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『ドイツ第四帝国①』三橋貴明 AJER2015.7.21

https://youtu.be/mR1pvzlOzbU

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※三橋も決起人を務めさせて頂いております「全国ふるさと甲子園(8月7日)」のご案内です。三橋も参りますので、皆様、是非、お越しくださいませ。

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 本日はチャンネル桜「桜プロジェクト」に出演します。
http://www.ch-sakura.jp/programs/program-info.html?id=1520


 「ヨーロッパ」という地域は、このままの状況が続くと、難民問題で各国が崩れゆくように思えてなりません。「国家が崩れる」とは、国民国家としての各国が失われていくという話で、「国」自体は残るのかも知れませんが。


 最近、ギリシャやイタリアの「地中海難民」の話を取り上げていますが、欧州最大の難民受け入れ国は、実はドイツでございます。ドイツはナチス時代の「反省」から、難民庇護について極めて寛容な姿勢を維持しようとしています。


 ところが・・・・。


 川口マーン恵美先生が、ドイツの難民問題についてコラムを寄稿されていました。


ドイツが抱える最大の問題はギリシャ危機ではない。激増する「難民」だ 頻発する難民お断りデモ、受け入れ宿舎の放火……
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/44448
◆難民庇護はドイツ国の義務だが
 ドイツ基本法(憲法に相当)には、「政治的に迫害される者は庇護権を享有する」と明記されている。ナチの時代にユダヤ人を排斥したことへの反省と、逃げたユダヤ人が外国で助けてもらったことへの感謝が、ここに表されている。つまり、「難民庇護はドイツ国の義務」という解釈だ。
 そんなわけで、今までかなり気前良く、難民、および亡命者を受け入れ続けてきた。90年代、ソ連や東欧が崩壊した時も、ユーゴの内乱の時も、多くの難民がド
イツに駆け込み、申請をし、最終的に多くがドイツに留まることになった。
 しかし、現在、当時とは比べ物にならないほどの数の難民がドイツに押し寄せている。今年の1月から6月までの半年間で、約18万人! 1日1000人の計算だ。しかも、その勢いが下火になる様子はない。それどころか、おそらく年末までには、45万人に膨れ上がるという。ドイツは今、騒然としている。(後略)』


 2014年には、20万2千人以上がドイツに亡命を申請しました。今年は、すでに17万9千人に達しているため、14年を上回るのは間違いないでしょう


 ドイツの難民問題で注意しなければならないのは、シリア、イラク、アフガニスタンなどの「紛争地域」からの難民と、バルカン半島からやって来る「経済的難民」は別という点です。ドイツは、経済的難民は受け入れていません


 というわけで、アルバニアやコソボなどから経済的理由でドイツに難民申請をしても、受け入れられることはありません。問題は、難民申請の却下までの審査期間が、普通に一年以上もかかってしまう点です。


 川口先生が書かれている通り、ドイツは難民申請をしてきた外国人に対し、医療や生活保障サービスを提供します。というわけで、バルカンの経済的難民たちは、とにかくドイツにたどり着き、難民申請を行えば、将来的にあ却下されるとしても、一、二年間は高品質な医療サービスや生活保障を受けられるわけです。申請却下を前提に、ドイツの医療サービスや生活保障サービスに「ただ乗り」するわけでございます。


 ドイツはダブリン協定批准国であるため、難民申請者(経済的難民であっても)について、「充分に配慮した生活環境」を用意する必要があります。単純に、難民テント村を作り、押し込めておく、などということは許されないのです。


 というわけで、ドイツは(ドイツだけではないですが)難民申請者たちを、各地に「分散」させ、ゲストハウスなどに住まわせています。結果、住民が反発し、ゲストハウスが放火される事件が相次ぐようになってしまいました


 今年の上半期だけで、難民収容施設に対し200件近い「襲撃」が行われました。具体的には、放火や「ナチスの鉤十字(ハーケンクロイツ)」を建物に書きつけるなどになります。14年に起きたこの手の事件は、175件ですから、状況は悪化を続けているわけです。


 すでに、都市部のゲストハウスは収容人数が膨れ上がり、難民は地方の「村落」に住まわされるようになっています。例えば、人口800人の村に、150人の難民が割り当てられるなど、無茶苦茶な状況になっているのです。しかも、当然ながら「若い男性の難民」が多いわけで、これで社会が不安定化しなければ、そちらの方が変です


 さて、EUは地中海難民の受け入れについて「分担」しようとしていると、以前、書きましたが、ハンガリーに加えてオーストリアまでもが難民受け入れを拒否しました。なぜ、オーストリアが拒否したかといえば、最近、隣国であるハンガリーからの難民流入が激増しているためです。要するに、ハンガリーが難民を「国外に追い出す」方針を採っているため、玉突き現象が起きてしまっているのです。


 日本では、外国移民について、
「社会を多様化させ、活力をもたらす」
 などと、呑気なことを言っている論者が多いですが、それは「本物の移民問題」を経験したことがないからこそ言える寝言です。高度成長期の時点で、すでに外国移民を受け入れ、その後、ダブリン協定で難民受け入れについても「寛容な政策」を採った欧州が、今、難民問題でバラバラになろうとしているわけです。


 しかも、難民を多く受け入れている国は、「国民国家」としての国家のあり方そのものが崩れ落ちようとしています。


 さすがに、ドイツでナチスが復活すことはないでしょう。とはいえ、今後のドイツでゲストハウスへの襲撃どころか、「難民襲撃」事件が起こり始めるのは、時間の問題だと思います。当たり前ですが、何十万人もの難民が、しかも「若い男性」が中心の難民が新たに流入してきた場合、ネイティブなドイツ人に対する犯罪が発生するのを止めることはできません。ネイティブなドイツ人が、難民による犯罪の犠牲になったとき、いかなる事態になるか。想像はつきますが、あまり想像したくないわけです。


 事は「善悪」の問題ではありません。わたくし達日本国民は「日本国民の日本国家」を普通のことと受け止めてきましたが、同じく国民国家中心だった欧州が「移民問題」「難民問題」で社会的な混乱が始まっているわけでございます。


 「移民亡国論: 日本人のための日本国が消える! (一般書) 」でも書きましたが、別にドイツは移民国家を目指したわけではありません。高度成長期(ドイツでは「経済の奇跡」と呼びます)の西ドイツは、
「人手不足を補うため、やむを得ず、少数を受け入れる。しかも一定の期限付きで、ローテーションを原則として、永住も認めない。外国人労働者単身のみの入国しか許さず、妻子同伴は禁止。期限が来た場合には必ず帰国させる」
 という、どこかで聞いたようなスタイルで外国人労働者を「慎重に」受け入れ始めたわけですが、結局は、
「外国人がいなければ、ドイツ経済が成り立たない」
 結果になり、なし崩し的に「移民大国」への道を歩んでいきました。難民に対しても「寛容」な姿勢を続け、最終的には「外国人の圧力」により社会が不安定化していっています。


 上記やドイツの現状を理解した上で、安倍政権の外国移民政策に賛同するなど、正気の沙汰ではありません

 ならば、人手不足はどうするのだ。と、言われるの決まっているので、わたくしはしつこく「生産性向上」について語っているのです。インフレギャップ下の生産性向上こそが、経済成長の源です。生産年齢人口対総人口比率の低下により、経済成長のチャンスが訪れようとしているにも関わらず、それを外国移民で潰されてしまっては、泣くに泣けません。


 しかも、将来の日本国民に「崩れゆく国民国家、日本」を押し付ける可能性があるわけです。何しろ、日本に移民や難民が来るとしたら、その多くは「中国人民」なのでございます。

 日本が「いかなる日本国であるべきか」を考える上でも、日本国民は現在の欧州の惨状を知る必要があります。日本国を移民国家にしてはなりません。


「日本を移民国家にしてはならない」に、ご賛同下さる方は、↓このリンクをクリックを!

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