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『一石三鳥の政策①』三橋貴明 AJER2016.2.16(9)

https://youtu.be/mjPpOo00xVk
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一般参加可能な講演会のお知らせ

2016年4月10日(日)12時から

日台親善シンポジウム「台湾の対中経済政策を考える」

https://f35992faa456ac63f123cd71b3.doorkeeper.jp/events/38914

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 夕刊フジで「断末魔の中韓経済」連載中です。


【断末魔の中韓経済】韓国大手輸出企業が一斉に不振 牽引車が失速する韓国経済

http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20160219/frn1602191140002-n1.htm


 本日は三橋経済塾第五期第二回講義の開催日です。ゲスト講師は中野剛志先生です。


OECD、日本の16年成長率見通しを引き下げ 財政再建再考を提唱
http://jp.reuters.com/article/oecd-outlook-idJPKCN0VR157?sp=true
 経済協力開発機構(OECD)は18日に世界経済見通しを公表し、その中で日本の2016年の実質成長率を昨年11月時点の前年比1.0%から0.8%に引き下げた。
 また、株価の急落や新興国の資本流出・債務問題など金融システムに相応の不安があるとして、世界的な「政策協調が急務」だが、「金融政策のみでは不十分で、財政・成長戦略も重要」と総括している。
 日本については、17年を0.1%引き上げ0.6%とした。「対GDP比での債務残高を安定化させるため、日本は財政再建を進めているが、名目成長率が期待外れななかで、新たな戦略を必要としている」と指摘した。
 また、2016年の世界経済成長率予測を3.0%に下方修正した。昨年11月時点の予測は3.3%だった。

 米国、欧州、ブラジルの成長率予測を下方修正した。
 2015年の世界の経済成長率は3.0%と、5年ぶりの低水準だった。
 OECDは貿易・投資・賃金の伸びが依然として低過ぎると指摘。 「金融政策だけでは限界がある」とし、「需要の拡大には、共同の政策対応を強化する必要がある」と主張した。財政出動の余地がある国はインフラへの公共投資を拡大すべきだとしている。(後略)』


 日本が「プライマリーバランス黒字化目標」という愚か極まりない目標に足を採られ、財政出動を「封印」「タブー化」している間に、世界の方が変わりつあります


「金融政策だけでは限界がある」
「インフラへの公共投資を拡大するべきだ」


 当然すぎるほど、当然です。

 特に、我が国は日銀副総裁の岩田規久男教授の「学説」である、
「日本銀行がインフレ目標をコミットメント(責任を伴う約束)し、量的緩和を継続することで、期待インフレ率を引き上げ、実質金利を引き下げ、デフレ脱却する」
 という社会実験を三年間近くも続け、未だにインフレ率は0.1%。「二年間で2%のインフレ目標を達成する」というコミットメントは雲散霧消し、2013年3月5日の国会所信聴取において、
「日銀は2%を必ず達成する、この達成責任を全面的に負う必要がある」
「遅くとも2年では達成できるのではないか、またしなければならない」
「(2年以内に目標が達成できなければ)責任は自分たちにあると思う。最高の責任の取り方は辞職するということだと認識している」
 と、啖呵を切り、
「おおっ! 自らの学説に殉ずるか! 格好いいです、岩田先生!」
 だったはずの岩田教授も、目標未達成であるにも関わらず、相変わらず日銀副総裁の地位にとどまり、どれだけ量的緩和を継続してもインフレ目標を達成できないことを受け、ついに「日銀当座預金にマイナス金利をかける」政策により、期待インフレ率ではなく名目金利の引き下げに走った日本銀行を見ていれば、誰でも、
「金融政策だけでは限界がある」
「インフラへの公共投資を拡大するべきだ」
 が正しいと理解できるはずです。


 インフレ率とは、モノやサービスの価格の変動率のことです。モノやサービスの価格が上昇るのは、モノやサービスが沢山買われたときです。当たり前です。


 日本銀行の量的緩和とは、モノやサービスではなく(主に)国債を購入する形で新たな日本円が発行されます。国債は、モノでもサービスでもありません


 というわけで、銀行の流動性(というか貸し出し余力)が拡大し、金利が下がったとしても、「誰か」がおカネを借り入れ、国内市場でモノやサービスの購入のための支出をしなければ、インフレ率は上がりようがないのです。無論、そんな話は岩田教授も分かっており、だからこその「期待インフレ率による実質金利の低下」だったわけです。


 とはいえ、何度も書いていますが、現実の経済において、経営者は「実質金利」を見て投資判断をするわけではありません。投資利益です。投資して、儲かるかどうかが全てなのです。経営者なら100人中、100人が同意してくれると思います。


 あるいは、消費者は「期待インフレ」に基づき、消費を増やすわけではありません。無論、所得が十分で、消費の拡大が可能な状況であれば、「将来、物価が上がるなら・・・」と考える人もいるかも知れませんが、現実の日本では実質賃金が下がり続けています


 しかも、消費税増税で強制的に物価が引き上げられ、日本の実質的な民間最終消費支出は13年の313.2兆円から、15年(速報値)には306.5兆円と、6兆円超も減ってしまいました。つまりは、需要縮小です。


 結局、長くデフレが続く国で、しかも政府が緊縮財政という需要縮小策をやるような愚かな国で、「期待インフレ率を高めて・・・」という岩田教授の学説は通用しなかったという話です。社会実験は、失敗しました。


 というわけで、岩田教授に学者としての良心があるならば、以前、批判されていた財務省の御用学者たち(いわゆる「デフレ派」)と「自分」は違うと考えるならば、「政府の緊縮財政」の批判に回って欲しいのです。いいじゃないですか。

「期待インフレ率理論は理論としては正しいが、政府が緊縮財政という需要縮小策を推進するのでは、金融緩和のみでデフレ脱却はできない」
 と、責任を政府に押し付けてしまえば。実際、安倍政権の責任ですし。


 結局OECDが提言する通り、
「金融政策だけでは限界がある」

「インフラへの公共投資を拡大するべきだ」
 が、現在の日本にとって正しい道なのです。


OECDの提言「インフラへの公共投資を拡大するべきだ」に、ご賛同下さる方は、

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