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『投資の重要性①』三橋貴明 AJER2015.11.17(5)

https://youtu.be/PLPnW3LWuPQ

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 小学館から「中国崩壊後の世界 」が刊行となりました。



 リベラルタイムズ「新・観光論」に、「日本人の「国内旅行」拡大で観光産業三十兆円へ」を寄稿しました。
http://www.l-time.com/


 さて、来月実施される台湾総統選挙の立候補届け出が締め切られました。


台湾総統選挙、届け出締め切り
http://www.data-max.co.jp/271203_dm1760/
 来年1月16日の台湾総選挙は11月27日、立候補の届出を締め切った。届け出たのは、与党・国民党の朱立倫主席、最大野党・民進党の蔡英文主席、野党・親民党の宋楚瑜主席の3氏で、正式に受理された。
 国民党は、現政権の馬英九氏の支持率低下に加え、候補者交代のドタバタ劇もあり、情勢の劣勢が伝えられている。現在、大きくリードしているのは、蔡英文主席で、このままいけば、政権交代の可能性が高まっている。また、同日開票の立法委員(国会議員)選挙で、民進党が過半数を獲得する可能性が高いとの見方も強まっている。宋楚瑜候補は、過去の選挙でも善戦するものの当選には届かないという「名高い泡沫候補」として認識されている。(中略)
 与党・国民党は、情勢が厳しいと見るやいなや、馬英九総統が習近平国家主席と首脳会談を中国共産党と協力体制を急ピッチで整え、民進党に対し、様々な圧力をかけている。台湾の市民からは「与党が国民党の期間内で、中国との間に様々な協定が交わされ、中国に取り込まれてしまうのではないか」といった懸念も出ている。』


 実は、世界で最も「中華人民共和国」に経済を依存している国は、韓国ではありません。台湾なのです


 台湾の対中輸出依存度、すなわち「=対中輸出÷名目GDP」の比率は、何と40%に達しており、韓国をすら上回っているのです。生産(GDP)の四割が中国向けになってしまっていることになります。

 中国が咳をすると、韓国は風邪をひき、台湾は重症に陥ります。実際、中国経済の失速を受け、7-9月期の台湾経済は、リーマンショック直後以来、初めてマイナス成長になってしまいました


 台湾は、輸出のみならず、対中投資も半端なく、アメリカのCIAは中国の対内直接投資の内、何と「半分」が台湾企業によるものであるとのデータを発表しています。中国の経済成長に最も貢献したのは、実は日本でもアメリカでもなく、台湾なのです。

 そして、台湾は中国の経済成長に貢献した結果、自国の安全保障を弱体化させ、主権国家としての存続すら危うい状況に至っています


 ものすごく意外でしょうが、実は台湾経済の対中依存が一気に高まったのは、「台湾独立」路線を標榜していた陳水扁政権の時期です。陳水扁政権時代に中国がWTOに加盟し、台湾政府は台湾企業の対中投資を大幅に緩和したのです。


 そして、当時の台湾の「対中開放政策」の音頭を採ったのが、今回、民進党から総統選挙に立候補した蔡英文主席なのでございます。


 ところで、記事の最後に、
「与党が国民党の期間内で、中国との間に様々な協定が交わされ、中国に取り込まれてしまうのではないか」
 という、台湾国民の懸念が書かれていますが、その可能性は確かにあります。と言いますか、馬英九が退任前に中国との間の「財(Goods)の貿易協定」にサインするのは確実だと思います。昨年、Sunflowr Moovement(ひまわり運動)を引き起こしたサービス貿易協定の「財(モノ)」 版ですね。


 もちろん、国会で批准されない限り、発効はしないのですが、いずれにせよ馬英九は在任中に対中「譲歩」をやりまくることになるでしょう。


 それも問題ですが、より深刻なのは、蔡英文主席や民進党が勝利し、「台湾独立派」の政権ができたとしても、結局は「チャイナ・グローバリズム」が進んでしまうのではないかという懸念です。蔡英文主席は、
「中国経由のグローバルではなく、グローバル経由で中国へ」
 という、よくわからない「グローバリズム」路線を標榜しています。台湾が「グローバリズム路線」を推進するのは、人口・経済規模からいえば仕方がない話なのかも知れませんが、なんで「中国」が入るのでしょう・・・。


日本台湾を取り戻す! グローバリズム!
 などと、どこかの国のごとき意味不明な路線を突き進むのではないかと、個人的に恐れています。

 いずれにせよ、今後の中国は「グローバリズム」を活用し、台湾にサービス貿易、財の貿易、さらには投資といった分野で「市場開放」「自由貿易」を迫ってくるでしょう。蔡英文「新」総統が、中国が叫ぶ「グローバリズム」に抗しえず、譲歩に譲歩を重ね、台湾国民がさらに貧困化(すでに実質賃金は大幅に下がっています)していくと、世界最悪と言われる少子化は終わりません。


 少子化は人手不足をもたらします。最後の「チャイナ・グローバリズム」として、「ヒト」の移動の自由化を中国共産党が要求し、台湾側が「人手不足」を理由に受け入れたとき、ジ・エンドでしょう。その十年後、主権国家としての台湾は存在していないと思います。


 無論、台湾の行く末について責任を持つべきは台湾国民であり、わたくしが外から何だかんだと主張するのは大きなお世話なのかも知れません。とはいえ、台湾は日本国にとって最も重要な隣国の一つです。


 というわけで、台湾について、
「親日の国、台湾大好き!」(※親日ではない国など、中韓朝以外にはほとんどありませんが)
 と、認識すると同時に、これから台湾が経験せざるを得ないであろう「苦難」についても日本国民は知っておくべきだと考え、二日に渡り「台湾国」について取り上げました。


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