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『高度成長期を知ろう①』三橋貴明 AJER2016.3.15

https://youtu.be/DoOeeMOAMNQ
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2016年4月10日(日)12時から
日台親善シンポジウム「台湾の対中経済政策を考える」

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 本日は三橋経済塾第五期第三回講義開講日です。ゲスト講師は青木先生です。
 ちなみに、わたくしの講義は「資本主義が成立していない」と「都市と交通インフラ」の二本立てでお送りいたします。


 さて、スティグリッツ教授の提言について、メディアが「報道しない権利」を乱用しておりますので、一次ソースからまとめておきたいと思います。


 一次ソースがどこにあるかと言いますと、こちらです。


【第1回 国際金融経済分析会合 議事次第】
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/kokusaikinyu/dai1/gijisidai.html


 スティグリッツ教授の現状認識は、本ブログで展開されているものとほぼ同じなので省略し、主に日本に対する提言に絞ります。
 
●世界経済の中心的課題:総需要の不足
●金融政策:
 金融施策は、概ねその役割を全うした。
 深刻な停滞時において、金融政策が極めて有効だったことはこれまでにない。唯一の効果的な手段は財政政策。
 本当の問題はゼロ金利制約ではない。金利を少し下げること(例えマイナスの領域に入ったとしても)は機能しない。
 マイナス金利の試みは景気を大きくは刺激せず、悪い副作用をもたらす可能性も。
 量的緩和は不平等を拡大した。
●財政政策:
 当然の手段
 2008年から09年の財政拡大は効果があった。(※日本では麻生政権)
 危機時に(政府の)支出を最適化する時間はなかった。たとえ不完全な歳出であっても、大量の資源を活用せずにいることや不況に比べれば望ましい。
 グローバリゼーションにより政策効果は損なわれている、便益は他国に流出し、費用は自国に発生。
 ※これはMFの話ではなく、例えば外国に自国の公共事業を受注されてしまうケースなどを意味すると思われます。
●対処法
 緊急の問題:世界の需要を取り戻す
 炭素に高価格を設定
 経常黒字をインフラを含めた投資に活用
 政府支出の増加
 平等性を高める施策:賃金上昇と労働者保護を高める施策
 グローバルな基軸通貨制度を構築
 国内需要は民間よりも大きい:環境や人間、(知識ギャップを埋める)テクノロジー、インフラ、住みよい街にするための投資も(需要に)含まれる。
  ・国内需要の大半は公的ファイナンスで調達されるべきもの。 
  ・健康や教育はその中でも重要なサービス部門。
 緊縮財政をやめる
 環境税の引き上げや金融取引税の導入。
 法人税減税は投資拡大に寄与しない。大抵の投資は借り入れが原資で、支払利子は所得控除となっるため。減税はネットの資本コストを上昇させ、投資意欲を減退させる!
 むしろ、国内で投資や雇用創出に積極的でない企業に法人税を引き上げる方が、投資拡大を促す
 必要なのはインフラとテクノロジーに対する積極的な投資
●構造改革
 適切な需要なしには、サプライサイドの改革は失業を増加させるだけで、経済成長には寄与しない。 
 低生産性部門からゼロ生産性、つまりは人々を失業に追いやるだけ。
 供給は、それ自体の需要を作り出さない。
 実際にサプライサイドの改革は需要を弱め、GDPを低下させる。
 適切に設計された需要刺激策は、供給や生産性を増加させ、現在および潜在的なGDP成長率を引き上げることができる


 いやあ、圧巻ですね、

 要約すると、
◆金融政策は限界
◆緊縮財政は間違い。インフラや技術への財政拡大が正解
◆デフレ期の構造改革は間違い
 と、アベノミクス、厳密には「金融政策+緊縮財政+構造改革」に変貌を遂げてしまった、狂ったアベノミクス全否定でございます。

 ちなみに、需要刺激策が潜在GDPを引き上げる理屈については、青木先生が先日のコラムで書いて下さっています。


【青木泰樹】アベノミクスの成長戦略が失敗する訳
http://www.mitsuhashitakaaki.net/2016/03/12/aoki-24/
『(前略)以前、主流派経済学の経済観に合致させるように、内閣府が「潜在成長率(潜在GDPの成長率)」の定義を変えた話をしました。
 現在、内閣府が使っているのは「平均概念の潜在GDP」と言い、過去平均の諸資源の投入量によって生産されたGDPを指します。
 その論考で、平均概念の潜在GDPを決めているのは(諸資源の
平均投入量を決めているのは)、実は過去の総需要の平均であることを指摘しました。
http://www.mitsuhashitakaaki.net/2014/07/12/aoki-4/
 内閣府によれば、現在の潜在成長率は0.5%ですが、それは過去の総需要の低迷(デフレ不況)の結果なのです。
 それでは反対に、将来の潜在成長率を上昇させるにはどうしたらよいでしょう。
 総需要の増加が継続的に発生し、景気の拡大が続けばよいのです。
 例えば、現水準より15兆円の需要増加(GDPを500兆円とした場合、3%)が10年も続けば、潜在成長率は3%になるのです。
 潜在成長率は、経済成長の頭を押さえる重石ではなく、将来の景気動向(今後の経済運営)によって左右されるものなのです。(後略)』


 本ブログのユーザーの皆様であれば、スティグリッツ教授のプレゼンや青木先生の寄稿の要点を「正しく」理解できるのではないでしょうか。


 この手の情報を「正しく」知ることで、少しずつ、ほんの少しずつ、世界は変わっていきます。

 正しく知って、議論しましょう。


「正しく知って、議論しよう!」に、ご賛同下さる方は、

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