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『日銀の袋小路①』三橋貴明 AJER2016.2.9

https://youtu.be/vuII-j8bE90
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 2月20日(土)の三橋経済塾第五期第二回講義のお申し込み受付が開始となりました。http://members5.mitsuhashi-keizaijuku.jp/?p=1412

 第二回のゲスト講師は、評論家の中野剛志先生です。

 講義出席には、事前に三橋経済塾入塾が必要です。入塾の受付はこちら から。


経済界 2016年 2/23 号 [雑誌] 」に連載「深読み経済ニュース解説 農林中金の意義」が掲載されました。


 最近、一番、吃驚したことは、長期金利がマイナスになったことではなく(これは予想していました)、日銀が当座預金にマイナス金利を課す決定をしたことでもなく(吃驚せず、唖然としました)、円高や株安が進行したことでもなく(これも予想していました)、ある講演で、来賓としてお越しになられた首長さんが、

「三橋さんのお話を聞くまで、家計の金融資産を政府の借金が超えると破綻すると信じていました
 と、仰ったときでございます。


 未だに、、
「家計の金融資産を、政府の借金が抜いて破綻する」
 といった、地球物理学、いや宇宙の法則に逆らうような面白理論を信じている方が多いとは・・・。と、思ったのですが、現実には日本国民のマジョリティは、
「クニノシャッキンデハタンスル~ッ!」

 と、頑なに信じており、上記の「決して変わらない結論(=破綻する)」に導くロジックであれば、宇宙法則に逆らおうとも、自らを「安心」させるために納得する傾向があるのだと思います。


 現実には日本政府が財政破綻する可能性はゼロなのですが、他人の考えはともかく、自分の「信念」と化した「クニノシャッキンデハタンスル」を訂正するのは困難なのでしょう。詐欺師に騙された人は、自分が騙されるほど愚かであることを、なかなか認めたがらないものです。 

 しかも、日本の国内マスコミは、相も変わらず「クニノシャッキン」キャンペーンを続けています。


国の借金1044兆円…1人あたり824万円
http://www.yomiuri.co.jp/economy/20160210-OYT1T50139.html
 財務省は10日、国債や一時的な資金を調達するための借入金、政府短期証券を合わせた「国の借金」の残高が、昨年12月末時点で1044兆5904億円だったと発表した。
国民1人あたり約824万円の借金を背負っている計算となる。
 国の借金は、財務省が3か月ごとに公表している。為替介入などに使う資金を調達するために国が発行する「政府短期証券」の残高が大きく減ったことで、昨年9月末から9兆8340億円減少した。

 15年末の残高のうち国債は902兆2005億円、借入金は55兆513億円だった。
 社会保障費などの財源不足を補うため国債発行が続く見通しで、財務省は今年3月末に借金の残高が1087兆3000億円程度まで膨らむと見込んでいる。』


 
 とりあえず「嘘」を修正しておきますが、「国の借金」ではなく「政府の負債」です。何しろ、英語では「Government debt」なのですから、政府の負債、以外に訳しようがありません。


 Government debtについて、「国の借金」だの「日本の借金」だのと呼んでいる人は、嘘つきか、バカか、何らかの「意図」を持つデマゴーグです。


 さらに、「国民1人あたり約824万円の借金」ではなく、「国民1人あたり約824万円の債権」になります。何しろ、カネを貸しているのが日本国民であり、逆ではありません。


 それ以前の問題として、
「誰かの負債は、誰かの資産」
 であり、おカネとは「債権と債務」の記録です。政府の負債が増えたとして、反対側に(日本の場合は)必ず民間の貸し手がいます。誰かがカネを借りたとき、反対側に必ず誰かカネを貸した人がいるのです。


 そして、政府がカネを使うと、金融資産は必ず誰かのところに移ります。この世から消えるわけではありません。

「おカネは使っても消えない」

 のです。

 というわけで、日本国内の全ての経済主体の資産、負債をまとめた国家のバランスシート(15年9月速報値版)です。


【日本国家のバランスシート(15年9月末速報値、単位:兆円)】

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_52.html#BS15Q3


 ちなみに、政府が500兆円銀行からおカネを借りると、銀行の「預金」という資産が「国債」という資産に変わります。


 そして、政府の負債が1213兆円から、1713兆円に増えてしまうのですが、同時に政府の「資産」が564兆円から1064兆円に増えます。カネを借りるというのは、そういうことでしょ?


 皆さんが誰かから100万円借りたとき、確かに負債が100万円増えますが、そのとき、手元に100万円の現金(もしくは預金)という資産があるでしょ?


 政府は借りた500兆円を、国内で使います。すると、おカネは企業を経由して家計に渡り、「家計の金融資産」が500兆円規模、増えてしまいます


 厳密には、企業の資産として残る分もありますが、いずれにせよ、
「家計の金融資産を、政府の借金が抜いて破綻する」
 という面白理論は、
政府がおカネを借りたとき、資産側(借方)では何も増えない」 
 か、もしくは、
政府がおカネを使った結果、おカネがこの世から消えてしまう
 と、いずれかのロジックが成り立たなければ、起こり得ない話なのです。だからこそ、宇宙の法則に逆らっている、という話なのでございます。


 こんなことは、少し頭を使えば、誰にでも理解できるはずなのですが、「思考停止」に陥った国民の多くは、
「家計の金融資産を、政府の借金が抜いて破綻する」
 といった荒唐無稽な説を信じ込み、「クニノシャッキンデハタンスルー」という、自分が信じ込んでいた(厳密には信じ込まされていた)ロジックを補強してくれる、宇宙の法則に逆らう理論に飛びつくわけです。


 まあ、上記の話以前に、

「そもそも政府の負債は増えるものであり、財政健全化とは政府の負債対GDP比率を引き下げること
「日本円建ての日本国債が債務不履行に陥るなど、日本銀行がある限り100%あり得ない
 わけでございますが、とにもかくにもしつこく、しつこく「正しい話」を繰り返す必要があります。


 わたくしは現在、ほぼ毎日、講演で全国を回っているわけですが、
「クニノシャッキンデハタンスル~ッ!」
 という一種の宗教は、憲法九条教並に厄介
なのです。


「財務省やマスコミは【国の借金】という嘘をまき散らすのをやめろ!」に、ご賛同下さる方は、

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