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『一石三鳥の政策①』三橋貴明 AJER2016.2.16(9)
https://youtu.be/mjPpOo00xVk
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一般参加可能な講演会のお知らせ
2016年4月10日(日)12時から
日台親善シンポジウム「台湾の対中経済政策を考える」
https://f35992faa456ac63f123cd71b3.doorkeeper.jp/events/38914
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明日は文化放送「おはよう寺ちゃん活動中」に出演します。
http://www.joqr.co.jp/tera/
日本銀行のマイナス金利について、2月7日の「過度な金融政策依存から財政政策へ
」のエントリーで、
『日銀のマイナス金利政策で、結局、
「預金者が損をし(金利引き下げにより)、政府が得をする」
という、意味不明な事態になってしまっています。』
と、書きました。
『マイナス金利の恩恵、最大は政府の1.2兆円=民間調査
http://jp.reuters.com/article/minusir-benefit-idJPKCN0VS0E4?sp=true
日銀が導入したマイナス金利政策の結果、最も得をするのは政府で、その規模は1.2兆円──。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の試算でそんな結果が出た。
また、最大の負担主体は銀行で0.7兆円、家計はプラス・マイナスゼロだった。仮に日銀が追加緩和し、マイナス金利の幅が拡大すれば、政府の受ける恩恵は膨張するとみている。(後略)』
実際には、今のところは預金者は±ゼロで、政府が得をした分、銀行が負担を背負うという形になってしまっているようです。
いずれにせよ、ポイントは、今回のマイナス金利政策が、
「政府が民間から所得を吸い上げる」
一種の緊縮財政の結果をもたらしてしまっているという点です。
もちろん、金利低下により恩恵を受けた政府が、それ以上の「財政支出」の拡大に踏み切れば、緊縮財政にはなりません。とはいえ、現状の安倍政権は、財政拡大に舵を切り直す素振りすら見せていないのです。
そもそも、今回のマイナス金利政策の目的は、日銀の黒田総裁が説明した通り、
「イールドカーブを全般にわたって引き下げ、一方で予想物価上昇率を引き上げることで、実質金利をイールドカーブ全般にわたって押し下げる。それによって、消費や投資を刺激し、経済が拡大し、その中で需給ギャップが縮小し、インフレ期待の上昇と相まって、物価上昇率を2%に向けて引き上げていく」
と、名目金利を引き下げることで消費や投資を拡大する、というものでした。「一方で予想物価上昇率を引き上げることで」と言っているので、いわゆる「リフレ派」理論を放棄したわけではないですが、
「インフレ目標とコミットメント、量的緩和で期待インフレ率を引き上げ、実質金利を引き下げる」
という岩田規久男教授の「学説」では不十分と、日本銀行は認めたことになります。
とはいえ、実質金利をイールドカーブ(債権の残存期間ごとの金利)全体で引き下げたところで、国民に資金需要がない状況は変わりません。何度も繰り返しますが、実質金利やら、期待インフレ率を眺めて投資や消費の決断を下す人など、少なくとも長期のデフレに苦しめられている今の日本には存在しません。
黒田日銀総裁は、昨日の衆議院予算委員会で、マイナス金利政策により、
「国債利回りが大幅に低下したほか、貸し出しの基準となる金利や住宅ローン金利も低下し始めており、金利面ではすでに政策効果が表れている」
と述べました。
そんなことは分かっているわけですが、問題は「金利低下」が新たな消費や投資を増やすか、否か、です。
住宅ローンの金利低下を受け、恐らく借り換えは増えると思いますが、これは「新たな投資」にはなりません。借り換えた家計と借り換え先の銀行に、借り換えられた銀行から所得が移転するだけの話です。別に、銀行が借り換えの顧客を奪い合うことを否定する気はありませんが、
「そもそも、目的はそれではなかったでしょ!」
という話になります。
黒田日銀総裁は、金利低下を受け、
「今後実体経済や物価面にも波及していく」
と、発言し、最近は「実体経済=総需要=名目GDP=消費+投資+純輸出」に毎度毎度言及するようになった点は、評価します。実体経済が問題とは、要するに「デフレは総需要の不足」という話です。デフレは貨幣現象ではありません。
いずれにせよ、今回のマイナス金利政策は、現状は「緊縮財政」になってしまっています。すなわち、総需要抑制策です。
結局、総需要の不足という根本的な問題から政府が目をそらし続ける限り、金融政策は「歪み」を引き起こさざるを得ないことが分かります。
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