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『投資のマトリクス①』三橋貴明 AJER2015.8.18(7)

https://youtu.be/l0h3BFFcLOk

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【近況】 

 噂のオルドスの鬼城(ゴーストタウン)に行ってきました。



 な、なんじゃこりゃあぁ~っ!!!

 信じられない光景を目撃したわたくしは、鬼城の前で月刊三橋用の映像を撮るのを忘れてしまいました。上の写真、数万人は住めるであろう巨大マンション群ですが、実際に住んでいるのは・・・。

 詳しくは書籍、もしくは月刊三橋10月号で。

 

 本日、帰国します。


【本文】

 「亡国の農協改革 ――日本の食料安保の解体を許すな 」の正式の発売日は9月8日ですが、国会議員には今週、送付されます。


 昨日も書きましたが、経済事業などでは赤字に陥りやすい農協の経営を支えている二本柱が、農林中金・JA共済という金融事業と、「准組合員制度」になります。准組合員制度とは何なのでしょうか?


 実は、各地の単位農協に組合員として加盟できるのは、必ずしも農業従事者には限らないのです。農協は購買や金融、さらには小売り(Aコープなど)やガソリンスタンド(JA-SS)、葬祭事業、介護、病院など、多岐にわたるサービスを展開しています。日本各地には、
「農業系以外には、地元にスーパーやガソリンスタンドがない」
 地域が多々あるのでございます。特に、日本の国土の73%を占める中山間地域では、現実問題として農協のサービスを利用しなければ、住民は生活が成り立りません。


 生活が成り立たないならば、都市部に引っ越せばいい。などと思われた方は、「安全保障」を全く理解していないという話になります。我が国が自然災害大国という特性を持つ以上、国民がある程度は分散して暮らさなければ、非常事態に助け合うことが不可能になってしまいます。


 というわけで、農協系サービスを利用する必要がある地域住民が、一定の出資金(5千円、1万円など)を支払い「准組合員」として加盟する制度が存在するのでございます。もっとも、准組合員であるため、正組合員とは異なり、農協に対する議決権はありません。


 実は、現在の日本の農協は、正組合員が467万人(11年)であるのに対し、准組合員が517万人(同)と、准組合員数が正組合員数を上回ってしまっています。准組合員数が激増した理由は、地域によってバラバラです。場所によっては離農(北海道など)であり、都市部住民の意向(横浜など)であり、あるいは農協が地域にとって欠かすことができないインフラストラクチャーと化しているなどになります(全国の中山間地域など)。


 准組合員数が増えた理由は多種多様であるにも関わらず、全てを「総数」で判断するのは愚行以外のなにものでもないわけです。例えば、農協が生活インフラになっている地域の事例と、人口が極度に集中している都市部の事例を同列に並べられるはずがありません


 もっとも、いずれにせよ単位農協において、准組合員へのサービス提供(特にJA共済)が「全体の経営」を支えているのは間違いありません。准組合員への金融サービス提供を禁じられると、ほとんどの農協が大幅な赤字になってしまいます


 個人的には、准組合員数が増えようが、減ろうが、日本国民の食糧安全保障や防災安全保障が維持されるならば、どうでもいいです。


 とはいえ、我が国の農協における准組合員激増について、問題視する勢力があるわけでございます。すなわち、アメリカでございます


 アメリカは、特に日本の共済市場に目をつけておりまして、准組合員制度に難癖をつけ続けてきました。アメリカの意向を受け、アメリカの飼い犬である日本の規制改革会議が、
准組合員利用量の規制は、数値基準も明確化した上で極力早く導入するべき
 と言い出したわけですから、大変です。農協側はパニックになりました


 一時は、規制改革会議は「准組合員の農協サービスの利用を、正組合員の半分に抑えろ」などと無茶苦茶を言っていました。実務的に、どうすればそんなことが実現できるのか、さっぱりわかりません。


 いずれにせよ、農協側は「准組合員制度だけは・・・」となってしまい、
准組合員制度については五年間調査し、見直す。代わりに・・・・
 と、わずか五年間の猶予と引き換えに、革命ともいうべき今回の農協改革を受け入れさせられてしまったのでした。


 結果、農協のみならず、日本国民の食料安全保障も弱体化し、将来的にカーギル(もしくは別の穀物メジャー)に「国民の胃袋」を握られることが、ほぼ確定してしまったわけでございます。
 
 これが、現実です。
 五回に渡り、「亡国の農協改革」について書いてきましたが、実はこれでも「一部」なのです。(他にも農地法関連などで怖い話がたくさんあります)


 さあ、どうしますか?
 わたくしは国会議員でも官僚でも学者でもありませんが、「将来の国民」のために、自分にできることをやるつもりです。まずは、事実を国民に知って頂かなければ、話が始まりません

 というわけで、三橋貴明の渾身の一冊となった「亡国の農協改革 ――日本の食料安保の解体を許すな 」が、9月8日に発売になります。


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