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『単位労働コストと生産性①』三橋貴明 AJER2015.12.8
https://youtu.be/U41_slLjfW4
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12月20日 第二回チャンネルAJER講演会「2015年を総括する~徹底検証この一年~」に出演します。
https://www.facebook.com/events/1519342045059642/
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小学館「中国崩壊後の世界 (小学館新書)
」が大増刷になりました! ありがとうございます!
中国人民銀行発表のデータによると、中国の外貨準備高は11月末時点で前月比872億ドル減の3兆4400億ドル。2013年2月以来の低水準になりました。15年11月の外貨準備減少は、月間の減少幅としては過去3番目の大きさでした。
中国国家外為管理局(SAFE)で政策・規制を担当する王允貴・司長は、12月10日の会見で、
「中国の対外収支は健全であり、人民元が急落する理由はない。外貨準備の緩やかな減少は許容可能」
との認識を示しました。
「中国崩壊後の世界 (小学館新書)
」で書きましたが、本件に関するポイントは二つ。
一つ目は、すでに中国は「人民元高」に悩まされるのではなく、「人民元安」を食い止めるために外貨準備を取り崩している状況、ということです。日本国民のほとんどが、未だに、
「中国は輸出が拡大し、人民元が高騰していくことに困っている」
と、間違った現状認識でいるような気がしますが、明確に間違いです。
二つ目は、中国の外貨準備の「中身」です。何しろ、中国は3兆ドルを超える外貨準備を保有しているにも関わらず、米国債は民間保有分を含めて1兆ドル強でしかないのです(民間保有の米国債は、当たり前ですが外貨準備には入りません)。
中国の外貨準備が、何で運用されているのか。南米やアフリカのプロジェクトに投資されているという「説」もあれば、中国の国営企業に貸し付けているという「説」もあります。いずれにせよ、不透明極まりないのです。
この状況で、アメリカが「利上げ」のカウントダウンを始めました。
『世銀総裁 「米利上げで急激な混乱は起きない」
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20151212/k10010339081000.html
アメリカの中央銀行に当たるFRB=連邦準備制度理事会による利上げが近づくなか世界銀行のキム総裁が記者会見し、利上げによって金融市場が急激に混乱するおそれは低下しているものの、新興国は構造改革で経済の耐久力を高める備えが必要だとして対応を促しました。
アメリカのFRBは来週、金融政策を決める会合を開き、7年間にわたって続けている異例のゼロ金利政策を解除して利上げを始めるという見方が強まっています。
ワシントンで11日、記者会見した世界銀行のキム総裁は、FRBの利上げについて「イエレン議長のねらいが市場にうまく伝わり、利上げの可能性は十分に織り込まれている。急激な混乱が起きるとは考えていない」と述べ、利上げによって金融市場が急激に混乱するおそれは低下しているという認識を示しました。ただ、新興国経済を取り巻く状況は、原油など資源価格の下落や中国経済の減速で楽観できないほか資金の流出なども起きていると懸念を示しました。(後略)』
「経済の耐久力を高める構造改革」
が、何を意味するのかさっぱり分かりませんが、もちろん金融市場はアメリカの利上げをある程度は織り込んでいるでしょう。とはいえ、現実には何が起きるのか、現時点で断言できる人はいません。
ポイントはやはり「中国+新興経済諸国(特に「資源国」)」です。中国経済が失速し、現在の世界は貿易の成長率が経済成長率を下回る「スロー・トレード」という問題が発生しています。
結果的に、原油、鉄鉱石、石炭といった資源価格が下落しています。特に、最終ユーザーであった中国が資源を買わなくなってしまったことが、大きく影響しています。
中国も設備投資が過剰になっていますが、新興経済諸国も過剰設備を抱えています。「中国が永遠に成長していくという幻想」に基づき、新興経済諸国は資源関連の設備投資を拡大し、供給能力が膨れ上がったところで、中国失速に直面してしまったのです。
この段階で、アメリカが利上げをすると、新興経済諸国(中国含む)から一斉に資本が引き抜かれ、つまりは外貨(ドル)への両替が進み、各国で外貨建て負債のデフォルトが起きるのではないか。という懸念を持っているわけです。
アメリカが利上げをした結果、中国人民元が「暴落」状態になった場合、そのとき、中国共産党は「外貨準備の実力」を試されることになります。万が一、中国外貨準備が「張り子の虎」状態で、流動性が事実上、なかった場合・・・。
いずれにせよ、外貨準備の中身をまともに公表しようとせず、さらには人民元安を食い止めるための為替介入(=外貨準備の取り崩し)を繰り返している国の通貨が、IMFのSDRに組み込まれる「予定」なわけですから、不思議な話でございます。
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Klugにて「三橋貴明の『経済記事にはもうだまされない』」
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