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『一石三鳥の政策①』三橋貴明 AJER2016.2.16(9)

https://youtu.be/mjPpOo00xVk
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一般参加可能な講演会のお知らせ

2016年4月10日(日)12時から

日台親善シンポジウム「台湾の対中経済政策を考える」

https://f35992faa456ac63f123cd71b3.doorkeeper.jp/events/38914

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 間もなく、三橋経済塾第五期第二回の講義がアップされるのですが、講義にお越しになることができなかった塾生の皆様には、特に中野剛志先生のご講演を、資料をダウンロードした上でご視聴になられることをお勧めします。
http://www.mitsuhashi-keizaijuku.jp/


 今回の中野先生のご講演のタイトルは「株主資本主義とアメリカ経済」でした。特に、アメリカの生産性や実質賃金が、80年代以降に「停滞」状態に陥っている現実に、衝撃を受けるのではないかと思います。ちなみに、実質賃金と生産性の関係については、わたくしの講演の方で「特集」しておりますので、そちらをご視聴ください。
 
 アメリカは「構造改革」において、日本よりもはるかに先行しています。結果的に、国民が少数の高所得者層と、圧倒的多数の低所得者層に分断されていきました


 まさに、スティグリッツ教授の言う「1% 対 99%」が、すでにアメリカでは「実現」してしまっているわけです。アメリカでは上位1%層の所得が、全体の25%に迫っていますが、これは大恐慌前の格差水準とほぼ同じです(1940年代から70年代にかけては、10%程度でした)。


 問題なのは、本来は「民主主義」により、富裕層や大企業に有利な「構造改革」が是正されるはずが、すでにアメリカ政治はウォール街に象徴される「マネー」に支配されるようになってしまっている点です。すなわち、スーパーPAC(アメリカの政治資金管理団体)に対する献金の「無制限」により、カネとテレビコマーシャルに民主主義が支配される事態に至ってしまいました。


 結果、アメリカ政治は「献金力」で動くようになってしまい、「1% 対 99%」の問題が永久化しようとしていたわけです。


 とはいえ、今回の大統領選挙を見ていると、その状況にもついに変化が生じようとしてようです。すなわち、民主党のサンダース候補、共和党のトランプ候補の善戦です


民主クリントン氏、共和はトランプ氏 米大統領選指名争い第3戦、ブッシュ氏撤退
http://www.nikkei.com/article/DGKKASGM21H10_R20C16A2MM8000/

 米大統領選は20日、候補指名争いの第3戦があった。西部ネバダ州の民主党の党員集会でヒラリー・クリントン前米国務長官(68)、南部サウスカロライナ州の共和党の予備選では不動産王ドナルド・トランプ氏(69)が勝利した。3戦とも上位に食い込めなかった共和党のジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事(63)は撤退を表明した。(後略)』


 サンダース候補はネバダではクリントン候補に敗北しましたが、アイオワでは大接戦を演じ、ニューハンプシャーでは圧勝しました。


 サンダース候補は、自称「民主社会主義」者で、大手銀行の解体、真の意味(日本的、という話)な国民皆保険の導入、最低自給を15ドルに引き上げるなど、明確に「反・構造改革」的な政策を主張しています。


 トランプ候補は、中国などからの輸入に「大幅な関税」を課すことや、メキシコからの移民流入阻止のために、国境に壁を築くことを主張しています。

 ちなみに、サンダース候補はTPPについて、
貿易協定ではなく、労働者に厳しい究極の構造改革
 と、激しく批判しています。


 トランプ候補も反TPPの姿勢を明確にし、グローバリズムに基づく単一市場についても否定しています。さらに、共和党の候補でありながら、富裕層増税、国際的な資本移動の制限、累進課税強化、社会福祉拡大など、明らかに民主党的な政策を主張している点も、興味深いところです

 実のところ、移民政策を除くと、わたくしにはサンダース候補とトランプ候補の「政策の方向性の違い」が分かりません。両者ともに「反・グローバリズム」であり、トランプ候補が「国境を越えたヒトの移動の自由」の制限に踏み込んでいるという点くらいしか、違いを見いだせないのです。


 そして、両候補の共通点で最も重要な点は、
「スーパーPACへの献金」
 に対し、明確に拒否をしている点です。


 トランプ氏は、ご存じ「大富豪」であり、ツイッターで、スーパーPACを猛烈に批判しています。
「All Presiential candidates should immediately disavow their Supere PAC's.」(全ての大統領候補は、彼らのスーパーPACを即座に否定するべきである


 というわけで、トランプ氏はスーパーPACへの献金なしで選挙を戦っています。そして、サンダース氏もまた、小口の個人献金に依存した選挙戦を展開しているのです。


 今後のアメリカ大統領選挙がどうなるのか、わたくしには分かりません。分かりませんが、現在、アメリカで「何が起きているか」について、日本国民は知る必要があると確信するのです。


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