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『ギリシャは何故破綻したのか①』三橋貴明 AJER2015.7.14(7)

https://youtu.be/BWbxtFwp-Cs

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※三橋も決起人を務めさせて頂いております「全国ふるさと甲子園(8月7日)」のご案内です。三橋も参りますので、皆様、是非、お越しくださいませ。

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 本日は三橋経済塾第四期第七回の講義開講日です。塾生の皆様、よろしくお願いいたします。


 単行本の〆切(執筆ではなく)の谷間なので、読み損ねていた本を読んでいます。というわけで、大石久和先生の「国土が日本人の謎を解く 」を読みました。


 本書を読むと、日本国民が主に「三つの要因」から大陸諸国の人々と異なることが分かります。(異なる、であり、善悪の話ではありません)


 一つ目は、世界屈指の自然災害大国であり、国民が「災害死史観」ともいうべき歴史観を持っていること。日本では大災害で多数の人々が亡くなることはあっても、「外国の侵略者」や「内戦」といった紛争で虐殺等が行われた経験を持ちません。結果、日本では「城壁に囲まれた都市」を持つ大陸諸国とは異なり、城下町が発展しました。


 日本国民は災難について、「水に流す」ことができるのです。それに対し、紛争つまりは「人」に大量虐殺された歴史を積み重ねた大陸諸国の多くは、それができません。


 二つ目は、言葉です。大陸諸国は大量虐殺を何度も経験した結果、戦うための「言葉」が発達しました。すなわち、曖昧性を排除した、明確な意思伝達のための言語が発展したのです。


 何しろ、敵が迫っている中で指示や命令が間違って理解されてしまうと、全滅する可能性すらあります。大陸諸国の言葉は、「戦闘」のために進化したのです。


 それに対し、日本語は曖昧性を許容し、島国の国民として「揉め事を起こさない」ために進化したため、際立って「おとなしい」のです。結果、日本人は恐ろしいほどの洞察力を持ち、会話が可能な一方で、言葉の定義をしないため、曖昧な抽象表現に振り回されます。 


「どうとでも取れる」
 表現が、日本語には満ち溢れているわけです。


 とはいえ、この抽象的な言語こそが、我が国の懐が深く、裾野が広い文化を育んだのは間違いありません。繰り返しますが、「異なる」という話をしたいわけで、善悪について述べているわけではありません。


 三つ目は、社会関係です。強大な権力の下で、「勝ち負け」を明確化し、序列づけ、階級付けし、「外敵」の脅威に備えなければならなかった大陸の民とは異なり、日本では狭い島国の中で「安定性」が重視され続けました。三方一両損、といった発想は、大陸諸国にはないでしょう。


 というわけで、日本国民には何となく「落としどころ」を探り、互いに譲歩し、妥協点を見出し、社会を安定させたいという欲求が常にあるのです。つまり、喧嘩をしていること、仲が悪いことが「良くないことである」という認識を持ってしまうわけでございます。


 無論、国内ではそれでも構わないのですが、問題は「外国との関係」です。外国との関係では、現実には「落としどころを探る」などという手法は通じません。何しろ、先方は歴史的に「勝ち負け」を明確化させ、勝者が全てを取る「歴史」の中で生きて来た人々なのです。


『自民、政府に韓国への抗議要求 世界遺産登録時の対応で

http://www.asahi.com/articles/ASH7K5171H7KUTFK00T.html
 自民党国際情報検討委員会などは17日、「明治日本の産業革命遺産」の世界遺産登録に際し、韓国政府の対応が「両国間の信頼関係を損ねた」として、日本政府に抗議するよう求める文書をまとめた。党としても直接、韓国政府に抗議する方針だ。
 日韓は6月の外相会談で登録協力で一致。だがその後、韓国が同遺産の一部で朝鮮半島から動員された徴用工について「強制労働」と表現しようとしたため、日本側が反発した。
 文書は、この経緯を「遺憾であり厳しく抗議する」と指弾。日本政府が徴用工の説明で使った「forced to work(働かされた)」は「強制労働を意味するものではない」と内外に発信するよう求めている。』


 相変わらず今更感に溢れていますが、それでもやらないよりはましでしょう。


 日本人の特性、すなわち「落としどころを探り、もめ事を継続しない」ようにする特性が、最も悪い形で出てしまているのが外務省です。無論、一般の日本国民ならばそれでもいいのでしょうが、「外交」で日本国内でしか通用しない「落としどころを探る」をやられた日には、今回のような結果を招くだけです。何しろ、韓国側は「落としどころを探る」気など全くないのです。

 本来であれば、日本側は、


(1) 「明治」産業革命遺産と、大東亜戦争末期の朝鮮半島の日本国民の徴用は、全く関係が無い
(2) 大東亜戦争期の朝鮮半島の日本国民は法的に「日本国民」であった
(3) 戦時中に国民を法に基づき徴用することは、批判されるべき話ではない


 と、正論だけを世界に向けて高々と謳い、韓国のロビイングで世界文化遺産登録が不可能になった場合、それを受け入れるべきだったのです。そして、永遠に韓国と揉め続ける。これが「普通」の外交関係です。


 中国にせよ、韓国にせよ、日本側が歴史的、伝統的に「落としどころを探る」傾向が強いことを知り抜いています。そして、日本側が「友好関係」のために譲歩すると、
「もっと日本に譲歩させることができるな
 と、考えるだけなのです。


 しつこいですが、善悪の問題ではありません。現実が「そうだ」というだけの話です。


 というわけで、今の日本国民には自分たちの歴史的な特性を理解し、国内的には社会を安定させつつ、外国とは「別の顔」で接することが求められているのです。

 難しいと思います。

 まずは国民が「自分たちと、外国の特性は歴史的に異なる」という事実を知る必要があるのです。本書「国土が日本人の謎を解く 」は、
「日本国民が日本国民を知る」
 ための最適な一冊になっています。


「外国とは『別の顔』で接しなくてはならない」に、ご賛同下さる方は、

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