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『日銀の袋小路①』三橋貴明 AJER2016.2.9
https://youtu.be/vuII-j8bE90
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一般参加可能な講演会のお知らせ
2016年4月10日(日)12時から
日台親善シンポジウム「台湾の対中経済政策を考える」
https://f35992faa456ac63f123cd71b3.doorkeeper.jp/events/38914
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日本銀行のマイナス金利政策が昨日、スタートいたしました。
現在、日銀当座預金残高は250兆円を上回っていますが、このうちマイナス金利の対象となる「政策金利残高」は10兆円規模とのことです。
▲0.1%の金利とはいえ、母数が10兆円でございますから、年間100億円の金利を、日銀当座預金におカネを預けている銀行側が「支払う」ことになります。
というわけで、銀行は設備投資や住宅投資の金利を引き下げ(厳密には、国債が買い込まれ、長期金利が下がるという話ですが)、国内の需要不足が埋まる「はず」という、例により「はず」&「違いない」政策ですが、現実にはどうなるでしょうか。
『日銀新政策スタート マイナス金利、効果は未知数 融資や投資活性化狙う
http://www.nikkei.com/article/DGKKASGF16H1G_W6A210C1MM8000/
日銀は16日、日本で初めてのマイナス金利政策を開始した。金融機関が日銀にお金を預ける当座預金の一部に0.1%のマイナス金利を課す仕組みで、金融機関が融資や投資にお金を振り向けるように促す。ただ海外要因による市場混乱が続くなかで、日銀の思惑通りにお金の流れが活発になり、景気や物価を下支えできるかは未知数だ。(後略)』
黒田日銀総裁は、16日の衆院予算委員会で、
「住宅ローンなど貸出金利はかなり下がっている。こうした効果は今後、実体経済や物価面に表れる」
と説明しました。
上記の「実体経済」とは、昨日も解説した通りGDPのことです。すなわち、支出面から見れば「総需要」という話になります。最近の黒田日銀総裁は、「消費や投資」や「実体経済」といった言葉で、需要不足を強調するようになっています。
と言いますか、迂遠な言い方をせずに、
「デフレとは総需要不足という現象であるため、消費や投資が増える政策を採る必要がある」
と、はっきり言ってほしいものです。
その場合、当然ながら「政府の財政出動による需要創出」という普通の政策がクローズアップされ、財務省「様」がお怒りになることになります。財務省様出身の黒田日銀総裁は、たとえ口が裂けても「デフレは総需要の不足」とは言えないのかも知れません。
それはともかく、住宅ローンの金利が下がり、本当に民間住宅(GDPの需要項目の一つ)は増えるのでしょうか。
『首都圏マンション発売戸数11%減 1月、5年ぶり低水準
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFL16HFK_W6A210C1000000/?dg=1
不動産経済研究所(東京・新宿)が16日発表したマンション市場動向調査によると、1月の首都圏の新規発売戸数は前年同月比11.0%減の1494戸となった。減少は2カ月連続で、11年1月以来5年ぶりの低水準となった。人件費などの施工費が上昇し、マンションの販売価格が上がったことが響いた。1戸当たりの平均価格は25.0%上昇の5570万円となり、8カ月連続でプラスとなった。
実際に売れた戸数の割合を示す月間契約率は58.6%と、前年同月から16.3ポイント低下。好不調の目安となる70%を下回り、08年7月以来、7年半ぶりの低水準となった。』
現在、首都圏のマンション市場動向が前年同月比11%減少(1月)と、凄まじい落ち込みになっています。これが「金利が高いため」という原因で起きているならば、マイナス金利政策により需要喚起はできるでしょう。
とはいえ、現実には実質賃金が低迷する中、コスト要因でマンション価格が上昇したことが響いているわけです。住宅ローン金利が0.1%に下がったとしても(もはや、あり得ない話ではないです)、所得が不足する国民は住宅投資を増やそうとはしないでしょう。
もっとも、首都圏の中心部など、極一部において投資(居住や家賃収入)目的ではなく、投機(値上がり期待)の不動産投資ブームが再燃する可能性はあります。とはいえ、実体経済における総需要不足を補うほどではないでしょう。
企業サイドにしても同じです。
目の前に十分な仕事がない状況では、企業は金利が1%だろうが、0.1%だろうが、銀行融資や設備投資を増やしません。「実質金利はマイナスじゃないか」と言われそうですが、実質金利を見て投資判断する経営者など、いるわけがありません。
経営者が投資判断をする際は、まずは「投資利益」が確保できるかどうか。これが全ての始まりになります。
その上で、金利と比較し、最終的に投資決定の判断を下すのです。
というわけで、日銀の思惑(というか、苦し紛れ)は裏切られ、マイナス金利による実体経済面へのプラス効果はほとんどないでしょう。それどころか、預金金利がゼロに近づき、銀行の収益悪化が株価を引き下げ、むしろ需要縮小効果になってしまうのではないかと懸念しています。株価の上昇は、所得拡大に(今は)ほとんど結びつかないにも関わらず、逆に株価下落は所得縮小に露骨に影響するのが、最近の日本なのです。
結局のところ、政府が「実質的な需要拡大」「実質賃金上昇」を目指し、マクロ面、ミクロ面からデフレ脱却策を講じない限り、実体経済の堅調な拡大は起きません。そして、日本銀行にはもはや打てる手がないというのが実情です。
そもそも、「金利が付かない経済」とは、ある人の言葉を借りれば「資本主義の死」という話なのでございます。日本の資本主義を蘇らせるためにも、政府の財政出動が緊急で必要な局面なのです。
「資本主義を蘇らせるためにも財政出動を!」に、ご賛同下さる方は、
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