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『投資の重要性①』三橋貴明 AJER2015.11.17(5)

https://youtu.be/PLPnW3LWuPQ

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 15年秋になり、我々が以前から懸念し、何度も警鐘を鳴らしていた事態が「現実」になりつつあります。すなわち、法人税の無条件減税は、設備投資拡大をもたらさない、です。

 無論、消費税増税による中長期的な経済停滞もそうなのですが、「法人税減税」という悪手についても、どうやら結果が判明したようです。


焦点:法人減税、設備投資を後押しせず 企業は必要投資に限定
http://jp.reuters.com/article/2015/11/20/equipment-spending-idJPKCN0T90E720151120?sp=true
 経済の好循環と成長力強化を目指し、政府は来年度の法人実効税率の引き下げ幅を上乗せして、企業の設備投資を促す考えだ。しかし、企業側はさらなる投資拡大には慎重な姿勢を崩していない。減税の財源次第では設備投資意欲をかえって削ぐおそれがあるほか、中国など世界経済の先行きにリスクも残り、政府の目論見どおりに投資が拡大するとは言えない状況だ。

投資拡大もたらさない法人減税、内部留保課税の声も
 「産業界はそれほど熱心に見えないな」──内閣府の官僚は首をかしげる。来年度(16年度)にも法人実効税率を20%台まで下げることに企業側の動きが前向きでないからだ。実際、経団連の中からは財源確保が難しいなら、20%台への下げは17年度でもいいとの声が聞かれる。
 産業界が乗り気でないのは、法人減税にメリットが感じられないためだ。たとえば15年度の法人実効税率引き下げでは、租税特別措置の一部廃止や外形標準課税の拡大が財源となった。「事業税の外形標準課税の拡大によって、減税ではなく増税になってしまった企業の方が多い」(経団連事務局幹部)という。課税ベースの拡大を財源とするだけでは設備投資への刺激効果はほとんどないという。(後略)』


 内部留保課税という(とんでもない)政策については、別の媒体に寄稿する予定なので、今回は省略します。
 
 何度も繰り返し書いてきましたが、現在の日本に必要な企業減税があるとすると、それは「設備投資減税」や「地方移転減税」など、需要創出や地方創生に直接的に効果がある減税になります。あるいは、確実に雇用創出に結びつく「雇用創出減税」などになります。(一応、この手の減税制度もあることはあります。縮小されつつありますが)


 無条件で法人税を減税したところで、企業は増えた純利益を内部留保に回すだけです。


 安倍政権は、法人税減税について「企業の設備投資を促進」を目的としています。とはいえ、本当にそうならば、設備投資減税を拡大すれば済む話でございます。


 要するに、外国人を含むグローバル投資家の歓心を買うために、法人税を減税するわけです。企業の純利益を「企業努力」なしで増やせば、配当金や自社株買いが増える「かも知れない」と、グローバル投資家が考え、日本株を買い増してくれる「かも知れない」という話なのです。


 グローバル投資家が利益最大化に近づく反対側で、日本国民は損をします。何しろ、政府は法人税減税で利益が減った分、必ず「他の政策」で帳尻を合わせようとします。


 15年度の法人税率引き下げでは、外形標準課税が拡大しました。結果、主に「中小企業」の税負担が増しました


 あるいは、社会保障削減(介護報酬引き下げなど)や消費税増税など、国民全般に負担を押し付けようとしてくるわけです。


 ロイターの記事の後略部にもありますが、本気で企業減税で「景気活性化」を目指すならば、
「機械設備などの償却資産への固定資産税課税撤廃など、投資に直接結びつく減税措置が効果的」
 なのでございます。


 この種の「需要創出減税」が必要だと、まさに我々はしつこいほど繰り返してきたわけですが、ようやくマスコミにもまともな意見(というか、単なる事実)が載り始めました(ロイターだけど)。


 いずれにせよ、上記の話は「誰でも分かる」と思います。それにも関わらず、マスコミや政治家、官僚たちは、
「法人税を(無条件で)減税し、景気回復」
 などと、現在の日本では荒唐無稽としか表現のしようがない政策を本気で推進しようとします。もちろん、裏には「企業の純利益を拡大し、グローバル投資家の歓心を買いたい」という「<黄金の拘束衣を着た首相 」という問題があるわけです。


 それにしても、少し前まで、我々を除き、
デフレ期の法人税無条件減税は、内部留保を増やすだけで、設備投資を増やす効果はない
 と、主張する論客がほとんど見受けられなかったのは、驚くべきことです。日本の本当の意味での危機は、思考停止に陥り、現実を無視した「仮説」を現実だと思い込む、知の貧困にあるとしか思えません。


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