ヨーロッパが壊れていく

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『投資のマトリクス①』三橋貴明 AJER2015.8.18(7)

https://youtu.be/l0h3BFFcLOk

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 飛鳥新社から「亡国の農協改革 ――日本の食料安保の解体を許すな 」が発売になりましたが、実はわたくしは「次の単行本」もすでに書き上げてしまっております。ヒカルランドから刊行される予定の「帝国主義(グローバリズム)が世界を滅ぼす!-ドイツ第四帝国の支配と崩壊-(仮)」でございます。


 「新帝国主義が・・・」は、まさに今、欧州で起きている出来事をメインテーマに取り上げたものです。


『「低賃金で働く奴隷を募集」と難民受け入れの独を非難 仏極右ルペン党首
http://www.sankei.com/world/news/150908/wor1509080006-n1.html
 フランスの極右政党、国民戦線(FN)のマリーヌ・ルペン党首は南部マルセイユで開いた党集会で6日、シリアなどからの難民を多数受け入れるドイツに対して「低賃金で働く奴隷を求めている」などと非難した。ロイター通信が伝えた。
 報道によると、ルペン氏は「ドイツは自国の人口が伸び悩んでいると考え、低賃金の労働者を求め、大量の移民受け入れを通じて奴隷の雇用を続けている」と演説した。

 2017年のフランス大統領選に関する最近の世論調査では、移民や難民受け入れに強く反対するルペン氏の支持率が社会党のオランド大統領らを上回り、決選投票に進むと予想されている。』


 相変わらず、日本のマスコミは国民戦線を「極右」などとレッテル貼りのネーミングで呼んでいますが、現実問題として、ドイツの経済界が「低賃金で働く外国人労働者」を歓迎しているのは確かのようです。何しろ、ドイツ産業界からは、難民を労働市場に参入させやすいように法律の改訂を求める声までもが出ているのです。


 最近まで、ドイツへの亡命希望者は、ドイツ到着から9か月間は働くことが許されませんでした。14年11月には、期間が3か月に短縮されました。


 すでに、ドイツ産業界の期待に応えた「規制緩和」が進んでおり、低賃金で働く移民・難民のドイツ労働市場への参入が始まっています。もっとも、現在の法律では、難民申請が受理されるまでの間は、24時間前までの通告で国外退去させられる可能性があります。


 経営者側からしてみれば、
安い賃金で働いてもらうのは結構だが、いつ国外退去させられるかわからないのでは、使いにくい
 という話なのでしょう。


 ドイツの閣僚二名が、ドイツ国内紙への寄稿で、新たに到着する難民について、
我々が必要としている労働力とみなすべきだ
 と、述べました。


 まさに、国民経済軽視、(人件費切り下げによる)利益中心主義の極致に至ろうとしているのが、現在のドイツです。難民の雇用が「奴隷の雇用」とは全く思いませんが、いずれにせよ企業利益を「国民の所得上昇」よりも上位に置くグローバル資本主義が、ドイツで行きつくところまで行きつこうとしているのです。


 今回のドイツへのシリア難民流入急増のきっかけになったのが、9月4日に報じられた、一人の三歳の男の子の写真でした。シリアから家族とともに逃れてきたその男の子は、9月2日にトルコ沖でのボート転覆に巻き込まれ、命を落としました。男の子と家族は、トルコから欧州に向かおうとしたところ、ボートが転覆。父親一人を除く家族全員が亡くなりました。


 溺死し、海岸に打ち上げられた男の子の写真が世界的に報じられ、ドイツは一気に「シリア難民受け入れ」に世論が動きます。すでに、大々的な難民受け入れが始まっています。


 ドイツのガブリエル経済・エネルギー担当大臣は、9月7日に公共放送に出演し、
ドイツはこの先数年の間、年間50万人の難民を受け入れることが可能だ
 と、発言。実際に、ドイツに一日数千人から2万人のペースで、難民たちが到着し始めています。


 個人的に怖いのは、「難民を救う」という人道的な問題と、「経済界」が求める「低賃金労働者が欲しい」というニーズが絡んでしまっているという点です。つまりは、「難民を救うべき」というレトリックに、ドイツ(だけではなく、その他の多くの国々)の世論は逆らえないのです。


 結果、実際に「低賃金で働く難民」がドイツに続々と流入し、企業は利益を拡大しやすくなるものの、ドイツのネイティブな国民の賃金水準は抑制されます。しかも、ドイツが「愚か」だと思うのは、ユーロ圏はもちろんのこと、世界的に需要縮小期に入ってしまったこの時期に、国民に「低賃金競争」をさせることになるという点になります。


 今後のドイツは、難民が「労働力」となることで、国民の実質賃金は下落に向かい、さらに「ネイティブなドイツ国民 対 難民・移民」の対立が激化。社会も不安定化していくことになるでしょう。すでに、ミュンヘンなどでは難民受け入れに反対するデモが起きています。難民が暮らすゲストハウスへの放火も、これまで以上に激増していくでしょう。


 そして、EU・ユーロという「ドイツ第四帝国」は、難民問題を皮切りに、解体の方向に向かうと思います。すでに、ハンガリーのオルバン政権は、ドイツとオーストリアに「国境の閉鎖」を要求。
「ドイツなどが受け入れ拒否を明確にしなければ、さらに数百万人が流入する」
 と、警告を発しています。


 ハンガリーはすでに、難民について「難民登録」をせずに、オーストリアに追い出しています。明確にダブリン協定違反ですが、
「難民は全員ドイツ行きを望んでいる」
 と、未登録のまま国外に難民を送り出している件について釈明しています。ドイツとオーストリアは、「人道的措置」ということで、未登録の難民の入国を認めざるを得ませんでした。


 シリアの内戦で、数百万人規模の難民が発生しています(一番多くを受け入れているのは、実はトルコ)。欧州の世論は、「人道的」に難民受け入れに流れる人々と、難民受け入れを拒否する人々で二分され、経済界は経済界で「安い労働力」ということで難民を歓迎。片や、難民という低賃金労働者流入で、実質賃金の低下に苦しむことになる「国民」たち。


 各種の思惑が乱れ飛び、ヨーロッパが壊れていっているのです。


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