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『投資のマトリクス①』三橋貴明 AJER2015.8.18(7)
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明日は6時から文化放送「おはよう寺ちゃん活動中」に出演します。
さて、4-6月期の経済成長率が発表になったのですが、予想通り対前期比▲0.4%と、マイナス成長に終わりました。
『GDP4月~6月 3期ぶりにマイナス
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150817/k10010192711000.html
ことし4月から6月までのGDP=国内総生産は、個人消費が大幅に落ち込んだことや円安にもかかわらず、輸出が減少したことなどから、前の3か月と比べて実質でマイナス0.4%、年率に換算してマイナス1.6%と、3期ぶりにマイナスとなりました。
内閣府が発表した、ことし4月から6月までのGDPの伸び率の速報値は、物価の変動を除いた実質で前の3か月と比べてマイナス0.4%となりました。この伸びが1年間続いた場合の年率に換算しますと、マイナス1.6%となり、3期ぶりにマイナスとなりました。
主な項目では、GDPのおよそ60%を占める「個人消費」が、天候不順の影響でエアコンなどの売り上げが振るわなかったことや、食料品や日用品の相次ぐ値上げを背景に、マイナス0.8%と大幅な落ち込みとなりました。(中略)
.◆甘利大臣「もう一段の努力が必要」
甘利経済再生担当大臣は、ことし4月から6月までのGDPが3期ぶりにマイナスに転じたことについて記者会見で、「輸出の減少と消費の弱含み、それに設備投資も期待されているような上昇局面にない」と述べました。
そのうえで、甘利大臣は「生活必需品や生鮮食品など身近なものの価格が上がっているため、物価の上昇に賃上げが追いついていないという肌感覚が広がっている。ただ、先月から今月にかけては真夏日が続き、エアコンの需要も伸びているので、個人消費が回復する見込みはかなりあると思う」と述べました。
そして甘利大臣は「企業収益が過去最高水準にあるが、経済の好循環につなげていくためには賃上げと設備投資のもう一段の努力が必要だ」と述べました。(後略)』
我が国の国民経済は、エアコン需要に左右されるのですか・・・。エアコン経済!
まあ、別に甘利大臣が思いついたレトリックではなく、内閣府の官僚なのでしょうが、国民はとことんバカにされておりますね。エアコンが売れなかったから、マイナス成長なのです。分かりやすいでしょ、てなもんです。
そういえば、消費税増税後の需要不足について、
「需要不足ではない。野菜不足などの供給不足で消費を増やしたくても増やせない」
という、失神するほど愚かな論評をした慶応大学教授(土井丈朗氏)がいました。本当に供給不足が発生しているならば、インフレ率がもっと高まるはずでしょうに・・・。
甘利大臣の今回の発言も、土居氏に匹敵する迷言であることは間違いありません。
「エアコンの需要も伸びているので、個人消費が回復する見込みはかなりある。」
はあ・・・・。まあ、とりあえずエアコン様に期待いたしましょう。
別に、甘利大臣を揶揄したくて、本エントリーを書いているわけではありません。
経済成長率がマイナスになったならば、「原因」を追究し、「対策」を講じるべき。と、極々当たり前のことを言いたいだけです。
今回の経済成長率のマイナスは、消費税増税による実質賃金の低下(物価「だけ」が上がった)により、国民の購買力が相当に痛んでいることの表れです。何しろ、最大の需要項目である民間最終消費支出が「対前期比▲0.8%」となってしまったわけです。
実質賃金、実質消費との関係は、明日、解説しますが、とりあえず「識者」と称する連中が、今回のマイナス成長についていかに論評しているか。
下記のロイターの記事では、「識者」と称する連中が、今回の経済成長率マイナスについて論評しているのですが、
『4─6月期GDP年率‐1.6%、3四半期ぶり悪化:識者はこうみる
http://jp.reuters.com/article/2015/08/17/japan-gdp-market-view-idJPKCN0QM01B20150817?sp=true
』
大変、興味深いことに、「消費税」という言葉が使われていません。
財務省の情報統制か何か、かかっているのではないでしょうか。と、疑いたくなるほどの不審さです。
いずれにせよ、以前から何回も書いてきましたが、今こそ「補正予算」でデフレギャップを一気に埋める絶好のチャンスです。今、動かなければ、国会議員は国会議員たる資格はないと思います。
都合よく、国会も延長されているわけです。
ところが・・・。
甘利大臣は、
「ただちに補正(予算)のような経済対策は想定していない」
と、ある意味で予想されていたことを会見で語っているわけでございます。
経済政策を司る政治家が経済対策を講じず、エアコン様に期待するようでは、我が国は真の意味で「政治不在」に陥っているとしか表現のしようがないわけでございます。
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