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『ドイツ第四帝国①』三橋貴明 AJER2015.7.21
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本日は、三橋も決起人を務めさせて頂いております「全国ふるさと甲子園(8月7日)」開催日です。三橋は午後5時から伺います。
http://furusato-koshien.jp/
さて、最近、以前と比べると「まとも」になってきたIMF(国際通貨基金)が、日本銀行の異次元緩和の「限界」を示唆しました。
『IMF、異次元緩和の限界示唆
http://www.nikkei.com/markets/features/53.aspx?g=DGXMZO9019934005082015000000&n_cid=DSTPCS007
日銀の異次元緩和に対する問題点が指摘され始めた。
国際通貨基金(IMF)は3日発表した個人名義の論文で異次元緩和の技術的な限界を指摘。「現状の国債買い入れは2017~18年に限界が来る」との見方を示した。日銀による大量の国債買い入れによって市場のゆがみが増し、日銀内でも異次元緩和の副作用を巡って(後略)』
現在、日本銀行は量的緩和政策を継続しています。しつこいですが、デフレ期の量的緩和政策は、別に間違ってはいません。
間違っているのは、おカネを発行し、国内の各銀行の貸し出し余力を(極端に)拡大したとして、そこから「需要創出」までのプロセスが不明確だという点です。需要創出とは、わたくし達「生産者」が働き、生産したモノやサービスの購入という意味です。
株式購入も、国債購入も、土地購入も、外貨購入も、「モノやサービスの購入」には該当しないため、直接的には需要を創出しません。
本来、日本銀行が国債買取を続け、金利がダダ下がり(現在、長期金利で0.43%)となっているわけですから、普通に政府が国債を発行し、財政出動を拡大すればいいのです。というか、拡大しなければならないのです。
政府が東北復興、整備新幹線(北陸新幹線の新大阪までの早期開通など)、リニア新幹線(もちろん大阪まで)、全国の防災・減災、老朽インフラのメンテナンス、そしてILC(国際リニアコライダー)など、ビッグプロジェクトにコミットし、予算を積み増していくことで、現在の需要不足と将来の生産性向上という二つの課題を同時に達成できます。東京五輪以降の需要がある程度見えれば、土木・建設会社も本気で人材投資や設備投資を進めてくれるでしょう。
ところが、現実の政府(日銀含む)は、「期待」だの「資産効果」だの、数字で明確化できない需要創出の「可能性」を示唆するだけで、本気で需要を拡大しようとはしませんでした。それどころか、消費税は増税し、政府支出は削減し(介護報酬など)、挙句の果てに「インフレ目標2%、2年で達成」というコミットメントまでもがうやむやになってしまいました。
インフレ率、2年で2%どころか、2年で「0%」という惨状であるにも関わらず、誰も責任をとりません。コミットメントとは、「目標を提示し、達成できなければ責任をとるという約束」という意味なのですが、黒田総裁や岩田副総裁は別の解釈をしているようですね。
くどいですが、日銀の量的緩和政策をやめろ、などとは一言も言っていません。と言いますか、今「出口戦略」などを採った日には、超円高になり、世界経済が混乱に陥ります(対ユーロ固定相場制をやめたスイスのように)。
とはいえ、インフ率が上昇しない状況で、すでに日本銀行の国債保有が全体に占める割合が25%を上回ってしまっているのです。パックマンの口は、順調に開いていっています。
【日本国債所有者(15年3月末速報値) 総額は883兆円】
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_50.html#JB
このままだと、二年ほどで国内の預金取扱期間(銀行など)の国債が尽きてくることになります。その前に、銀行側が日銀に国債を売らなくなると思いますが、いずれにせよIMFも指摘している「技術的問題」が出てくることになります。
無論、政府が国債発行を増額すればいいのですが、何と日本政府は「新規国債発行抑制!」などとやっている有様です。
すなわち、日本政府は今、二重の意味で国債発行が求められているのです。
一つ目の理由は、もちろん需要創出。そして、二つ目の理由は、金融市場で枯渇しつつある国債を「供給」することになります。
それにも関わらず、
「ザイセイハタンガーッ」
と、国債発行や財政拡大に政府が乗り出さないとなると・・・・、日本銀行の「異次元緩和」は最終的には失敗という評価を得てしまうでしょう。
日銀の金融政策を「失敗」にしないためにも、政府は今、国債増発と財政出動に乗り出さなければならないのです。
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