株式会社経世論研究所  講演・執筆依頼等、お仕事のご依頼はこちらから
三橋貴明のツイッター  はこちら

人気ブログランキング に参加しています。

新世紀のビッグブラザーへ blog

人気ブログランキングへ

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
『ドイツ第四帝国①』三橋貴明 AJER2015.7.21

https://youtu.be/mR1pvzlOzbU

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

   


 本日はテレビ愛知「激論コロシアム」に出演します。
http://www.tv-aichi.co.jp/gekiron/


 リーマンショックの後、日本では役員報酬と従業員給与の差が縮まりました。もちろん、従業員給与が上がったのではなく、役員報酬が削減されたのです。


 すなわち、日本の経営者の多くは、リーマンショックという恐慌に対し、自分たちの給与を減らし、従業員の所得を守ろうとしたことになります。この数字を見たとき、わたくしは、
「ああ、日本はまだ大丈夫だ」
 という感想を覚えたものです。

 もちろん、企業によっては従業員の犠牲に基づき、経営者や株主の利益最大化を目指すところもあります。上記はあくまで「全体」の話でございます。


 経済団体の代表である経団連は「消費税増税+法人税減税」を強行に主張しているわけで、明らかに「富裕層を優遇し、中間層を貧困層に叩き落とす」政策の提言ばかりをしています。この種の政治団体というか、マスコミが好む言葉で言えば「経団連の既得権益者」たちが、日本国民を貧困化させる政策を推進しようとしているわけで、日本の「問題の根っこ」の一つと言えます。 


 さらに、昨今では「国民」に尽くすべき公僕たる高級官僚たちまでもが、経団連的なコンセプトで政策を推し進めています。例えば、農協改革は農家や農協というよりは、日本国民の「食料安全保障」を犠牲にし、農業を「国民農業」から「商業農業」へと転換。それこそ、経団連に入っているような企業の経営者、投資家のために政策を変更する、典型的なレント・シーキングになります。


 農協改革は、「日本国民の農業」を「食料ビジネス」へと変貌させ、最終的には「不動産ビジネス」と化す政策なのでございます。(詳しくは、近々刊行となる「地域崩壊 亡国の農協改革」をお読み下さいませ)


 信じがたいことに、国民の農業を守らなければならない農林水産省までもが、農業を「ビジネス」と化す農協改革を全力で推進している有様です(理由は、「亡国の農協改革」で書きました)。


 農林水産省に輪をかけて酷いのが、経済産業省です


役員報酬、法人税優遇広く ROE連動も対象に
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS06H6C_W5A800C1MM8000/?dg=1
 政府は企業の役員報酬への税制優遇を広げる検討に入った。法人税の負担を軽くできるのは固定給や利益に連動した報酬に限られているが、自己資本利益率(ROE)などに連動した報酬も対象とする方向。役員の働きに報いる報酬の選択肢を広げ、利益や資本効率の向上を後押しする。日本企業が株主を重視した経営にかじを切る中、税制も転換する。
 経済界の要望を受け、経済産業省が月末にまとめる2016年度税制改正要望に盛り込む。与党の議論も経て年末に結論を出し、16年度にも法人税法を改正する。3月期決算企業は17年3月期の役員報酬から優遇の範囲が広がる可能性がある。(後略)』


 一瞬、目を疑いました。何しろ、今回の「検討」において、何と「役員のボーナスの期中変更を可能とする」という項目が入っているのです。(「マジか!」と、思った経営者は多いはず)


 現在、役員給与やボーナスを「期中」で変更することはできません(従業員は可能)。役員報酬を変更するためには、年度を締めて、決算を行い、その上で株主総会で決定しなければならないのです。

 つまり、経世論研究所の代表取締役である三橋貴明の給与(ボーナス含む)を変更するチャンスは、年に一回しかないのです。理由は、期中に役員報酬を変動させることで、「利益操作」が可能になってしまうため、とされていました。


 役員報酬は変えられませんが、従業員給与(ボーナス含む)はいつでも変えられます。というわけで、上記の仕組みは、
利益が大きくなったときに、自分(役員)の給与は変更できないため、従業員報酬を引き上げることで税金を減らす
 という、真の意味における「トリクルダウン」の一種になっていたわけです。


 役員報酬が期中に変更できてしまうのでは、上記のトリクルダウンは成立しずらくなります。

 さらに、ROE等に連動した税制に変更するとなると、当然ながら経営者や株主はこれまで以上に「利益最大化」を追求することになります。上記の方向性が続く限り、我が国はいずれは役員報酬と従業員給与に数百倍の差がある、アメリカ型の国に変わるでしょう。

 安倍政権は、明らかに「分厚い中間層を中心とした日本」から、「少数の富裕層と、多数の貧困層の日本」に国の形を変えようとしています。安倍政権の富裕層優遇政策は、何としても止めなければなりません。


 無論、上記の税制改正は、経世論研究所の代表取締役である三橋貴明「個人」にとっては有利です。とはいえ、わたくしはそれでも「分厚い中間層を中心とした日本」を望みます。別に綺麗ごとを言いたいわけではなく、そちらの方が「持続的に、将来的に、自分自身にも有利である」ことを知っているためです。


「分厚い中間層を中心とした日本を望む」にご賛同下さる方は、↓このリンクをクリックを!

新世紀のビッグブラザーへ blog

人気ブログランキングへ

◆本ブログへのリンクは以下のバナーをお使いください。

新世紀のビッグブラザーへ blog
◆関連ブログ

三橋貴明オフィシャルブログ「新世紀のビッグブラザーへ blog」Powered by Ameba

◆三橋貴明関連情報

Klugにて「三橋貴明の『経済記事にはもうだまされない』」 連載中

新世紀のビッグブラザーへ ホームページ はこちらです。