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『ドイツ第四帝国①』三橋貴明 AJER2015.7.21
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何度か「おはよう寺ちゃん活動中」などで、
「今年の4-6月期の経済成長率はマイナスになる可能性が濃厚です」
と、語ってきましたが、もちろん根拠あって述べているわけです。といいますか、5月の鉱工業生産の落ち込みを見て、
「4-6月期はプラス成長になります」
などと断言する人は、かなり頭が悪い人か、もしくは不誠実(嘘つき)です。
ようやく、マスコミ(ロイターですが)も「4-6月期はマイナス成長」という報道を始めました。
『焦点:4─6月マイナス成長の公算、構造問題置き去りで長期停滞懸念
http://jp.reuters.com/article/2015/07/30/bnp-idJPKCN0Q40ML20150730
輸出・生産の大幅な下振れを起点に、日本経済は回復期待が一転して景気後退懸念に変わってきた。民間調査機関は4─6月期の国内総生産(GDP)成長率について、当初のプラス成長から、年率1─2%台の大幅マイナス成長へ見通しを下方修正させた。
7─9月も回復力が弱いとの慎重な見方が増えてきた。日本経済の構造問題が置き去りにされ、長期停滞へとつながりかねないとの懸念も出てきた。
<4─6月期は2%超えるマイナス成長予測>
民間調査機関の間では、プラス予想だった4─6月期の実質GDPを大幅なマイナス成長に下方修正する動きが相次いでいる。
バーイクレイズ証券は当初、前期比年率プラス1.4%とみていたが、引き下げを重ね、30日公表分ではマイナス1.7%まで切り下げた。
ニッセイ基礎研究所も2%台のマイナス成長と予測。BNPパリバ証券は、年率マイナス2─3%の比較的大幅なマイナス成長になる公算が大きいとしている。
背景にあるのは、消費、輸出、生産の想定を超える不振だ。30日に発表された鉱工業生産は前月比プラス0.8%となったが、4─6月期は前期比マイナス1.5%と3期ぶりの落ち込みとなった。(後略)』
「構造問題」が何のことなのかさっぱり分かりませんが、日本経済の不振の原因は単純に「緊縮財政」です。デフレから脱却しない状況で消費税を増税し、政府支出削減に走ったわけですから、GDPが継続的にプラスになるはずがありません。
しかも、宍戸先生などが特に強調されていますが、消費税増税の悪影響は長引きます。金融緩和を拡大したところで、「需要創出への道」が不十分な状況では、GDPは回復しません。
現在、銀行という「ダム」には水が溢れかえっていますが、安倍政権は出水口を広げようとしません。それどころか、絞っていっているのです。この状況で、
「下流に水が来ない!(=GDPが増えない)」
って、当たりまえでしょ。
問題は「緊縮財政」であり、構造問題とやらではありません。「彼ら」は、緊縮財政で経済が悪化したことを受け、
「構造改革が足りないからだ!」
と言ってくるわけで、大変厄介な連中でございます。
それはともかく、本日、6月の実質消費が本日、発表になったのですが、対前年同月比でマイナス2%。季節調整の前月比を見ると、マイナス3%。
状況は悪いというより、「悪化」してきているのです。
現在、安倍政権は安保関連法案の関係で支持率が落ちてきています。安保法案は普通に通るでしょうが、支持率が落ち込んだところに、8月中旬に「マイナス成長」という衝撃が襲い掛かることになります。当然、支持率は更に落ちるでしょう。
何度も書きましたが、「デフレ」にはいかなる総理大臣であっても勝てません。
問題は、経済不振で支持率が落ちたとして、
「なぜ、経済が不振に陥ったのか」
を、国民や政治家が正しく認識することです。正しい認識なしで、正しい解決策を構築することは、神様にもできません。
経済成長率がマイナスになったことを受け、マスコミでは主に下記二つのパターンで「言い訳」がなされるでしょう。
「金融緩和が足りないからだ」
「構造改革が足りないからだ」
【図 日本の実質輸出の推移】
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_50.html#Expo
図の通り、金融緩和によりここまで円安が進んだにも関わらず、日本の実質輸出はリーマンショック前はもちろんのこと、東日本大震災前を下回っています。もはや、「金融緩和⇒円安⇒実質輸出増加」といった単純な需要創出ルートが成立しないのは明らかです。
また、構造改革とは「供給能力拡大策」であり、需要創出策ではありません。現在の日本に必要なのは、新たなGDP、すなわち需要なのです。
というわけで、経済不振の原因は、
「増税や政府支出削減という緊縮財政である」
という真実を、今のうちに日本国民が共有しておく必要があります。
さもなければ、我が国は需要、所得、物価が全て低迷する状況に陥ります。安倍政権は二年半を費やし、経済状況を野田政権期の「停滞」へと戻してしまったのです。これが「結果」なのです。
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