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『ギリシャは何故破綻したのか①』三橋貴明 AJER2015.7.14(7)

https://youtu.be/BWbxtFwp-Cs

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※三橋も決起人を務めさせて頂いております「全国ふるさと甲子園(8月7日)」のご案内です。三橋も参りますので、皆様、是非、お越しくださいませ。

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 今回の明治産業革命遺産の世界遺産登録は、ある意味で「日本外交の問題の根源」が明確化されたような気がします。


 その話に入る前に、本日は先日来ご紹介して、異様に反響があった施 光恒先生の「英語化は愚民化 日本の国力が地に落ちる (集英社新書) 」発売日でございます。わたくしはゲラ段階で拝読させて頂き、献本いただいて再度読んだわけですが、つくづく「良書」でございます。


 というわけで、あまりネタバレしたくはないのですが、一つだけ、
なぜ、現在の日本国において、曲がりなりにも民主主義が成立しているのか
 について、施先生の考察を書きたいと思います。


 民主主義が成り立つためには、国民が政治的な概念、言葉、定義を共有し、議論をする必要があります。政治の語彙(ボキャブラリー)がない人は、政治について語ることはできません。

 例えば、現在の永田町では「防衛という安全保障」を巡る議論(一応、議論としておきます)が活発化していますが、これは「防衛」「安全保障」といった概念を、日本国民が日本語で語ることが出来なければ成り立たないのです。日本語に「防衛」「安全保障」という語彙がない場合、日本国民は防衛や安全保障について議論することはできません。


 その状況で、民主主義が成り立つでしょうか。もちろん、無理です


 というわけで、民主主義をこよなく愛する(はずの)朝日新聞は、今こそ「反・英語化」の路線を採るべきなのです。日本の政治が「英語」なしでは議論できない状況になった日には、間違いなく我が国の民主主義は終わります。政治は、英語を解する一部の特権階級のものとなり、「土着語」である日本語を話すマジョリティの国民は、政治について語ることが不可能になってしまうのです。


 母国語で、つまりは日常的に使う言語で「政治」について、一般の国民が話し合うことが不可能な国では、民主主義は成り立たないのです(実際、成り立っていません)。我が国が「国民が主権を持ち続ける国」であるためにも、現在の「英語化」の動きには断固として反対しなければならないのでございます。


 日本国民は、江戸末期から明治初期にかけて、欧米から新たに入ってきた「概念」について、「翻訳と土着化」をして下さった先人に感謝するべきです。当時の日本人が、文化、文明、民主、自由、共和、経済、競争といった「概念」について、日本語を「造語」してまで翻訳して下さったおかげで、我が国は先進国になれたのです。すなわち、普通の日本人が文化やら文明やら、共和、民主、経済、競争といった「概念」を用いてコミュニケーション可能な国にしてくれたからこそ、日本は先進国となりました。


 無論、当時の日本人は概念の翻訳と土着化のみならず、より物理的な「技術」についても欧米から学び、「日本で生産可能」とするための投資を積み重ねました。まさに、その「遺産」こそが明治産業革命遺産なのです。


 さて、「英語」を日常的に使用している日本の外務省が、いかに「頭が悪いか」もしくは現実から乖離したファンタジー空間を漂っているかについて、露骨なまでに分かってしまったニュース。


「強制労働」不使用、事前に確認=外務省
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2015071500369
 外務省は15日午前の自民党の外交関係合同会議で、世界文化遺産への登録が決まった「明治日本の産業革命遺産」に関し、6月21日の日韓外相会談で「強制労働(forced labour)」という言葉を使わないとの方針を韓国側と確認していたと明らかにした。

 6月の外相会談では登録に協力することで両国が一致したが、具体的な確認内容は公表されていなかった。15日の外務省の説明では、韓国側が申し合わせに反し強制労働に言及しようとしたため、調整の結果、「forced to work(働かされた)」という表現に落ち着いたという。』


 今回の外務省と「安倍政権」の大失態、しかも取り返しがつかない大失態のポイントは、以下の三つになります。


(1) そもそも、「明治」産業革命遺産と、大東亜戦争末期の朝鮮半島の日本国民(韓国は「韓国人」と表現していますが)の徴用は、全く関係が無いにも関わらず、わざわざ両者を関連付ける韓国の土俵に乗った


(2) 大東亜戦争期の朝鮮半島の日本国民は「日本国民」であったにも関わらず、韓国の「韓国人を徴用した」という歴史的な「ウソ」を前提として交渉を進めた


(3) 明治産業革命遺産を世界遺産に登録することを優先し、韓国に後々「利用」されることが明らかな「forced to work(働かされた)」という表現を認めてしまった


 外務省は、「forced to work(働かされた)」は国際的、英語的には強制労働を意味しない。などと言い訳をするのでしょうが、違うでしょ!


 国際的、英語的な話などどうでもよく、韓国のジャパン・ディスカウントのプロパガンダに「利用可能か?」という点が問題なのです。そして、韓国は今回の「forced to work(働かされた)」という表現を、「強制労働させられた」と自己解釈し、世界に発信するに決まっています。


 そうではない、と、主張するならば、いかにコミットするのか、是非とも聞かせてもらいたいものです。韓国人を、日本国民の常識が通用する民族だと思っているならば、外交に関わる資格はありません。


 その程度の「常識」すら理解していないというならば、安倍政権にせよ、外務省にせよ、日本の国益を損ない続けてきた過去の日本政府と同じです。

 というわけで、外務省や安倍政権がいかなる「言い訳」を続けたとしても、容赦なく批判する必要があるのです。今回の世界遺産登録は、韓国の外交的勝利であり、安倍政権の敗北、というよりは「自滅」なのです。


 そもそも、日本国民を戦時中に法律に基づいて徴用したことが、なぜ今さら批判されなければならないんだ? 頭、大丈夫か? という正論を普通に政府や外務省が主張できる環境が構築されない限り、今回の大失態を上回る「最悪の失態」が繰り返されることになるでしょう。安倍政権は、後世に禍根を残す最悪の失態を犯してしまったという現実を、日本国民がまず理解するべきなのです。


「日本政府は韓国に常識が通じるといった幻想を捨てろ!」に、ご賛同下さる方は、

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