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『日本の亡国を防ぐために①』三橋貴明 AJER2015.9.15(5)

https://youtu.be/oN59AffMGQE

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 グローバリズム、新古典派経済学、新自由主義、構造改革。


 呼び名は何でもいいですが、「おカネ」を価値観の中心に置き、政府の役割を削減し、規制緩和と緊縮財政を推し進める昨今の「政策の潮流」は、日本のみならず他の先進国の基盤をも壊していっているようです。(情報提供TN様)
 
先進国で崩れゆくインフラ 米では20年ぶり低水準
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO91574970Q5A910C1000000/
 多くの富裕国におけるインフラの老朽化問題は、いくら強調してもし足りないところまで来ている。ドイツでは鉄道橋の3つに1つ、ロンドンでは水道本管の半分が100年以上前に造られたものだ。米国の橋は平均して建造から42年、ダムは52年が経過している。全米土木学会(ASCE)は、国内のダム約1万4000について「極めて危険」、15万1238の橋について「不完全」と格付けした。
 このように崩れゆくインフラは危険で、しかも高くつく。米国都市部の高速道路における交通渋滞によって浪費される時間と燃料の価値総額は年間1000億ドル(約12兆円)を超える。空港での混雑では220億ドル(約3兆円)が、停電によっては1500憶ドル(約18兆円)が失われている。
 経済大国が集うG20(金融世界経済に関する首脳会合)のビジネス版にあたり、各国首脳や国際機関トップらと経済界が交流するビジネスサミット「B20」の試算によると、全世界のインフラを一定水準にまで整備するのに必要な経費は2030年までに15兆ドル(約1817兆円)から20兆ドル(約2422兆円)に達するという。
 コンサルティング会社のマッキンゼー・アンド・カンパニーは、富裕国の2007~12年の年間インフラ投資額は国内総生産(GDP)の約2.5%だったと見ている。本来ならば3.5%を充てるべきだったという。
 世界金融危機で財政が困窮した一部の国が経費を削減していることで、この問題はますます深刻化している。欧州委員会によると、ユーロ圏の13年の一般政府投資(インフラが大部分を占める)は金融危機前のピークとなった3兆ユーロ(約408兆円)を約15%下回っていた。イタリアでは25%減、アイルランドでは39%減、ギリシャでは実に64%減であった。同じ年、米国政府のインフラ支出はGDPの1.7%で、20年ぶりの低水準となった。
■道路の舗装で就学率が倍に
 これでは、またとない好機を逃しているようなものだ。過去6年間、古いインフラを修繕したり新事業を立ち上げたりするのに必要なコストは従来よりずっと安くなっている。金利が最低水準をつけ、建設業界の生産能力があり余っているためだ。(後略)』


 日本のように、極端に公共投資を削減したわけではない欧米諸国ですら、この有様です。当然、96年比で公共投資を半分に減らした我が国のインフラの惨状は、悲惨の極みと言っても過言ではないでしょう。


 特に、我が国の高速道路ネットワークのお粗末さは、解説するのも情けない状況に至っています。


【日英仏独伊道路ネットワーク比較(制限速度60km/h以上)】

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_50.html#Doro


 ドイツの「何じゃこりゃ!?」と言いたくなるほどの高速道路ネットワークまでとは言いませんが、せめてミッシングリンクはつなぎましょうよ


 先進国として、情けない。しかも、ようやく大分と宮崎の間が高速道路で結ばれると思ったら、150キロもの区間にパーキングなし、トイレなしとか、繰り返しますが情けない・・・。本当に日本は先進国なのですか?


 それにしても、ドイツほどに高速道路がネットワーク化していれば、渋滞など発生しません。物流の効率性はもちろん、ヒトの移動という面でも生産性は大いに上がります。


 もっとも、ドイツにしてもメンテナンスコストをケチっているため、速度を上げられない区間が増えてきているようでございますが。


 藤井先生が、メルマガで、
今の日本に必要なのは、ケインズ・リスト主義
 であることを、解説して下さっています。


【藤井聡】GDP600兆の実現と大阪再生のためには、「新自由主義」路線でなく「ケインズ・リスト」路線が不可欠です
http://www.mitsuhashitakaaki.net/2015/09/29/fujii-162/


 ケインズ主義は、フロー(所得、GDP)の話です。需要(GDP)が不足するデフレ状態にある以上、政府がインフラ整備をすることで需要不足を埋める。ごくごく当たり前の話で、これに反対する人が存在する時点で信じられません(たくさんいますが)。


 リスト主義とは、ストック(資産)効果になります。藤井先生の言葉を借りると、
「交通インフラの形成を通して、経済生産性の向上と社会的統合の双方を促し、需要と供給の双方を拡大させ、経済成長を促す(=公共事業のストック効果を主張する)」
 わけでございます。


 エコノミストの記事にもある通り、現在の日本や先進国は、
「これでは、またとない好機を逃しているようなものだ。過去6年間、古いインフラを修繕したり新事業を立ち上げたりするのに必要なコストは従来よりずっと安くなっている。金利が最低水準をつけ、建設業界の生産能力があり余っているためだ」
 という話です。


 ちなみに、現在の日本では東京と東北「のみ」で土木・建設業の人手不足が生じており、地方は「人余り」状態になってしまっています。すなわち、デフレギャップに舞い戻ってしまったのです。


 理由は、もちろん安倍政権が公共事業費を(補正含めると)削減しているためですが、建設業の雇用も「減少」に向かいました。労働力調査によると、8月の建設業の就業者は対前年比で15万人減りました


「公共事業は人手不足が~っ!」
 などと主張する『頭の悪い人」が未だにいますが、本当に人手不足が深刻なら、雇用が一年間で15万も減るわけがないでしょ・・・・


 いずれにせよ、公共投資・公共事業を軽視し、インフラが厳しい状況になっているのは、日本に限った話ではないのです。先進国に共通する現象ですが、各国がグローバリズムに席巻された以上、ある意味で当然です。


 逆に言えば、最も早くこの「インフラ軽視」の状態から立ち直り、経済の基盤を改めて整えた「先進国」が、次の世界の経済的リーダー(覇権国、とは書きません)になるように思えます。そして、そのために必要なのは、政府がフロー効果、ストック効果を求め、わたくしたちが生活し、ビジネスをする基盤を整える、というだけの話に過ぎないのです。


 決して難しい話ではないと思うのですが、いかがでしょうか。


「ケインズ・リスト主義こそが日本に求められている」に、ご賛同下さる方は、

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