだ!」
などと、分けの分からない批判をしてくる連中がいるのですが、もう少し頭を使おうよ。折角、人間として生まれたのだから。
要するに、労働生産性に限らず、指標は「正しく読む」ことができれば非常に役立ちますが、読み方を知らない人にとっては害悪でしかないという話です。マスコミは、「正しく読む」ことを心掛けない人々(多数派)をターゲットに、様々な虚偽情報を流してきます。
というわけで、月刊三橋に限らず、今後も「経済指標の正しい読み方と、それが示す現実と解決策」について情報発信を続けていきたいと思いますので、ご支援の程よろしくお願いいたします。
今後も三橋貴明をご支援下さる方は、
↓このリンクをクリックを!
人気ブログランキング
へ
◆本ブログへのリンクは以下のバナーをお使いください。
◆関連ブログ
◆三橋貴明関連情報
Klugにて「三橋貴明の『経済記事にはもうだまされない』」
連載中
新世紀のビッグブラザーへ ホームページ
はこちらです。
メルマガ「週刊三橋貴明~新世紀のビッグブラザーへ~」
は↓こちらです。