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『日本の亡国を防ぐために①』三橋貴明 AJER2015.9.15(5)
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ヒカリランド「ドイツ第四帝国の支配と崩壊 亡国の新帝国主義
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予想通りといえば、予想通りなのですが、ドイツで「難民排斥デモ」が起き始めています。
『独首相を「死刑に」、難民排斥デモが過激化 検察当局は捜査開始
http://www.sankei.com/world/news/151013/wor1510130043-n1.html
ドイツ東部ドレスデンの検察当局は13日、内戦が続くシリアなどから押し寄せる難民らに寛容な姿勢を示すメルケル首相の「絞首台」を持ちデモ行進したとして、12日夜の難民排斥デモの参加者に対する捜査を始めた。ドイツのメディアが伝えた。今年夏以降の難民らの大量流入を受け、デモは過激化している。
問題のデモは、昨年から反イスラムデモを主催している団体「西洋のイスラム化に反対する愛国的な欧州人」がドレスデンで実施。報道によると、12日は参加者数千人が「(難民は)強制送還」「メルケルは去れ」などと連呼。板を組み合わせて作ったとみられる「絞首台」にはメルケル氏やガブリエル副首相の名前が書かれたプラカードがぶら下がっていた。
ドイツでは難民らの受け入れ態勢が限界に達し、メルケル氏の難民政策に対して批判の声が上がっている。極右勢力によるとみられる放火事件も日常的に起きている。』
ドイツでは、特定の人々に対する憎悪を先導する、あるいは尊厳を傷つける行為をした人は「民衆扇動罪」で罰せられる可能性があります。1990年以降は「ホロコーストの否認」、2005年以降はネオナチの示威行為、さらにはナチス・ドイツやヒトラーを礼賛する言動も法の適用対象に加わりました。
ナチスのドイツ第三帝国の「東方生存圏」構想は、ウラル西部の広大な地域を軍事的に征服し、スラブ人を奴隷化もしくは「最終解決」するというおぞましい構想でした。徹底的に自国民族中心主義であり、しかも残虐です。
また、第三帝国は民族主義と「科学」を結び付け、優生学という不気味な発想に基づき人々を「選別」していきます。1933年にナチスは「遺伝病を持つ子孫を予防するための法律」、通称「断種法」を成立させ、1935年にはニュルンベルク法で、ユダヤ人から公民権を奪い、さらにユダヤ人とドイツ人の結婚や性行為を禁止しました。
1935年には「ドイツ民族の遺伝健康を守るための法律」が制定され、結婚するカップルは「遺伝的に健康である」ことを証明しなければならなくなってしまいます。
「遺伝的に健康である」の定義がよくわからないのですが、いずれにせよドイツ第三帝国は「科学」に基づき差別を奨励したのです。結果、最終的にはホロコーストに繋がりました。数百万の罪なきユダヤ人、ロマ(いわゆるジプシー)が迫害、殺害されました。さらに、断種法の下で、40万人以上の精神病患者、アルコール依存症患者が「処分」されてしまったのです。
簡単に書けば、狂気です。そして、この狂気の政策を推進したナチスを政権の座に就けたのは、ドイツの有権者たちの「票」なのでございます。
常人には受け入れがたい「狂気」を、自分たちの民族、自分たちの国が推進してしまった。この「歴史的事実」と直面したドイツ国民は、あまりにも巨大な「罪」の重さを軽くするため、全ての責任をナチスに押し付けるしかなかったわけです。(詳しくは「ドイツ第四帝国の支配と崩壊 亡国の新帝国主義
」で)
というわけで、戦後のドイツ(※西ドイツ)では多文化共生が推進され、人種的、民族的な差別が完全に禁止されました。ドレスデンのデモは、民衆扇動罪に該当する可能性が濃厚です(それで、警察が捜査を始めたのです)。
さて、全ては「バランスの問題」と言われれば、その通りですが、ドイツ国民が「ドイツはドイツ人の国であってほしい」と願うことは間違っているのでしょうか。もちろん、すでにドイツは自他共に認める移民国家ですが、それでも、
「できるだけ難民や移民を入れないで、これまでの安定的な暮らしを維持したい」
と思うのは、これは別に人として間違っている感情ではないと思うのです。
が、実際にドイツで上記のようなことを言うと、「人種差別主義者」扱いされる可能性が濃厚です。多数派のドイツ国民がそう思っていたとしても、やはり「人種差別主義者」扱いされるでしょう。要は、そういう「空気」が醸成されてしまっているのです。
すなわち、全体主義です。ナチス・ドイツとは方向性が真逆の全体主義が、今、ドイツを覆い尽くしているわけです。
しかも、厄介なのは、産業界は「安い賃金の労働者」として難民や移民を見ており、ドイツの移民国家化をむしろ望んでいるわけでございます。
ナチス・ドイツという歴史を背負っていなければ、ドイツにしてもさすがにここまで「外国人を区別する(差別ではなく)」に対してセンシティブにはならないでしょう。逆に言えば、ドイツ国民は「歴史」にセンシティブにならざるを得ない状況を利用され、着々と祖国を「移民国家」に変えられてきたわけです。しかも、それを「産業界」までもが後押しする。
わたくしは、
「人権・差別反対を叫び、日本国民を差別していく勢力」
による全体主義(要するに、人権擁護法案)をテーマに、本ブログのタイトルにもなっている「新世紀のビッグブラザーへ
」を書きました。
ドイツでは、事実上、「新世紀のビッグブラザーへ
」の世界と化し、同時に「顔のない独裁者
」の世界も実現しています。
これは、恐るべき事態です。
日本には、未だに「ドイツを見倣うべき」などと寝言を言う自称「識者」が少なくないですが、昨今のドイツを知れば知るほど、
「ドイツこそ、日本が決して見倣なってはならない国である」
という現実が分かるのです。
「ドイツこそ、日本が決して見倣ってはならない国」に、ご賛同下さる方は、
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