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『一石三鳥の政策①』三橋貴明 AJER2016.2.16(9)

https://youtu.be/mjPpOo00xVk
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一般参加可能な講演会のお知らせ

・2016年3月11日(金)17時から 東京都トラック総合会館 7階大会議室
平成27年度東ト協ロジ研第3回オープンセミナー
お申し込みはこちらから⇒ https://ws.formzu.net/fgen/S60999655/

・2016年4月10日(日)12時から
日台親善シンポジウム「台湾の対中経済政策を考える」
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 イーストプレス社に「「増税と政局・暗闘50年史」(倉山満著)に関する謝罪広告」 が掲載されました。
http://www.eastpress.co.jp/media/index.php?pub_id=yka249976629
『当社は、当社出版にかかる「増税と政局・暗闘50年史」(倉山満著)中に、三橋貴明氏に関して事実に反する記載があり、三橋貴明氏の名誉を毀損したことを謝罪します。』


 通常予算が(事実上)成立したことを受けたのか、ようやく緊急経済対策の検討が報じられ始めました。(当たり前なのですが)


政府、緊急経済対策検討へ…予算成立後に具体案
http://www.yomiuri.co.jp/economy/20160301-OYT1T50184.html
 政府は、世界経済の減速を受け、国内景気を下支えする緊急経済対策の検討に入った。2016年度予算案の成立後、今月下旬にも具体案の調整に着手する。
政府・与党内では、緊急経済対策を盛り込んだ16年度補正予算案を編成し、秋の臨時国会に提出する計画も浮上している。(後略)』


 いや、秋の臨時国会では遅いでしょ。国会は6月末まで開いているわけですから、当然、それまでに補正予算を成立させなければなりません。やらないというならば、国会議員など不要です。


 ところで、日銀が袋小路に追い込まれ、経済失速とデフレギャップ拡大が明らかな以上、財政政策を拡大するのは当たり前として、どの程度の「規模」が必要でしょうか。内閣府は、間もなく15年10-12月期の需給ギャップ(のマイナス)を発表するでしょうが、恐らく10兆円前後のデフレギャップ(需要不足)状況に陥っているでしょう


 ご存じの通り、内閣府のデフレギャップの計算は「平均概念の潜在GDP」を使っているため、実際の需要不足はもっと大きいでしょう。とはいえ、少なくとも政府発表で、我が国は10兆円前後の需要不足を抱えているとの発表がなされるのです。

 とはいえ、注意しなければならないのは、現在の日本に必要な「財政拡大」は、二つの「方向」の規模が必要という話です。


 内閣府が10兆円規模のデフレギャップを発表した場合(実際は、もっと多いのでしょうが)、政府は当たり前の話として「短期的」に10兆円規模の財政拡大が必要になります。すなわち、短期のデフレギャップを埋めるという「方向」の財政拡大です。


 そして、二つ目の「方向」は、将来の生産性向上とインフラの充実。さらには、土木・建設業の供給能力の向上と若年層への技能継承を可能にする、継続的な財政の拡大になります。

 例えば、北陸新幹線の延伸です。北陸新幹線の敦賀から先の延伸について、例えば小浜-舞鶴-京都-大阪-関空というルートを決めたとします。当然ながら、現在の「年間750億円」という「ちんまい予算」では実現の運びに至りません。敦賀-関西空港間を五年でやるという「計画」を立て、工区を分割し、複数の企業に発注して「一気にやる」必要があります。


 また、JR東海が主導するリニア中央新幹線も、名古屋-大阪間について政府が無利子融資を提供し、2027年まで、可能であれば東京-名古屋-大阪同時開通を「より早い時期」に実現してもらう必要があります。


 さらに、整備計画はあるものの、事業化が進まない九州新幹線の長崎延伸、北海道新幹線の札幌延伸についても、北陸新幹線やリニア新幹線と同時に事業化し、やはり工区を分割することで一気に進める。


 それだけではありません。


 舞鶴から鳥取、松江、出雲を経由して下関に至る山陰新幹線関空から淡路島に渡り、四国北部の高松、四国中央、新居浜、松山から九州の大分に渡る四国新幹線新青森から富山に至る羽越新幹線。ミニ新幹線ではない、普通の新幹線を福島から山形、秋田まで延ばす必要もあります(奥羽新幹線)。


 上記の新幹線整備の中で、関空から淡路島に渡る部分は「基本計画」にありません。元々、四国新幹線は明石海峡大橋のルートを通る計画になっていました。新幹線の基本計画が立てられた時点では、関空は存在しませんでしたので、基本計画を修正する必要があるでしょう。


 上記以外にも、中国・四国横断新幹線、九州横断新幹線、東九州新幹線、北海道新幹線の室蘭-千歳回り(こちらの方が需要が大きいと思うのですが)。さらには、高崎~前橋~宇都宮~水戸をつなぐ北関東新幹線(これは基本計画にはありません)など、必要な新幹線を一気に整備したとしても、費用は10兆円強に過ぎません(最も費用が高いのが、名古屋-大阪間のリニア新幹線で、3兆円程度)。


 もっとも、10兆円あれば全ての必要な新幹線を整備できるからといって、「デフレギャップが10兆円。ならば、一気に新幹線を整備しよう」などということはできません。何しろ、我が国はすでに土建大国でも何でもない上に、そもそも新幹線を「一年」で整備することなど不可能です。環境アセスメントだけでも、2~3年は必要になります。


 とはいえ、逆に言えば、
「今後十年で、必要な新幹線を全て整備する」
 ことを政府が決定し、十年で十数兆円の予算を費やす「コミットメント」をすれば済む話なのです。実際に使われる予算は、年間に1兆円強に過ぎません


 長期的な予算を政府がコミットメントすれば、あるいは大々的な新幹線整備プロジェクトの計画が成立すれば、土木・建設企業が本気になって投資、人材雇用に乗り出し、供給能力の向上と若年層への技能継承の双方が実現するでしょう。


 つまりは、現在の日本政府は、
短期的なデフレギャップ(約10兆円)を埋める
 ことでデフレ脱却を目指すことに加え、
長期的なインフラ整備の計画を立て、土木・建設企業の供給能力の回復を図る
 の双方を推進する必要があるのです。


 冒頭の読売新聞の記事を見て、わたくしが思ったのは、
あ、景気が悪くなったので、例により小規模の財政出動でお茶を濁し、緊縮財政路線を継続する気だな
 でございました。わたくしがそう思ってしまう以上、土木・建設企業は猶更「需要が増えたとしても、一時的な話でしょ」と考えたはずです。結果、投資や人材雇用は増えず、我が国は着々と発展途上国への道を歩んでいくことになります。


 本ブログは、国会議員の方々もお読みになられています。というわけで、安倍政権に対する好き嫌いといった感情的な話は脇に置き、とりあえず、
現在の日本には、デフレギャップを埋める短期の需要創出と、長期的なインフラ整備計画という二つの財政出動が必要
 ということを原則として、今後の財政政策の議論を進めて欲しいと心の底から願う次第でございます。


政府や国会は財政出動の「二つの方向」を考慮せよ!に、ご賛同下さる方は、

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