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『投資のマトリクス①』三橋貴明 AJER2015.8.18(7)

https://youtu.be/l0h3BFFcLOk

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 今日から、通常運用です。


 安倍総理が、17年4月の消費税増税について、
予定通り行う考えだ。リーマンショックのようなことが起これば別だが、今の状況であれば、今年の冬のボーナスも来年の給料も上がっていく」
 と、語りました。


 結局のところ、総理は自分が「何をやってしまったのか」について、理解していないのです。理解しているならば、故意に国民を貧困化させていることになります。



 というわけで、最もわかりやすい安倍政権の経済政策の「結果」について、ご紹介いたしましょう。 


7月の実質賃金 27か月ぶりプラスに
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150904/k10010215931000.html
 ことし7月の給与総額は速報値で36万7000円余りと、実質賃金でも前の年の同じ月を0.3%上回り、27か月ぶりに増加に転じました。厚生労働省は「消費増税の影響が落ち着いたためとみられ、今後も安定的に上昇傾向が続くかどうか動向を注視したい」としています。
 厚生労働省が、従業員が5人以上いる全国のおよそ3万3000の事業所を対象に行った調査の速報値によりますと、基本給や賞与、残業代を合わせた、ことし7月の給与総額は働く人1人当たりの平均で36万7551円でした。

 これは前の年の同じ月と比べて0.6%の増加で、物価の上昇分を差し引いた実質賃金でも前の年を0.3%上回りました。実質賃金が増加するのはおととし4月以来、27か月ぶりです。
この数値は速報値のため変わる可能性がありますが、厚生労働省は、「消費増税による物価上昇の影響が落ち着き、名目賃金も堅調に推移していたため、実質賃金がプラスに転じたとみられる。今後も安定的に上昇傾向が続くかどうか動向を注視したい」としています。』


 7月の実質賃金指数は、「きまって支給する給与」でも、ようやく対前年比で+0.3%とプラスに転じました(対前月比では横ばい)。とはいっても、例により「物価上昇率が下がり、実質賃金がプラス化した」だけでございますので、野田政権期の停滞期に戻ったに過ぎません。インフレ目標はどこに消えたのやら・・・。


 といいますか、やっとのことで野田政権期の「物価も実質賃金も上昇しない」という停滞期に戻れた、という情けない状況です。


 問題は、野田政権期の停滞期にすら戻れない期間、日本国民に何が起きていたか、になります。


【日本の実質賃金指数(決まって支給する給与)】

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_50.html#JCS


 上図の通り、2011年、2012年と、「きまって支給する給与」で見た実質賃金指数は横ばい(若干マイナス)でした。第二次安倍政権が発足して以降、実質賃金は明確にマイナスに転じ(円安による輸入物価上昇分を賃金上昇でカバーできなかったため)、消費税増税で大きく値を下げました。


 結局、消費税増税による値上げ分を賃金上昇でカバーすることはできなかったのです。結果的に、実質賃金は11年、12年時と比べ、マイナス5%の水準で推移しています


 すなわち、安倍政権は日本国民の所得の実質値を、5%引き下げた、つまりは「貧乏にした」という話になります。これが、結果です。


 しかも、実質賃金を引き上げるために財政支出による雇用創出に努力しているならともかく、緊縮財政。加えて、労働者派遣法改正や外国移民受け入れにより、賃金水準を切り下げる方向の政策を推進しています。


 一時的に実質賃金が下がっても、賃金水準を切り下げる政策を「推進せず」、逆に実質賃金引上げ政策を推進しているならば、別に批判しようとは思いません。とはいえ、安倍政権は違うのです。


 その上、100%の確率で実質賃金が引き下げられる消費税増税を「予定通り行う」と。


 本当に17年4月に消費増税を再断行するならば、せめて実質賃金が野田政権期の水準に戻す必要があります(当たり前ですが、わたくしは消費税の再増税に断固反対する立場です。どうしてもするなら、という話です)。そのためには、国民の実質賃金を5%引き上げる必要があります。名目、ではなく実質ですから、これはかなり高い目標になります。


 当たり前ですが、労働者派遣法改正や外国移民受け入れといった名目賃金引き下げ政策は凍結。さらに、大々的な財政出動で雇用を創出し、「超人手不足」の完全雇用の状況に日本を持っていく必要があるのです。


 とはいえ、現実にはその手の実質賃金引上げ政策は推進されていませんので、このまま消費税再増税をすると、安倍政権(第二次以降)は国民の実質賃金を10%引き下げた最悪の政権として歴史に名を残すでしょう。


 実質賃金10%引き下げがどれくらい凄い数字かといえば、97年の橋本緊縮財政デフレ化以降、野田政権までの実質賃金の低下がちょうど10%程度です。安倍政権は二度の消費税増税で、一政権で15年分の実質賃金低下をもたらしてしまう可能性があるのです。


 この数字を知った上で、安倍政権の経済政策を支持できますか?


「政府は実質賃金引上げ政策に舵を切りなおせ」に、ご賛同下さる方は、

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