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『高度成長期を知ろう①』三橋貴明 AJER2016.3.15

https://youtu.be/DoOeeMOAMNQ
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2016年4月10日(日)12時から
日台親善シンポジウム「台湾の対中経済政策を考える」

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 昨日の話の続きですが、「人手不足」という生産性向上の絶好の機会が訪れたのにも関わらず、なぜそちらの方向に思考が向かず、社会全体に、
「人手不足を外国人で補うしかない。短期で外国人を入れ、仕事が無くなれば帰国させればいい」
 などと、資本主義に反し、日本の国家を壊し、さらに言えば外国人労働者の人権すら無視するレトリックが横行してしまうのか。

 もちろん、97年の橋本緊縮財政以降、国民が長期のデフレに苦しみ、「生産性向上により経済成長する」という資本主義の原則を、ほとんど経験することがなかったためです。


 今の日本国民の多くは「生産性向上のための投資による経済成長」を「知らない」という話なのでございます。「経済成長」はマクロ的な話ですが、これをミクロに落とし込むと、「所得が(実質値で)増える」になります。


 結局、人間は「環境」に思考を左右される生き物です。投資や生産性向上により所得が増えた経験を持たない(あるいは「知らない」)国民は、現在の「貧しくなる」環境が継続すると考え、経済成長について「普通」に考えることができなくなってしまうのです。


 生産性向上による「所得の増加」を知らない国民の多くは、「人手不足」に対して「外国人で」というレトリックにコロリと引っかかってしまいます。


 要するに、長期デフレが言論を歪めているという問題なのですが、現在の「消費税増税」にしても、議論が随分と混乱してしまっています。


消費増税再延期「内閣総辞職に値する」 民進・岡田代表
http://www.asahi.com/articles/ASJ435VHPJ43UTFK005.html
■岡田克也・民進党代表
 安倍首相は(2014年に)「リーマン・ショックのようなことがない限り、必ず(17年4月に)消費税を上げます」と言って解散した。17年4月から上げることができないとなれば、これは重大な公約違反だ。したがって、それは内閣総辞職に値する。
 我々は(景気次第で増税をやめられると定めた)「景気条項」が(消費増税改正法から)削除されても、そのときの経済状況で判断する考え方を維持している。どうするかは党として決めていないが、苦渋の決断だ。
 今の経済状況、(政府が)行政改革をしていないということであれば、国民が(「増税を再延期すべきだ」と)思うのも無理がない。そういうことをきちんとクリアしたうえで、(消費税を)上げられる状況を作り出すべきだ。
 しかし時間もなくなってきた中で、(増税が)事実上不可能になってきているのが現状だと思う。だが、それは先々の世代に負担をかぶせているだけという面もある。国民に本当に申し訳ないことだ。上げられる状況を作り出せていないことも申し訳ない。


 もう、どこから何を突っ込めばいいのか、わけが分からなくなってしまいますが、安倍政権が「内閣総辞職」に値する失政があったとしたら(ありましたが)、そもそもデフレが継続している環境下において、14年4月に消費税増税を強行し、更に緊縮財政に舵を切ってしまったことです。


 デフレ脱却を標榜して政権を取った安倍政権が、デフレ深刻化のための政策を採った方が、よほど内閣総辞職に値すると思います。


 さらに、各種の世論調査によると、国民の八割は消費税増税について見送るべきと考えていますが、別に「行政改革」とやらのせいではありません。というか、行政改革って、何のことなのでしょうか。


 国民は単に、安倍政権の緊縮財政で実質賃金が減少し、貧乏になっているからこそ、消費税増税に反対しているわけです。


 さらに、日本銀行が国債の三分の一を保有するに至っている以上、日本政府の実質的な負債は減少しています。別に、将来世代に返済負担が生じているわけではありません。

 と言いますか、実際に安倍政権は将来世代に「負担」を強いているのですが、それは借金云々ではなく、デフレを長引かせることで我が国の虎の子の「供給能力」の毀損していっていることです。「おカネ」など日本銀行が指先一つで(日銀当座預金なら)発行できますが、供給能力はそうはいきません。


 供給能力の拡大には、生産性向上のための投資の蓄積が必要です。

 そういう意味で、人手不足が深刻化している現在の日本は、デフレで毀損した供給能力を回復するチャンスでもあるのです。


 それにも関わらず、安倍政権は、
人手不足は外国人労働者で
 野党第一党は、
消費税増税見送りは将来世代への負担の先送り
 などと、両者ともに意味不明なことを主張しているわけで、この「言論の混乱」は、果たして解きほぐすことができるのかどうか、危ぶんでしまうほどに深刻です。

 まあ、それでもやるしかないのですが。


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