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『投資のマトリクス①』三橋貴明 AJER2015.8.18(7)
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チャンネル桜「桜プロジェクト」に出演いたしました。
【上海ショック】金融経済と実体経済の乖離、日本は需要創出に全力を![桜H27/8/26]
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【歴史修正主義】自由主義陣営から隔離するべき中華圏の指導者達[桜H27/8/26]
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【生きた金の使い方を】サイバー防衛拠点の人材確保と国際リニアコライダーの誘致[桜H27/8/26]
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【明るい経済教室】国富と生産性の関係、デフレ脱却の鍵は「生産資産」への投資に在り![桜H27/8/26]
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株式市場は日本やアメリカは大きく戻しましたが、上海総合株価指数は▲1.27%と、2927.29ポイントに下げて終わりました。市場が開いている期間、短期の資金が流入、流出を繰り返し、相変わらずボラタリティの幅が8%を超えるという無茶苦茶な状況になっています。
もはや、カジノでございますね。
そもそも、中共が大口投資家(5%超)の株式売却を禁止している以上、中国株式市場は「市場」ではないわけです。
さて、実体経済の指標が悪化し、金融経済も混乱に陥っていますが、我が国のこれまでのパターンだと、補正予算という真っ当な対策より先に、
「金融緩和をさらに拡大しろ!」
という、分けが分からない提言が頻出することになるので、本件を取り上げます。
『黒田緩和にイエローカード、国債売買高が7割減-札割れ不可避か
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NTEK0Y6K50XU01.html
日本国債の売買高が過去最低に落ち込んだ。日本銀行による市場流動性の低下に関する最新のデータが明らかになる中、市場では中央銀行の巨額の国債買い入れがもたらす副作用への懸念が強まっている。
日本証券業協会の統計を基にブルームバーグが算出した国債売買高 (政府・日銀や日本郵政などを除く)は7月に合計15.6兆円とデータでさかのぼれる2004年以降で最低だった。この期間で高水準を記録した12年4月の57.4兆円から7割を超える減少だ。
日銀が18日に公表した国債市場の流動性指標では、現物の取引高は低迷が長期化。買い戻しを条件とする債券貸借(レポ )市場では、現金を借りても利息を払わなくて済む異例のマイナス金利の取引が目立った。3月に公表された日銀職員の研究論文は、追加緩和した昨秋以降の流動性低下について触れている。
黒田東彦総裁は今年度の新規財源債36.9兆円の2倍超に当たる国債を積み増す方針を示している。国債等の発行残高1038兆円に占める日銀の保有割合は3月末に26.5%と最大だ。市場関係者からは、日銀がいずれ巨額の購入予定額を集め切れない札割れに陥るとの声や、今回の流動性指標を受け、レポ市場の歪みが深刻だとの指摘も出ている。
ドイツ証券の山下周チーフ金利ストラテジストは、異次元緩和は「買い入れ額が大き過ぎて、市場に流通する国債は顕著に減っており、何年も続くと持続可能ではないとの疑念が広がり始める」と指摘。日銀オペの「応札倍率が徐々に低下していき、いずれ札割れが起こる可能性がある」として、「どこかで軟着陸を図る必要がある」と言う。(後略)』
【日本国債所有者(15年3月末速報値) 総額は883兆円】
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_50.html#JB
記事は国債以外の負債(国庫短期証券など)を含んでいるため、若干、上記のグラフと数字が違いますが、いずれにせよ政府の負債(「国の借金」でも「日本の借金」でもないです)の25%以上は、「政府の子会社」である日銀が保有する状況になってしまっているのです。
すなわち、「パックマンの口が開いていく(命名:HS)」の問題です。
当たり前ですが、「銀行の国債が尽きるまで、量的緩和を継続する」などということはできません。今回の経済混乱を受け、「量的緩和拡大だ!」などとやったところで、ブルームバーグの記事にもある通り、「札割れ」が頻発するだけの結果になるでしょう。
ここで言う「札割れ」とは、
「日銀が銀行から国債を買おうとしても、銀行側が売ってくれない」
という意味の札割れで、「政府の国債が買われなくなって破綻する~っ!」とは「逆の話」になりますので、ご注意ください。
しかも、ばかげていることに、日本政府は「新規国債抑制」という緊縮財政路線をひた走っています。
逆に言えば、現在の日本は「量的緩和政策を継続するため」にも、政府が国債を増発し、財政政策を推進しなければならないのです。
このままだと、山下周氏の発言の通り、
「買い入れ額が大き過ぎて、市場に流通する国債は顕著に減っており、何年も続くと持続可能ではないとの疑念が広がり始める」
事になるでしょう。そうなると、日本銀行は追い詰められることになります。ECBが量的緩和を宣言したときの、スイス国立銀行のような事態になってしまいます。
というわけで、今日の結論。
金融政策を混乱させないためにも、財政政策の拡大を!
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