株式会社経世論研究所  講演・執筆依頼等、お仕事のご依頼はこちらから
三橋貴明のツイッター  はこちら

人気ブログランキング に参加しています。

新世紀のビッグブラザーへ blog

人気ブログランキングへ

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
『ドイツ第四帝国①』三橋貴明 AJER2015.7.21

https://youtu.be/mR1pvzlOzbU

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

※三橋も決起人を務めさせて頂いております「全国ふるさと甲子園(8月7日)」のご案内です。三橋も参りますので、皆様、是非、お越しくださいませ。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

   


 本日も早起きで、長野県に取材に行きます。二日連続5時起きは、さすがにきついですが、頑張ります。


 現在のギリシャには、「グローバリズムの問題点」が凝縮されていると、改めて思います。

 関税自主権の放棄、資本移動の自由化、通貨発行権の委譲、緊縮財政、グローバル資本への国有資産の売却、民営化、労働規制の緩和、債務問題に端を発する財政主権の喪失、そして移民問題。モノ、ヒト、カネという「経営の三要素」の国境を越えた移動を自由化し、「フェアな統一市場」を構築し、生産性が異なる国々が「フェア」に競争すると、何が起きるのか


 国家を、
「勝ち組と負け組」
 に分け、負け組の国家は生産性向上の機会を奪われ、永遠に負け組のまま、国民がひたすら貧困化し、社会が不安定化。というより、発展途上国化。


 何しろ、ギリシャ政府は緊縮財政の一環として、公務員一年目の月給を「600ユーロ」に引き下げました。ギリシャの物価水準は、日本とあまり変わりませんので、これでは高学歴の若者が外国に流出することを防ぐ術はありません。

 というよりも、そもそもギリシャには高学歴の若者の就職先が、公務員くらいしかなかったのです。EUとユーロに加盟している限り、ギリシャ国内で「新規事業」や「産業勃興」は起きません。
 すでにして、外国に留学したギリシャの若者の84%が「帰国しない」という選択をしています。もっとも、帰国したところで職は無いのです。


 当然ながら、若年層失業率が極端に高まっているギリシャでは、若者は結婚をしなくなります(なっています)。今後のギリシャは、間違いなく「少子化」になるでしょう。というより、すでにしてギリシャの出生率は日本を下回っています。


 IMFは過去にギリシャに押し付けた緊縮財政が、却って問題を悪化させたことを認め、大幅な債務減免(要は借金棒引き)を提案していますが、EU(つまりはドイツ)側は拒否しています

 一応、メルケル首相は、
「返済期限の延長や金利の削減を議論する余地がある」
 と、多少の譲歩の余地を認めつつ、
「ギリシャの改革の実効性を最初にチェックした後のことだ」
 と、相変わらず頑なな姿勢を崩していません。


 もっとも、直近のギリシャ危機の最大の焦点は、債務問題よりも、むしろ先日も取り上げた地中海難民問題です。ようやく、日本でもギリシャの地中海難民問題を大手紙が取り上げ始めました。


ギリシャ:移民・難民の受け入れ態勢が崩壊寸前--EU、国連機関に対応呼びかけ
http://www.sankei.com/economy/news/150722/prl1507220180-n1.html
 ギリシャ領の群島全域で、数千に上る移民や難民申請者が劣悪な生活環境から抜け出せないでいる。国境なき医師団(MSF)は2014年12月からギリシャ当局と欧州連合(EU)に対し、収容施設の不足に対応するよう繰り返し呼びかけてきたが、未だ拡充には至っていない。受け入れ体制は崩壊寸前の状態で、シリアやイラクなどから到着した人びとは健康を危険にさらしている。ギリシャが経済危機に直面している中、EUやEU加盟国による早急な対策と、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)による援助の拡大が求められている。(後略)』


 銀行取引や資本移動が未だに制限されている国が、ダブリン協定を守り、地中海移民の管理(というか「世話」)をすることなど、できるはずがありません。ダブリン協定は、難民の取り扱いについて、「きちんと住居を提供すること」など、かなりの「厚遇」を求めています。(難民キャンプはNGなのです)


 今年上半期、ギリシャにたどり着いた難民は4万3千人。ギリシャの人口は約1100万人ですから、我が国で言えば1-6月期に45万人の難民の受け入れを強いられたことになります。

 無茶苦茶です。
 とはいえ、ダブリン協定やシェンゲン協定を締結しているギリシャは、難民を拒否する主権も、国境管理を強化する主権もありません。


 上記の通り、現在のギリシャは「モノ」「ヒト」「カネ」の国境を越えた移動を推進するグローバリズムが「行き着く果て」そのものなのです。安倍政権により、周回遅れのグローバリズム的政策が推進されている現在、日本国民はギリシャの問題について「正しく学ぶ」必要があります。


 それにも関わらず、日本のメディアでは「ギリシャは怠け者で破綻した」系のナイーブ(幼稚)な主張ばかりが展開されています。緊縮財政やグローバリズムの問題点を国民に知られたくないのか。あるいは、メディアに登場する人たちが頭が悪いのか。どちらであっても、問題です。


 正しい情報なしで、正しい判断を下すことは、この世の誰にもできません。というわけで、今後も当ブログではギリシャ問題について分析と論評を続けていきたいと思います。


 メディアが言うのとは全く異なる意味で、ギリシャ問題は「他人事」ではないのです。


「ギリシャ問題は他人事ではない」の、真意をご理解下さる方は、↓このリンクをクリックを!
新世紀のビッグブラザーへ blog

人気ブログランキングへ

◆本ブログへのリンクは以下のバナーをお使いください。

新世紀のビッグブラザーへ blog
◆関連ブログ

三橋貴明オフィシャルブログ「新世紀のビッグブラザーへ blog」Powered by Ameba

◆三橋貴明関連情報

Klugにて「三橋貴明の『経済記事にはもうだまされない』」 連載中

新世紀のビッグブラザーへ ホームページ はこちらです。