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『三橋貴明の台湾報告①』三橋貴明 AJER2015.12.15
https://youtu.be/-sSCuFZnEfU
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朝日新聞が「日本の10億円拠出「少女像移転が前提」 慰安婦問題」という記事を報じています。
http://www.asahi.com/articles/ASHDY54ZXHDYUTFK00B.html
「複数の日本政府関係者によると、少女像を移転することが財団への拠出の前提になっていることは、韓国と内々に確認しているという。」
とのことですが、この時点で何というかグダグダ感が漂ってきます。
韓国政府が「民間団体」であり、かつアンタッチャブルな組織と化している挺対協を説得できるとは思えません。挺対協側は、
「韓国政府が移転に介入することはありえない」
と、表明しているため、韓国政府が日本大使館前の「あの気持ちが悪い少女像」を撤去するためには、昨日も書いたように「法律」を作る必要があると思います。とはいえ、そんなことを韓国の政治家ができるはずがありません。
さて、2015年という年は、本当に激動の一年になりました。安倍政権の緊縮財政、構造改革、国益を害する外交と、国内もろくでもない状況でしたが、海外も相当なものです。
中国経済が明確に失速し、11月の輸入は(ドルベース)8.7%減少と、強烈なマイナスが続いています。中国からの資金流出(厳密には人民元から外貨への両替)も続き、中国人民銀行はこれまでとは打って変わり、外貨準備を取り崩し、「通貨防衛」を強いられています。11月末時点の中国の外貨準備高は3兆4400億ドルで、前月末時点と比べて872億ドル減少しました。
人民元は、アメリカの利上げもあったため、12月に入ってからも下落が続いています。中国の外貨準備が「実体」を持つのかどうか、そろそろ問題視されなければならない時期だと思います。
そして、ヨーロッパ。
『欧州への難民100万人超す 3600人以上死亡・不明
http://www.asahi.com/articles/ASHDR0H99HDQUHBI02F.html
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)と国際移住機関(IOM)はこのほど、シリアなどから欧州に入った難民らが今年だけで100万人を超えた、と共同発表した。海上で3600人以上が死亡・行方不明になったとみられている。
発表によると、海を渡った難民らが約97万人、トルコから陸路で入ったのが約3万4千人だった。海を渡った人のうち、80万人以上がトルコからエーゲ海を渡ってギリシャに入った。約15万人は北アフリカからイタリアなどに入った。
海を渡った人の半数が、内戦が続くシリアからだった。また20%がアフガニスタン、7%がイラクからだったという。(後略)』
欧州に100万人を超す移民が流入したのは、少なくとも第二次世界大戦後は初めてです。
欧州連合(EU)の発表によると、15年1月から11月に(非正規に)EU圏内に入った難民・移民が、昨年1年間の5倍以上となる155万人に上ったとのことです。
そして、2016年も欧州に向かう中東難民の「奔流」は続きます。果たして、欧州各国は「国民国家」を維持することができるのでしょうか。
ハンガリーはオルバン首相が、
「キリスト教に根差したヨーロッパの文化がイスラム教徒主体の移民に脅かされるからだ」
と、国境のフェンス設置を説明しました。わたくしは、2016年に少なくともハンガリー(及びポーランド)はEUから「離脱」の方向に向かうのではないかと推測しています。(もっとも、ハンガリーのフェンスは抜け穴だらけで、現実には抑止効果を発揮していないようですが)
フランスでは11月のパリ同時多発テロを受け、共和国の国是である「世俗主義」が揺らいでいます。オランド政権は国境の管理など、テロ対策を強化しています。オーストリアも、対スロベニア国境に越境防止柵を設置し始めました。スロベニアはスロベニアで、対クロアチア国境に有刺鉄線をはりめぐらせ始めました。
シェンゲン協定という「ユーロ・グローバリズム」の一翼が、完全に壊れてしまったのが2015年という年でした。
改めて振り返ると、中国経済の失速にせよ、ギリシャ危機にせよ、難民流入にせよ、全ては「(今回の)グローバリズムの限界」を示しているわけでございます。モノ、ヒト、カネの国境を越えた移動を自由化させる、人類としては二度目のグローバリズムは、明らかに行き詰りつつあります。
その状況で、日本政府が今更ながら構造改革というグローバリズムの政策を推進しているため、猛烈に批判をしているわけでございますが、いずれにせよ、今後の世界が素直に「グローバリズムの終焉」に向かうのか。それとも、グローバリズムを今後も維持しようとするパワーが、世界各地に混乱を伝播させていくのか。いずれの道を進むことになるのかが決定するのが、2016年になると予想しています。
本年は本当にお世話になりました。来年もよろしくお願いいたします。
三橋貴明
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