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『ドイツ第四帝国①』三橋貴明 AJER2015.7.21

https://youtu.be/mR1pvzlOzbU

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※三橋も決起人を務めさせて頂いております「全国ふるさと甲子園(8月7日)」のご案内です。三橋も参りますので、皆様、是非、お越しくださいませ。

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 今にして思えば、高度成長期の日本は「冷戦期に、東アジアに位置していた」からこそ、高度成長したわけです。


 防衛面の安全保障をアメリカ(様)に依存した結果、軍需面にリソースを割かずに済み、人材を大々的に民生部門に投入できたことに加え「中華人民共和国の人民」に代表される外国移民を受けずに済みました。トルコ人労働者を受け入れたドイツ、マグレブを受け入れたフランスとは異なり、日本は国内の需要を「日本国民の供給能力」で埋めるしかなかったのです。


 というわけで、「今いる生産者の生産を増やす」ための投資が活発化し、生産性向上(恐らく、人類史上空前の生産性向上)により高度成長は達成されたのです。


【高度成長期の生産性上昇率】

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_49.html#seisansei


 国民経済全体の生産性の向上を、「生産者一人当たりの実質の生産(実質GDP)の増加」と定義すると、何と高度成長期の生産性上昇率は7%前後に達していました。そして、経済成長はインフレギャップ下の生産性向上によってのみ、引き起こされます。(大国の場合は)


 過去に毎年7%の生産性向上を達成することで、高度成長を果たした国の論者が、
「人口が毎年20万人(対総人口0.2%程度)減っていくから、成長しない」
 などと主張しているわけですから、本当に頭が悪いんだなあ、と、同情心すら覚えてしまいます。高々0.2%の人口減など、生産性向上効果が軽く上回ります


 そして、今後の日本は生産年齢人口対総人口比率の低下により、インフレギャップ化していきます。インフレギャップ(=人手不足)が深刻化したとき、生産性向上によりギャップを埋めようとしたとき、我が国は再び高度成長します。


 あるいは、かつての独仏のように「外国移民」により人手不足を埋めようとしたとき、まさに今のドイツやフランスのように「ドイツ人のドイツ国家」「フランス人のフランス国家」が失われかねない事態に至るのです。


 また、外国移民で人手不足を埋めるとは、国民の実質賃金上昇を拒否することです。安倍政権は「外国人労働者の受け入れ」と姑息なレトリックを使っていますが、同じ話です。国連の定義で、外国移民は「出生あるいは市民権のある国の外に一年以上いる人」という定義になっています。


 人手不足を「日本国民」で埋めようとしたとき、生産性向上が必須となり、各種の投資が起き、実質賃金は上昇し、雇用が安定化し、若者の婚姻が増え、少子化が解決し、最終的には人口も増え始めるでしょう。


 それに対し、外国移民(=外国人労働者)に人手不足解消を依存すると、確かに人件費上昇を抑えられ、企業の「短期の利益」は増えるでしょうが、国民の貧困化は続き、若者が結婚できないため少子化も進行し、最終的には「日本人の日本国」が失われることになるでしょう。


移民受け入れの検討、政府に要請へ=労働力不足に対応-榊原経団連会長
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201507/2015072300856&g=eco
 経団連の榊原定征会長は23日、日本の労働力不足を補うため、海外からの移民を積極的に推進する制度づくりを、政府に働き掛ける方針を明らかにした。今後、日本商工会議所や経済同友会などと協力し、経済界としての制度案を年内にもまとめ、政府に提案する。長野県軽井沢町で同日始まった経団連夏季セミナーで表明した。
 榊原会長は「建設や運輸、介護などの業界では労働者が払底しており、移民に頼らざるを得ない」と強調した。その上で、政府の移民政策については「国は極めて保守的で拒絶的」と不満を漏らした。』


 人手不足という問題に対し、「給料の引き上げと生産性向上」という正しい対策ではなく、外国移民の受け入れを提言する。少なくとも、日本の「経済界」の代表たる経団連は、我が国に亡国の道を進ませようとしているわけです。


「建設や運輸、介護などの業界では労働者が払底している」
 事実です。


 とはいえ、生産者がなぜ建設、運輸、介護で働かないのか。原因から目を逸らしています。


 単に、給料が充分に高くないためです。しかも、過去の日本国民は土木・建設分野を、まるで親の仇のごとく批判(しかも根拠なき批判)を続けました。公共投資の額も、半分以下に減らしました。結果、労働者の数が680万人から500万人未満に減少。人手不足になって当たり前です。


 榊原氏は、本気で日本の人手不足を問題視するならば、
土木・建設企業、運送企業は人件費を引き上げ、人を確保してください。その分、我々が土木・建設、運送のサービス費用の引き上げを受け入れます。また、政府は公共投資を拡大し、介護報酬も引き上げ、土木・建設や介護業界が充分な給与を支払える環境を整えるべきです
 と、提言するべきです。


 とはいえ、土木・建設や運送のサービス費用が引き上げられ、「自分の会社の利益が減る」のは嫌なのでしょう? 榊原氏の発言からは、「日本国民のため」あるいは「日本の国民経済のため」という「公の精神」が全く感じられません

 もっとも、榊原氏は企業経営者であり、利益を目的にビジネスをしている以上、自社の利益を圧迫する、土木・建設・運送のサービス費用の値上は受け入れがたいのでしょう。企業のビジネス「だけ」を考えるならば、外国移民で、という話は理解はできます(納得はしませんが)。


 とはいえ、現在の安倍政権は、経世済民を目的とした「政治家」でありながら、「日本の国民経済」ではなく、「特定企業の利益」のために動いているように見えます。これが問題なのです。現在の動きが止まらない限り、我が国は将来的に国民経済を失い、国民がさらに貧困化し、「日本人の日本国」を失い、最終的には中国の属国と化すでしょう。


 繰り返しますが、今後の日本は生産年齢人口対総人口比率が低下することで、インフレギャップという「経済成長」のための絶好の機会を手に入れようとしています。


 インフレギャップ下の人手不足を、生産性向上ではなく、外国移民や労働規制緩和で補おうとしたとき、我が国は亡国へと大きく足を進めることになります。経団連の言うがままの政治を推進することは、現在の日本国家にとって間違いなく「国家の自殺」なのです。


「国家の自殺である外国移民受入に反対する!」に、ご賛同下さる方は、

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