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『投資のマトリクス①』三橋貴明 AJER2015.8.18(7)

https://youtu.be/l0h3BFFcLOk

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【近況】 

 大連にいます。空気は北京とは比べものにならないほどきれいですが、それでも日本から行くと埃っぽく、結局、マスクです(現地にはマスクをしている人はいません。慣れているのでしょう)。


 アメブロは大丈夫なのですが、ツイッターとフェイスブックはつながりません。グーグルもロイターもダメです。アメブロだけが、最後の命綱、という状況です


 というわけで、ツイッターでの告知ができないため、拡散にご協力いただき、「人気ブログランキング」のリンクをクリックして頂けると嬉しいです。 


【本文】

 「亡国の農協改革 ――日本の食料安保の解体を許すな 」の正式の発売日は9月8日ですが、国会議員には今週、送付されます。


 今回、「亡国の農協改革 ――日本の食料安保の解体を許すな 」を書いて思い知ったのが、わたくしを含む日本国民の多くは「協同組合の意義」を忘れてしまっているという点です。


 ちなみに、農協改革の元になった昨年5月の規制改革会議のWG報告書では、
株式会社は善。協同組合は悪
 という「考え方」が基本となっていました。すなわち、利益最大化を求めず、組合員や国民全体のために事業を行う協同組合は、利益最大化を求めないからこそダメ、という発想です。


 というわけで、規制改革会議は、
「全農は協同組合だから、グローバルなビジネスを展開できない。だからこそ、我が主カーギル様のために株式会社化するべき」
 という、下品に書くと上記の「改革案」が提示され、ほぼ通りました。


 とはいえ、現実には、全農はアメリカからの穀物輸入という「グローバルビジネス」において、様々な子会社を設立。カーギルやADMといった穀物メジャーと、真っ向から競合しているのです。

 さらに、全農はアメリカで調達した穀物を、日本のみならず中国など他のアジア諸国に対しても販売しています。無論、利益を目的にしたビジネスというわけではなく、日本の畜産業に安定的に(かつ、安価に)配合飼料を供給するため、バイイングパワーを高める努力をしているのです。


 全農は、超がつくほどグローバル市場で戦っている事業体なのです

 そもそも、協同組合が「グローバルビジネスができない」と主張している時点で、頭が悪いというか、何も考えていないことがよくわかります。

 世界にはグローバルにビジネスを展開している協同組合が、全農以外にも複数もあります。例えば、ニュージーランドのGDPの約2.8%を稼ぎ出し、輸出総額の約25%を占める、同国最大の組織である乳牛組合フォンテラは、普通に協同組合です。2001年7月に、グローバルな競争力を強化するため、キーウィ酪農協同組合、ニュージーランド酪農評議会、そしてニュージーランド酪農グループの三組合が合併し、フォンテラが設立されたのでございます。


 2000年には、デンマークとスウェーデンの最大手の組合が合併し、アルラフーズが設立されました。アルラフーズは、デンマークの乳量の九割超を集乳する同国最大の協同組合で、販売先は国内以外にも欧州各国、アメリカ、中東、アジアにまで及んでいます。欧州をはじめ、世界の主要国に63の工場を持ち、100社以上の系列子会社を展開させているのです。

 オランダのユトレヒトに本拠を置くラボバンク・ネダーランドは、農業組織向け金融機関になります。日本で言えば、農林中金に該当するでしょうか「。ラボバンクは金融ビジネスを世界に展開しており、東京にも支店がある「グローバル金融機関」なのですが、協同組合です。

 全農、フォンテラ、アルラフーズ、ラボバンク。いずれも「協同組合」でありながら、グローバルにビジネスを展開しているのです


 そもそも、協同組合とは、バイイングパワーやセリングパワーが相対的に大きな大資本の株式会社に、「小」が対抗するために構成される事業体です。協同組合の元祖であるロッジデール先駆者協同組合は、個々の労働者に比べれば大きな存在であり、優位な取引が可能だった商店主に対し対抗するための、労働者の購買力を束ねるという取組から誕生したのでございます。


 もちろん、協同組合が善で、株式会社が悪という単純論でもありません。協同組合は組合員の生活水準の向上、株式会社は利益最大化と、事業の目的が違うという話に過ぎません。

 たとえば、利益が出ない事業、地域からは、当然の話として株式会社は撤退します。とはいえ、協同組合はシンプルに「撤退」とはできないケースがあります。理由は、地域住民の利便性を落とさないことに加え、我が国の場合は「国民全体の食糧安全保障を維持するため」だったりするわけです。


 当ブログユーザーの皆様には、是非とも本書をご一読頂き、「協同組合」の意義について改めて学んで頂ければと存じます。


 明日は「国民農業」と「商業農業」。

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