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『ドイツ第四帝国①』三橋貴明 AJER2015.7.21

https://youtu.be/mR1pvzlOzbU

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※三橋も決起人を務めさせて頂いております「全国ふるさと甲子園(8月7日)」のご案内です。三橋も参りますので、皆様、是非、お越しくださいませ。

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  先日もご紹介した「国土が日本人の謎を解く 」において、大石先生は、
「日本人は中小規模のコミュニティに帰属意識を持ったとき、最大の力を発揮する
 という主旨のことを書かれています。理由は、元々、日本人は「農村」という中小規模のコミュニティに帰属して生きてきたためです。「個」になると、途端に力を発揮できなくなるのが日本人でございます。


 すなわち、日本人の力を最大限、発揮するためには、「チームとして戦う」という環境が必要という事になります。そして、高度成長期からバブル崩壊までの日本「企業」は、まさにチームとして日本人が戦うための最高の場を提供していました。


 その後、成果主義の導入や労働規制の緩和により、会社というコミュニティは崩壊していきます。わたくしは元々、外資系IT企業で「個」として働いていたわけですが、いつの間にか周りの「日本企業」までもが同じ職場環境になっていたのに気が付き、大変驚いた記憶があります。


 断言しますが、日本企業に成果主義を持ち込み、「数字」で個別に評価するなどとやってしまうと、日本人は最大の能力を発揮できません。個々ではなく、「チーム」としての評価をする必要があるのですが、成果主義の導入は社員同士の連帯感を壊しました


 さらに、当たり前の話として非正規雇用や派遣労働の拡大は、働く日本人の「会社」というコミュニティに対する帰属意識を奪います。派遣社員が「チームの一員」として、会社のために奮闘するなどということもありません。会社のために、技能や技術、スキル、ノウハウ等を蓄積し、人材に成長することはありません。


 もし、派遣社員が自らに技能やノウハウ等を蓄積するとしたら、それはあくまで「自分のため」なのです。


 結局、「雇用」を人材投資として捉えるか、費用として捉えるか、という問題なのです。元々、日本企業は人の雇用を「人材投資」として認識し、人事部で管理し、給料を「減価償却費」と同じ固定費として払ってきました。人の雇用は、投資だったのです。


 ところが、派遣が拡大するにつれ、企業は人の雇用を変動費である「売上原価」として認識し、人事部ではなく資材調達部で管理するようになります。無論、短期的な利益を増やすという点では、人件費の変動費化は有効です。


 とはいえ、それで本当に、
「国民の需要を満たすことを目的とした、モノ・サービス(付加価値)の供給能力」
 は育ちますか? という話でございます。


派遣法改正案の早期成立、経済界が要望
http://www.yomiuri.co.jp/economy/20150718-OYT1T50098.html
 経団連と日本商工会議所、経済同友会の経済3団体は、参院で審議入りした労働者派遣法改正案の早期成立を求める連名の要望書を公表した。
改正案の施行日は9月1日とされ、「大幅な改正であり、対応準備のため一刻も早い成立を強く要望する」とした。
 改正案は、企業が派遣社員を受け入れる期間の上限を事実上なくす内容で、労働者の働き方の多様化を進める経済界の主張を反映している。

 仮に成立が遅れれば「人材派遣会社や派遣社員の受け入れ企業で準備や対応が間に合わない」(経済団体幹部)などの影響が指摘されている。
 衆院は6月中旬に通過したが、日本年金機構の個人情報流出問題や安保関連法案を巡る対立で、参院での審議の遅れが懸念されている。』


 現在、参議院では業種と無関係に、期間制限なしで、派遣社員を雇用することを可能とする」労働者派遣法改正案が審議されています(難航しているようですが)。


 経団連などの経済3団体が派遣法改正の早期成立を求めているということは、要するに大手の日本企業の多くが「日本企業の強み」を見失ったままという話なのだと思います。労働者を「個」と化し、日本人としての強みを発揮できなくなる派遣拡大を、経済界自身で望んでいるのです。

 無論、理由は「株主利益」なのでしょうが、企業とは別に株主だけがステークホルダー(利害関係者)というわけではありません。従業員、顧客、仕入先、地域社会、国家、環境などなど、企業は複数の利害関係者に供する「利」のバランスを採らなければならないのです。


 それにも関わらず、従業員に「損」をさせ、株主(特にグローバル投資家)に受けがいい派遣法改正に「経済界」がこぞって賛成する。


 わたくしには、経団連に代表される現在の日本の「経済界」は、全速力で地獄に疾走している自殺者に見えてしまうのです。



「日本企業の強みを奪う労働者派遣法改正に反対する」に、ご賛同下さる方は、

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