デフレとPFI

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『日本の亡国を防ぐために①』三橋貴明 AJER2015.9.15(5)

https://youtu.be/oN59AffMGQE

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 さて、財務省にせよ、グローバリストにせよ、経済学者にせよ、緊縮財政や財政均衡主義が大好きです。デフレ下の緊縮財政は、国民を貧困化させると同時に、名目GDPと税収を抑制し、財政を悪化させます。すると、またまた緊縮財政・・・・。


 というパターンが、1997年の橋本緊縮財政、厳密には1995年11月国家の武村正義大蔵大臣(当時)の国家における「財政破綻宣言」以降、延々と我が国で続けられてきたわけです。結局、安倍政権も「デフレ下の緊縮財政」路線へと舵を切ってしまいました。


 なぜ、デフレを悪化させることが確実な緊縮財政(そもそも、緊縮財政は「インフレ抑制策」)が、史上稀に見る長期デフレーションに苦しむ我が国で実施されるのか。財務省の問題もそうですが、なぜ構造改革を叫ぶグローバリストや経済学者までもが、緊縮財政路線を叫ぶのか。

「彼らがバカだから」
 と、思われた方が少なくないでしょうが、そんなことはありません。きちんとした理由があります。すなわち、デフレ下の緊縮財政で財政が悪化すると(悪化します)、PFIなど、公的サービスにおける「民間ビジネス」が生まれるためです。


公共事業への民間資金活用、全自治体で1割 内閣府調べ
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS17H1M_X11C15A0NN1000/

 公共事業に民間資金を活用する取り組みが遅れている。内閣府の調査によると民間資金を活用した社会資本整備(PFI)を実施したことがある市区町村は、全自治体の1割にとどまった。政府がPFIの普及を求める都道府県でも4割は実施したことがないという。(後略)』


 日本経済新聞は、各地方自治体がPFIを推進していないことを、
「取り組みが遅れている」
 と、あたかも悪いことであるかのごとき印象操作を行っています。とはいえ、別に「PFIが善。従来通りの公共事業が悪」などという話ではありません。PFIなど、単なる道具に過ぎないのです。

 

 もっとも、PFIで公的サービスに「新規参入」しようと図っている投資家、企業家にとっては、「PFIは常に善」となります。つまりは、PFIはデフレ下であっても「新たな利益をもたらす、新規ビジネス」なのでございます。もっとも、別にPFIで「付加価値=需要=所得」が新たに増えるわけではなく、既存の所得のパイを民間企業が奪う形になるだけなので、やはり単なるレント・シーキングなのですが。


 そもそも、PFIが何かといえば、公共インフラ建設や公共サービス提供の際に、政府が直接施設を整備せず、民間に施設整備と公共サービスの提供をゆだねる手法です。


 ある地域が、川に橋を架ける必要があったとしましょう。


 PFIで参入した民間企業A社は、銀行からおカネを借りて橋を建設する(実際に建設するのは建設企業ですが)わけです。もちろん、A社はボランティアで橋を建設したわけではありません。当然ながら、何らかの手段で収益を上げなければ、銀行への利払いや返済ができなくなります。


 だからと言って、明らかに「公共性」が強い橋について、住民からいちいち通行料を徴収するわけにはいきません。というわけで、A社は地方自治体や政府と「契約」を結び、毎月毎年、一定の「通行料」を支払ってもらうことにするわけですね。


 何しろ「契約」であるため、地元がいかに繁栄しようが、あるいは寂れようが、A社にとってはどうでもいい話です。本来は、政府が建設国債を発行し、橋を建設。国債は60年かけて「長期的、マクロ的」に償還していくというのがインフラ建設の基本なのですが、そこにA社が「割り込む」ことで、中長期的なビジネス(しかも「超安定的」なビジネス)と化すわけです。

 安倍政権は、今夏に決めた「財政健全化計画」で、都道府県をはじめとする人口20万人以上の自治体で、PFIを普及させる方針を打ち出しました。


 お分かりですね。ありもしない「財政問題」が、各地の公共インフラや公共サービスのPFIを促進する口実に使われ、民間の「ビジネス」が拡大していこうとしているわけです。


 特に、地方自治体は中央政府とは異なり、通貨発行権はありません。デフレで景気が失速すると、税収は増えません。税収が増えない環境下で、地方自治体が公共インフラを建設しようとする場合、地方債を発行するしかありませんが、
「そんなに借金したら、地方財政が立ち行かなくなる」
 とかなんとか、陳腐なレトリックが叫ばれ、「民間資金」の活用という話が説得力を帯びます

 

 民間資金だろうが何だろうが、いずれにせよ「負債」であることには間違いないわけです。ついでに書くと、地方債にしても「民間の銀行」からおカネを借りることに変わりはないのですが、PFIだと借り手が民間企業になるため、地方自治体の表向きの予算は縮小します


 そして、その後は自治体が「税収」から、PFIで資金を投じた民間企業に対し、公共インフラの「利用料」を払い続けることになります。全ては「ビジネス」なのです


 日本政府がまともなデフレ対策を打ち、日本がデフレから脱却してしまうと、名目GDPが成長し、税収も増えます。すると、
「財政が悪化しているから、PFIで民間資金ん活用を!」
 というレトリックが説得力を喪失してしまうのです。だからこそ、日本はデフレでなければならないのです。


 無論、日本のデフレを望む人々の理由は他にもありますが、いずれにせよ「デフレで、ビジネスを拡大できる誰か」が存在するという現実を、是非、ご理解頂きたいのでございます。

 と言いますか、日経新聞がPFIを煽っている以上、「誰」が得をすることになるのか分かるでしょう? 少なくとも、多数派の日本国民ではありません。


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