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『投資(後編)①』三橋貴明 AJER2015.11.3

https://youtu.be/GDO9vP8MRIo

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 ヒカルランドから「ドイツ第四帝国の支配と崩壊 亡国の新帝国主義 」が刊行になりました


 本日は17時55分からBSスカパー「Newsザップ」に出演します。
http://www.bs-sptv.com/zap/


 本田技研工業・ホンダエアクラフトカンパニーが開発したビジネスジェット機ホンダジェットに続き、11月11日、三菱航空機の小型ジェット機MRJが大空に飛び立ちました。日本の旅客機が空を飛ぶのは、プロペラ機の「YS-11」以来、半世紀ぶりです。


半世紀ぶりの国産旅客機MRJが初飛行
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20151111/k10010301651000.html
 国産の旅客機として半世紀ぶりに開発が進められている小型ジェット機、MRJの初飛行が、11日午前、およそ1時間半にわたって実施されました。会社側では、今後、本格的な飛行試験を始めることにしており、実用化に向けて大きく前進することになります。
 MRJは平成20年から三菱重工業の子会社の三菱航空機が開発を進めている国産の小型ジェット旅客機で、地上の走行試験などが順調に進んだとして、11日、初飛行が実施されました。

 機体は開発拠点がある愛知県の県営名古屋空港で最終的な点検や準備作業が行われたあと、午前9時35分に離陸しました。そして、随伴する自衛隊機などと南に向かい、太平洋上にある自衛隊の訓練空域で上昇や下降、それに左右の旋回など基本的な性能を確認しました。その後、再び県営名古屋空港の上空に姿を現したMRJは、午前11時2分に着陸し、1時間27分にわたる初飛行を終えました。
 三菱航空機は、今回の初飛行が成功したと評価しており、再来年の初号機の納入を目指して、今後、高い高度や悪天候といったさまざまな条件の下で行う本格的な飛行試験を始めることにしています。

 今回の初飛行で、プロペラ機の「YS-11」以来、半世紀ぶりとなる国産旅客機の開発は、実用化に向けて大きく前進することになります。 (後略)』


 かつて、我が国は「航空機」に関し、世界屈指の生産能力を誇っていました。日本国は大東亜戦争最中の1940年に、海軍が零式艦上戦闘機を開発。いわゆる「ゼロ戦」ですが、当時としては空前絶後の2200キロの航続距離を誇り、戦闘能力においても、当初は連合国の戦闘機を圧倒していたのです。


 零戦の総生産機数は、実に1万400機に達しました。さらに、陸軍が開発した戦闘機「隼」は、総計で5700機が生産されました。

 ところが、GHQの占領下で我が国の航空産業は、文字通り「解体」されてしまいます。何しろ、占領軍は敗戦と同時に日本に対し航空機の製造はもちろんのこと、研究や運航までも十年間禁止する措置を取ったのです。


 航空機の開発は1957年にようやく解禁となったものの、ジェット機への技術的転換期に「後発」となってしまった痛手は回復困難でした。諸外国の航空産業と比較し、完全に出遅れた形になった日本の航空機企業は、防衛庁(当時)向けに戦闘機のライセンス生産を手掛けることで、喪失した基礎技術を回復するしかありませんでした。

 航空技術者たちの努力で、先のYS-11といった旅客機が生まれたものの、大量生産の欧米機との競争に勝つことはできませんでした。結果、日本の航空機企業は相次いで撤退し、残存した企業もボーイング社への開発協力や、自衛隊関連の需要を細々と満たす形で生き残りを図らざるを得なかったのです。


 冷戦が終結し、ようやく日本企業が独自技術、独自開発で航空機産業の再構築に乗り出します。三菱重工や本田技研工業など、民間機の生産による「航空機の供給能力」回復の試みが始まったのです。さらに、防衛省も三菱重工業とステルス機ATD-X(先進技術実証機)の実証実験に乗り出すなど、官民が歩調を揃えて我が国の「航空機製造という安全保障サービス」の強化が始まっています。


 先進国の定義は、
モノやサービスに対する国民の需要を、自国の供給能力で満たせる割合が高い
 になります。そして、自国民の需要を満たす供給能力の蓄積こそが「経済力」になります。


 航空サービスの「需要」についても、同じことが言えます。我が国は自国の航空サービスに使用する航空機について、「自国で生産(供給)」することができませんでした。今後、MRJが軌道に乗れば、少なくとも小型ジェット分野では「自国の供給能力」で需要を満たせることになるわけです。


 そして、航空機製造の供給能力を高めるには、技術、技能、ノウハウ等の蓄積が必要です。一度失われた防衛産業の供給能力を回復するためには、長い期間と投資が必要になることを、日本の航空機産業は実証してくれました。


 そう考えたとき、各企業がリストラに邁進し、人材や企業の蓄積が消えていくデフレーションや、「カネ」のために安全保障を無視してでも不要な競争を煽るグローバリゼーションは、国家の経済力を棄損していかざるを得ないことが分かるわけです。


本日のエントリーで「経済力」の本質について改めて考えて下さった方は、 

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