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『経済成長するにはどうしたら良いか?①』三橋貴明 AJER2015.11.10

https://youtu.be/V7wTRklnlJo

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 ヒカルランドから「ドイツ第四帝国の支配と崩壊 亡国の新帝国主義 」が刊行になりました


 内閣府が12日に発表した7-9月期の機械受注統計は、民間企業の設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の受注額が、4-6月期比で10%減と、大幅なマイナスになりました。10%の機械受注減とは、リーマンショック直後の2009年1-3月期(11.4%減)以来の下落幅になります。

 7-9月期のGDP成長率がマイナスになるのは、これで間違いなさそうです。


 デフレから脱却できない状況で、またもやリセッション(景気後退)。もちろん、デフレ経済下で国民経済を成長させることは、少なくとも中長期的には無理なのですが、それにしても安倍政権の危機感のなさは恐るべきものがあります。


 何しろ、この状況で、しかもTPPについて国民に説明をしなければならない状況で、臨時国会を開かないのです。まあ、危機感を持っていないのではなく、危機感があるからこそ、臨時国会を開けないのかも知れませんが、いずれにせよ、安倍政権が国民に対する説明責任すら放棄しているのは間違いありません。


 その裏で、こんなバカげたことは淡々と推進していっています。。


スーパーコンピューター「説明足りず」
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20151112/k10010303201000.html
 の予算にむだがないかを公開で検証する政府の行政改革推進会議の会合で1000億円以上をかけて開発された現在、世界4位のスーパーコンピューター「京」が取り上げられ、有識者から「費用にみあった成果が現れているのかどうか国民に十分説明されていない」という指摘が相次ぎました。
 3年前に神戸市で本格稼働したスーパーコンピューター「京」は、国家プロジェクトとして理化学研究所などが開発したもので、総開発費は1100億円余りに上ります。
 864台のコンピューターをつなげて、その名のとおり、1秒間に1兆の1万倍に当たる「1京回」の計算能力があり、運用には年間110億円かかっています。
 このスーパーコンピューター「京」が、国の予算にむだがないかを公開で検証する政府の行政改革推進会議の12日の会合で取り上げられました。
 はじめに、河野行政改革担当大臣が、スパコンを所管する文部科学省に対し、「数ある事業の中で、最もきちんと説明されてこなかった分野で、まともに答えたことが一度もないと思う。そらした答えではなくきちんとした答えを説明してほしい」と述べました。
 会合の中で文部科学省は、「京」の必要性について、「医療などの分野で『京』でしかできない結果が出てきていて、予算に見合った成果が現れている」と説明しました。
 これに対し、有識者からは、「本当に見合った成果なのか十分な説明がなされていない」として産業などへの実用的な成果や科学的な成果を国民に分かりやすく説明できなければ国民の理解は得られないという指摘が相次ぎました。(後略)』


 生産性を高める「投資」には、四つの種類があります。すなわち、設備投資、人材投資、公共投資、そして技術開発投資です。四つの投資は、「リスク」「効果が出るまでの期間」により、以下のマトリックスで整理することが可能です。


【投資のマトリクス】

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_51.html#Matri


 技術開発投資は、リスクが最も高く、生産性向上までの「成果」が出るまで最も長期間かかる投資なのです。スーパーコンピューター「京」に代表される「将来のための技術開発投資」にまで短期の成果を求め、予算を削減するのでは、この国に未来はありません。


 そもそも、技術開発投資とは、
「将来の国民への贈り物」
 です。何しろ、今いる国民が全て亡くなった「後」になり、ようやく成果が出る技術開発投資など、いくらでもあります。


 例えば、日本が得意とする超電導技術です。超電導とは、1911年にオランダの物理学者ヘイケ・カメルリング・オネスが、金属を冷やすと電気抵抗がゼロになる「超電導現象」を偶然、発見したことが始まりになります。


 超電導物質を発見したオネスは、
「電気抵抗がゼロの超電導であれば、超強力な磁石が作れる」
 と考え、「将来のため」に様々な物質で実験を繰り返しました。とはいえ、超電導物質は自らが生み出した「磁場」により物質が崩壊してしまい、「超強力な磁石を作る」というオンネスの夢は、なかなか実現しませんでした。


 磁場に強く、実用に耐える超伝導体が発見されたのは、1960年のことになります。オネスの超電導現象発見から、およそ五十年後のことです。


 現在の日本でも使われていますが、ニオブとチタンの合金を液体ヘリウムで冷やすことで、実用可能な超電導磁石がついに実現したのです。もっとも、我が国が超電導技術を利用した高速鉄道、すなわちリニア新幹線を開通させるのは、現在の予定では2027年になります。オネスの超電導現象発見から、実に116年後というわけです。


 超電導技術が代表ですが、技術開発投資は成果が出るまで長期化するのが当たり前なのです。それに対し、「短期の成果」を要求し、「国民の理解」などという抽象的な表現で批判する。最悪です


 そもそも、現代の日本国民が我が国でそれなりに豊かに、快適に暮らしていけるのは、過去の日本国民が投資をして下さったおかげです。自分たちはご先祖様の「投資」の恩恵を受けながら、将来への贈り物である技術開発投資を「予算に見合った成果が出ていない」などと、削減していく。この国は、普通に亡国に向かっています。


 安倍政権や河野太郎の、

「カネのために将来への贈り物を拒否する」

 という姿勢を打破しなければ、わたくしたちには「国民の資格」がないと信じます。


「安倍政権は将来への贈り物を拒否するな!」にご賛同下さる方は、

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