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『高度成長期を知ろう①』三橋貴明 AJER2016.3.15

https://youtu.be/DoOeeMOAMNQ
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2016年4月10日(日)12時から
日台親善シンポジウム「台湾の対中経済政策を考える」

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 財務省が3月5日に、4月に発行する10年物国債の入札を実施したところ、平均落札利回りがマイナス0・069%となってしまいました。10年債の落札利回りがマイナスになるのは2カ月連続で、マイナス幅は3月発行分の0・024%から拡大し、最低を更新。


 新規発行国債までもが、完全に「投機商品」と化してしまっています。何しろ、額面+金利を上回る金額で十年債を買ったとしても、それ以上の金額で日本銀行が買い入れてくれるのです(量的緩和政策により)。


 というわけで、府が長期国債を発行し、インフラや技術に投資する絶好の機会が訪れました。日本銀行の量的緩和政策を継続する上でも、政府の国債を市中に供給する必要があります。

 ある意味で、生産能力が十分な国(十分だった国)が、金融政策のみでデフレ脱却しようと試み、財政はむしろ緊縮という「いかれた」政策を続けた結果、行き着くところまで行き着いたと表現しても構わないと思います。結局のところ、安倍政権及び財務省は「経済の力」により、緊縮財政から財政拡大へと舵を切ることを強いられようとしているわけです。


 すでに、17年4月の消費増税の「見送り」は固い状況になっていますが、問題は現在の日本にとって最も適したソリューション、すなわち、
消費税増税は凍結(もしくは減税)し、インフラ、技術、公的サービス(医療、介護、保育など)への長期支出により、需要不足を解消すると同時に、将来的な生産性向上を図る
 にまで達せるかどうかです。


 ポイントは、
長期に緊縮財政路線から脱却できるか、否か
 になります。


 何の話をしているかといえば、財務省は短期的な「増税延期」や「給付金支給」等については受け入れたとしても、消費税の「凍結」「減税」、インフラ・技術への投資、公的サービスへの継続的な支出拡大など、「長期の財政拡大」に対しては凄まじい抵抗をするという現実です。


 というわけで、15年10月に予定されていた消費税増税は「延期」にとどまり、財政支出として出てくる案が「商品券を配る」といった短期の効果しか望めない政策ばかりになってしまうのです。財務省の御用学者たちは、財政支出拡大の必要性は認めつつ、
「子育て世代へのクーポン券で」
「年金世代への給付金で」
 などなど、一時的な効果しか見込めないか、あるいは一時的な効果すら見込めない(浮いたおカネが預金に回されるため)政策を主張してくるわけです。


 政府の財政出動は必要だ。だが、給付金や商品券が良い。

 などと、今時、周回遅れの主張をしている論者は、意識的、無意識的に関わらず「財務省の飼い犬」と見て、まず間違いないと思います。


安倍首相、今年度予算の前倒し執行を指示 閣議で
http://www.asahi.com/articles/ASJ453395J45ULFA005.html
 安倍晋三首相は5日の閣議で「日本経済の回復傾向に変わりないが、世界経済の不透明感が高まっている」と述べ、景気を下支えするために2016年度の当初予算を前倒しで執行するよう改めて指示した。これを受け、麻生太郎財務相は同日の記者会見で「公共事業は上半期末(9月末)で(全体の)12兆1千億円の8割程度が契約済みとなることをめざす」と語った。
 財務省によると、最近5年の上半期の契約率は平均で68%程度。16年度の上半期に8割を契約すれば、これまでよりも1兆円程度、契約額を上積みできるという。リーマン・ショック後の09年度当初予算でも、当時の麻生政権が「上半期8割」の契約目標を掲げている。
 契約を前倒しする事業は、道路や港湾、上下水道といった公共事業など一般会計7・7兆円のほか、東日本大震災の復興事業の復興特別会計(1・9兆円)など。高速道路や国立大学の校舎、鉄道建設など、独立行政法人関連の施設費(2・2兆円)も対象となる。』


 安倍政権は、インフラ整備を含めた公共事業について、前倒し執行すると報じられています。

 予算を前倒しすると、当然ながら下半期に「予算不足」の状況に陥ってしまうため、臨時国会で補正予算を成立させるというプロセスになるのでしょう。予算を前倒し執行して、補正予算が組まれないと、さすがに下半期が大変なことになってしまうため、財務省も了承せざるを得ないと思います。

 とはいえ、もちろん上記は「今年」の話であり、来年度以降も継続して需要が見込める状況にならなければ、土木・建設産業は本気で人材獲得や設備投資に動こうとはしないでしょう。何しろ、安倍政権までもが14年度以降にインフラ整備等の予算を切り詰めていったため、
「需要があったって、どうせ今年度だけでしょ」
 という話になってしまいます。


 要するに政府が信用を失っているわけですが、上記問題を解決するためには、やはりインフラ投資や技術投資といった、継続的に支出せざるを得ないプロジェクトを決定できるかがカギになります。給付金や商品券、クーポン券は、もちろんやらないよりはマシですが、明らかに「財務省の思惑通り」なのです。


 念のため書いておきますが、安倍政権はともかく、自民党には、
北陸新幹線の関空までの延伸
 や、
国際リニアコライダーの北上誘致
 といった、適切なプロジェクトを推進しようとしている議員はいます。


 この手のまともな動きをサポートするためにも、安倍政権に対し、消費税の「凍結・減税」及び「長期的な財政支出拡大」を求めていく必要があるのです。


 ちなみに、総理個人がどう考えているかなど、分かるはずがありませんし、どうでもいい話です。政治家の「思惑」など忖度せずに、正論を声高に訴えなければなりません

 日本経済がデフレに逆戻りするのか、それとも財務省路線と決別し、経済成長路線を歩めるのか。決定的な正念場が訪れようとしています。


「財務省路線と決別せよ!」に、ご賛同下さる方は、

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